第56話 教導 1
勇者への教導という理由で実践訓練を始める事になった。
しかも優先権無しでパルも使えない。
言いたい事は分かる、即死させるのも、俺が一方的に殴るのも勇者の成長にはつながらない。
だから使うなってのは分からんでもないけど、めちゃくちゃ俺が不利だ。
だから、これくらいは許してもらわないとね。
「おい!その後ろの2人はなんなんだ!」
「あ、いや、一緒に戦って貰おうかなって」
「俺は他の戦闘職の参戦を禁止したはずだぞ」
「あ、ウチはポーターやから一般職やで」
「私もマッパー派生の一般職です」
「一般職は禁止してなかったでしょ?」
「認めねぇぞ!」
「え!一般職怖くてごねるの!勇者が?カッコ悪っ!」
ちょっと俺も煽ってみた。
「テメェ、調子に乗るなよ!」
「この戦闘、聖女ちゃんに頼んで撮ってもらってるで」
恵ちゃんがそう言ってチョンチョンって指をさす。
「どういうつもりだ?」
「あんたが不様な姿見せたら全部ネットで公開したんねん!
知っとるか?訓練所で行われる戦闘は透明性高めるためにネット上での公開を禁止できへんねん!
こっそり隠れていじめますぅなんて出来へんのよ」
「なんだと!テメェ!」
「早速あれなんか?一般職怖くて戦えないビビりやってネット公開す事になるんかな?」
「クソ!」
「ウチら参加でええやんな?」
「好きにしろ!」
「いえーい」
恵ちゃんと朱里ちゃんに俺はハイタッチした。
ここから、試合が始まる前の作戦タイムだ。
「勇者って何を気をつければいいの?」
「奮起っていう、自分のステータス倍にするスキルと、鼓舞っていう自分のステータスの倍を味方と認めた相手のステータス引き上げるスキルあんねん。
せやから、味方が勇者の4倍分だけステータス上がるんや。
これやられると手がつけられるんくなるから、発動前に勇者止めるか、勇者の味方潰すかせんとあかん」
「今回ならどっち?」
「今回は勇者の味方は2人しかおらんから、速攻で味方潰す方が楽そうやんな」
「じゃあ、ノバを魔法使い、ピノと朱里ちゃんで盾を攻撃するで良いかな?」
「ええんちゃう?」
「俊輔さんの作戦に従います!」
よし!作戦は決まった!後は叩きのめすだけだ!
開始の合図とともに一斉に襲いかかる。
「グォォォ!」
相手の盾職が耐える。
タンク職だけあって魔法にも耐性があるようだ。
パルの針千本が欲しい、即死を考え無くてもあの全体攻撃は強力だ。
ノバが盾職のスキルで、目標を盾職に変えられてしまった。
マズイ!
「奮…グハァ!」
ドンだ。
そういえばドンに何も指示してなかった。
他の子より足が遅いから、盾職のスキルの効果範囲に入らなかったらしい。
真っ直ぐ勇者に体当たりしていた。
特にスキルはないけれど、あのデカさで体当たりすれば、スキル発動の邪魔くらいは出来た。
相手が余裕かまして様子見してたおかげもあるけど。
舐めプって怖いな。
俺も彼らを反面教師にしよう。
だが、向こうの魔法使いがフリーだ!
マズイ!
…
…
…
あれ?なんか苦しんでる。
もしかして!
「恵ちゃんなんかし…居ない!」
ドゴォォン!
なんだ!
音をした方に向き直すと恵ちゃんが爆弾持ってニコニコしてた。
いつの間にか相手パーティの後ろに回り込んでいた。
やっぱりこういうの見ると、恵ちゃんって凄いな。
いつ動いたのかすら分からなかった。
一応身バレしないように爆弾で戦ってるみたいだけど、あれはあれでヤバいんじゃなかろうか?
あー死んでも大丈夫なのかここ。
朱里ちゃんもけっこう様になってるんじゃない?
ドンは勇者に上から乗っかるだけだった。
いや、それで充分相手の動き阻害してるけどね。
割と余裕?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます