第26話 運試し

 メダルは6枚ある。

 出たものの権利は俺のものだけど、せっかくだから1人2枚づつ回す事にした。


 たかし、白カプセル2個

 遥香ちゃん、赤カプセル1個、金カプセル1個

 俺、銀カプセル1個、虹カプセル1個


 白カプセルは魔石だった、しかも1番浅い所と同サイズ。

 赤カプセルは牡丹肉だった、ただどのボアの牡丹肉かまでは分からない。

 銀カプセルは武器だった、見た感じボスの持ってた豪剣っぽいな。


 さて、ここからが本番だ!

 まずは金カプセル!

 ん?スキルオーブ?

 おお!当たりじゃん!


 コレはランダムにスキルを1つ手に入れる事が出来る使い捨てタイプのアイテム。

 運が良ければ普通じゃ絶対手に入らないスキルが手に入る。


 たかしよ、羨ましそうにこっちを見るんじゃない。


 虹は何かな?

 おおお!クラスアップオーブじゃん!


 クラスには上位クラスと呼ばれる最初は手に入らないクラスがある。

 それになる為にはクラスアップオーブを使わないとなれないのだ。


 滅多に手に入らないし、手に入っても入手者やそのPTメンバーが使ってしまう為ほぼ流通する事はない。


 たかし、そんな羨ましそうな目で見るんじゃない。


 もちろん、クラスアップオーブを俺に使用す…

 出来ない…だと…。

 うわぁぁ!ウサギ使いって上位クラス無いのかよ!

 思わず膝から崩れ落ちた。


 しょうがない、恵ちゃんに俺が使えなかった状況を説明した上で。

「使う?」


「え!」

 あ、驚くよね。

「別に良いよ、使っても」


「あかんて!それ売れば億って言われてるんやで!」


「…え!億!?」


「せやで、そんな簡単に使うとか言ったらあかんで!それにウチはクラスアップは必要やと思うてないねん。

 せやから、ここぞという時に使えるようにとっとき」


「そっかー、売るにしても使うにしても今は保留にしとくかぁ」


「あの!俺頑張るから俺に使わせてくれ!」

 たかしが何か言ってきた。


「絶対無理!

 お前が俺に喧嘩売ったの忘れてないからな!

 あり得ないから!」


「くっ!」

 お前…今俺に殺気向けたな…お前の本性漏れてるんだよ。


「たかし…後ろ見てみろよ」

 パルとノバが臨戦体制でたかしを睨んでる。


「諦める!諦めるから!」

 訓練所での事、ちゃんと覚えてたようだな。

 ダンジョンの中の、しかもこんな他の人間いない所で何があっても事故で終わる。


 そう思っての殺気だろうけど、それはそのまま自分にもいえるって事理解出来たようだ。


 よし!気持ちを切り替えてスキルオーブ使おう!

 こっちはクラスアップオーブに比べれば割と出回ってる。


 完全ランダムなんでお金に変えた方は得って思う人も結構いるからだ。

 確か1個数百万だったと思う。


 最近の稼ぎ見てたら、数百万なら使うよね。

 …

 …

 …

 うん、こっちも使えない。


 まーじーかー!


 先代のウサギ使いも同じ絶望感味わったのかな。

 もしかしたら、20年かけてやっと見つけた、クラスアップオーブでクラスアップ出来ないって知って心折れて引退したのかも。


 恵ちゃんをじっと見る。

「もしかして、スキルオーブも使えなかったん?」


 コクンと頷く。


「なんや、ほんまに、ウサギおらんかったら終わっとるクラスやんな」

 クリティカルヒット!


「うう」


「もう!男なんやから泣くとかやめてぇや!」

 そう言って、ガシッとハグしてくれた。

 うん、復活した。


「スキルオーブ使う?」


「せやな!お兄さんの代わりになんか良いスキル付けて助けたるわ!」

 そう言ってスキルオーブを使った。


「どうだった?」


「あ、うーん、闇属性強化」

 全然意味ないスキルついたー!


「よりによって闇属性とか…」


「あ、大丈夫やで!ここだけの話、ウチ闇属性のスキルあるから!凄い役にたつよ!」


「良いよ、そんな見え透いた慰め言わなくてもー、俺だって闇属性なんて殆ど誰も持ってないの知ってるよー」


「あ、うーん、あ!そうだ!お金の計算全部やったるわ!な、だから元気だして!な!」

「…うーん」


「せや!もう一回ハグしたる!せやから元気出して!」

「うん!」


 残りのアイテムを回収して、ステージから降りると、ステージがゴゴゴゴと降りて行きその先の行き止まりの壁に、『364:23:59:58』というタイマーが現れカウントダウンしだした。


 どうやら1回使うと1年間のクールタイムが必要らしい。

 その間に頑張ってコイン集めろって事なのかな?


 なんにせよ、俺には関係ない事だな

 どうせ使えないし。

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