第57話 教導 2
これは楽勝でしょ!
これってフラグかな?
『奮起』
ドンが吹き飛ばされた!
『鼓舞』
フラグだったぁ!
と、思ったら魔法使いと盾職が突然倒れた!
戦闘が解除されないって事は死んでないんだろうけど。
「勇者だけならステータス倍なだけやから、あんだけ囲んだらあいつに勝ち目ないやろ」
「どわぁぁぁ!」
いきなり真横に恵ちゃんがいた。
ビックリしたぁぁ!
え?居なかったよね、さっきまであっちで一緒に戦ってたよね?
「そんなん驚かんでもええやん!ウチ傷つくわぁ」
そう言いながら、俺の腕にしがみついてくる。
「だって、あっちに居たじゃん」
「もう、お兄さんSランク舐めすぎやわ、ウチなんか12からSランクやらせてもろてるんやで、このくらいの距離、お兄さんが瞬きしてる間に2往復くらい出来るわぁ」
そう言いながら、俺にピッタリくっついて来るんだけど、最近こういうの多いせいか。
なんか、過剰な反応はしなくなって来た。
もちろん嬉しいけどね。
「凄いね…ん?12?」
「色々あんねん、ぶっちゃけお兄さんに頼みたい事もそん時の復讐やねん」
「復讐?」
「あ、これ以上は言うたらあかんねん。
お兄さんが協力してくれるまでは」
うーん、別に協力してあげても良いような気になってるんだけど、Sランク相手に俺が手伝える事なんてあるのか?
「協力するにしても、俺弱すぎると思うんだけど」
「そこは鍛えんとならんね」
「あそこの魔法使いと盾職を簡単に倒せるくらい?」
「せやなぁ、あれくらいは倒せる方がええな」
「あれどうやったの?」
「MP0の状態からMP減らされると気絶すんねん」
「へー知らなかった」
「それくらいは知っておかなあかんでぇ、MP1でもあるとどんなに減ってもMP0で止まるから、魔法職はその辺のMP管理大事なんやで、闇魔法にMP削るのあるからギリギリで管理してると気絶するんやけどね」
「その魔法使ったんだ」
「せやで、お兄さんに貰った闇属性強化でめちゃくちゃ強くなってんねん」
「役に立って何よりだよ」
こんな会話をしているウチに勇者は力尽きたようだ。
「負けを認めてくれる?」
近づいて質問してみる。
このルール、負けを認めさせるか殺さないと終了にならない。
正確には殺す直前でシステムが感知して強制終了させるんだけど、それすると協会の人から怒られるんだよねぇ、訓練所の趣旨と違うってコンコンと説明される。
俺も前回の芋掘りダンジョンの時軽く注意受けた。
気をつけてねって。
強制終了は緊急時の対応で正規の終了のさせ方じゃない。
非常停止ボタンをブレーキ代わりに使うなみたいな話らしい。
「俺は負けてねぇ!」
いや、どう見ても負けだろ。
「手足食いちぎりする事になるけど良いのかな?」
これ、すっかり恒例化してるなぁ。
何も喋らない。
沈黙は肯定とするってよく言うよね。
ピノとノバに両方から手首を食いちぎらせる。
「ギャァァァ!」
勇者の悲鳴がこだまする。
「負け認めてくれる?」
「認めねぇ!」
身体の一部をノバ達が噛みちぎる。
そんな問答を何度か繰り返してる時にいきなりふっと強制解除された。
あれ?まだ死んでなかったけど?
「魔法使いが息吹き返しよった。
勇者それ狙って時間稼ぎしとったんやな」
恵ちゃんが小声で教えてくれた。
意地張ってるわけじゃなかったのか。
「え、でもコレって協会の人に怒られるんじゃない?」
「聖女ちゃんに動画撮ってもろたから、大丈夫や!あれ見せて努力したって言えば問題ないと思うで」
「あ、そうなんだ」
「知らんけど」
恵ちゃんテキトー過ぎるよう。
「おい!」
やめろよ、いきなり大きい声で呼ばれたら、ビクッとするじゃないか!
女の子の前だとちょっと恥ずかしいんだぞ!
「諦めないからなぁ!聖女は俺のもんだ!」
「うっざ!」
光莉ちゃん…。
「キモ!」
朱里ちゃん…。
「そんなんやからモテへんねん!人生ミジンコからやり直せ!1000回輪廻したら少しはマシになるんちゃうか!キモブサウザ男!」
やめて恵ちゃん!勇者の心のHPは0よ!
「あーそのー、頑張れ…」
俺は耐えきれず勇者から目を逸らした。
半泣きの勇者は逃げるようにこの場から去っていった。
コレで懲りてくれれば良いけどなぁ
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