第2話 開きなおるしかない

 ひとしきり落ち込んだ俺は考えを変えることにした。


 今更、探索者を辞めるなんてしたくない。

 配信者にもなりたくない。


 聞けば前のうさぎ使いは、20年も現役を続けていたらしい。


 ここは開き直ってこのクラスを極めてみよう。

 何か知られていない発見があるかもしれない。


 クラスチェンジ出来ない職業は基本的には当たりなんだから。


「香賀里さん、とりあえず俺このクラスで頑張ってみようと思う!色々アドバイスお願いします!」

 俺に言葉に興味津々のお姉さん。


「へぇーテイマーでさえエンジョイクラスって言われてるのに、うさぎしかテイム出来ないクラスで頑張るとか…

 面白いじゃん!

 分かった!とりあえず色々調べてみるよ!」


「ありがとうございます!とりあえずこのダンジョンに潜ろうと思うんですけど、装備とかどうしたら良いでしょう?」


「要らない要らない、ここなら3層までホーンレスラビットしか出ないから、子供でも蹴飛ばせば勝てる程度のモンスターだから」


「じゃあ、行ってきます!」


「あぁ!ちょっと待って!」

 そういうとお姉さんはちょっと厚めのクレジットカードみたいなのを渡してくれた。


「これ探索者証明書、最初だからGランクね、Dまではレベルで自動で上がるから何もしなくて大丈夫だから」


「分かりました!じゃあ、改めて行ってきます!」


「はーい、いってらっしゃい」


 そして、俺はゲートを通って2層へと降りていった。


 降りた先は何も変わり映えしない空間だった。


 1層より少しだけ広い空間に、野原がある。


 そこで、うさぎが草を食べている。


 ホーンレスラビットは非アクティブモンスターなので、こちらから攻撃しない限り攻撃してこない。


 あーこれは、こいつら蹴飛ばして倒すって罪悪感あるわぁ


 そうも言ってられないから、近づいていく。


 目の前にはつぶらな瞳の…つぶらじゃないな…


 目が赤じゃなくて黒、それもなんか悪そうな目つきしてる。


 あ、これなら思ったより抵抗なく蹴れそう。


 試しに全力で蹴ってみる。


 ピギャッて悲鳴と共にホーンレスラビットが死んだ。


 ここだけ切り取ったら、動物虐待とか言われそうな光景だ。


 ドロップ品は小さな魔石、お姉さんに買い取り額聞いたら20円って言ってたな。


 50匹で1000円かぁ…


 これは自立して稼ぐとか無理じゃね?


 モンスターだけあって逃げないから、効率よくやってひたすら狩れば最低賃金のバイトくらいにはなるかなぁ。



 1時間後



 モンスター狩り尽くした!


 現在の討伐数、200匹。

 レベルは上がってない。

 おかしい、スライムでも2匹倒せばレベル2になれるって聞いたのに、いまだにレベル上がらないって、流石に変じゃない?

 ホーンレスラビットの経験値が少ないとしてもいくらなんでもレベル上がらなすぎる!


 この職業もテイマーの一種なんだろうから、お姉さんにもらった冊子のテイマー欄に何か書いてないか見てみるか。


 テイマー

 クラスチェンジ不可の固定職

 テイムしたモンスターと共に戦う事で経験値が入る。

 その特性上、まずはなんでも良いからモンスターをテイムしよう。


 やっちまったぁ!


 テイムモンスター居ないと経験値入らないじゃん!


 3層に移動するか、ここでリポップ待つかして、とにかくテイムしなきゃ!


 あれ?そういえば3層に降りる階段見つけてないな。


 と、いう事は…ボスモンスター倒さないと下に行けないタイプのダンジョンか!


 じゃあ、どこかにボスモンスターいるはずだな。

 探そう。


 ちょっと手こずったけど、ボスモンスターらしきものを見つけた。


 通常のホーンレスラビットの3分の1くらいのサイズの銀色のウサギ。


 いやもう、サイズ感的にウサギじゃなくてハムスターだろ?って感じだ。


 しかも、ボスモンスターなのに非アクティブモンスターだし。


 え…これ倒すの?


 罪悪感半端ないんだけど…。


 この子テイム出来ないかなぁ?


 ものは試し

『ラビットテイム』


 テイム成功、名前を付けますか?


「ノバで」

 真っ先に思いついた名前を付けた。


 ネームドモンスターになりました。

 ステータス、潜在能力、が強化されます。

 特殊進化が開放されます。


 テイムモンスターのステータスは任意で確認できます。

 確認しますか?


「する」


 ノバ レベル1

 シルバーラビット ランク1

 強さ 3 物理的攻撃力

 器用 4 命中率

 素早さ6 回避率、移動速度

 知性 3 魔法的攻撃力

 耐久力3 HP基準値

 賢さ 3 MP基準値

 HP 3

 MP 3

 スキル ラビットダッシュ

    体当たり

    身を守る


 この子体当たりしたら、そのまま死んじゃうんじゃない?


 とりあえず、1回お姉さんに報告だな。


【後書き】

 お読み頂き、ありがとうございます。

 この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と少しでも思ってくださった方はフォローや↓の『☆☆☆』を『★★★』に評価して下さるとありがたいです。

 よろしくお願いします。

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