第42話 遂行
「あのう、色々すいません。
うちの者が勝手して」
御子息が謝ってきた。
「あ、別にいいんですけど、なんであんなに偉そうなんです?」
「あの人僕の家庭教師兼ボディーガード兼世話係なんですけど、僕がこんな感じで全然役に立たないので、代わりになんでもやってもらってて、なんかあの人の派閥?グループ?みたいのできちゃって…」
「なんだろう、戦国時代とかの殿様が若くて、部下の1番上の人が権勢あるみたいな、そんな感じ?」
「んー多分そんな感じです」
「あの、しばらく同じパーティで活動させてもらえませんか?」
「あー、俺にもメリットあるなぁ」
ランク6テイムしてもらって育成して、試練の洞窟キャリーして貰えるの美味しいな。
育つまでは朱里ちゃんに頑張って貰って。
うん、ありだな。
「あ、あの、謝礼も払います」
ん?あ、俺が考え込んでいるから断られると思ったのか。
「あ、全然謝礼なしで問題ないんですけど、あの護衛の人達とか大丈夫なんですか?」
「あの、実は、あの人達はあんまり僕が強くなることに積極的でないというか、なんていうか」
「あー、強くなられたら、自分たちの発言力下がるもんね」
「はい、なので、その辺は父さんに頼んでなんとかしようかと…」
「あの人たちが付いてこないなら別に構わないですよ」
「あ、じゃあ、そのよろしくお願いします」
気弱そうにペコリと頭を下げる。
随分気弱だなぁ、本当にちゃんとあいつらと別行動できるのかな?
簡単に終わるつもりでいたけど、5体もテイムするので結局夜までかかった。
「あ、全員次はウサギ小屋集合ね」
「「「はい」」」
とりあえず今日はもう夜だし解散しよう。
健二の取り巻きはダンジョンから戻って来て居なかった。
ダンジョンでよくある事故として処理された為、誰も気づいて居なかった。
ー翌週ー
ウサギ小屋にみんな来たのを確認して、中に入る。
ご子息もきてるな。
護衛は見当たらないから、なんとか上手くやったんだろうな。
「おはようございますー、用意できてます?」
「おはよう、任せておいて、最高級品で固めたわよ!」
朱里ちゃんの装備をお姉さんにお願いしてあったのだ
「ありがとうございます!」
朱里ちゃんをこっちに呼ぶ。
「どうしたんですか?」
あ、そういえば、何も説明してなかったや。
「俺のテイムモンスターって、ランク5でしょ、だから試練の洞窟行きたいんだけどこのままだと大変だから、朱里ちゃんに頑張って貰わないとならないんだよね」
「はい!がんばります!」
「つきましては、装備を渡します」
「ありがとうございます!」
「じゃ、姉さんお願いします」
「はいはーい、まずはこの刀ね、S級の不思議ダンジョンでドロップした武器、雷電よ」
「へーなんか凄そうですね」
朱里ちゃんの反応が薄い。
「今の所、汎用の武器でこれより強いのは無いわ。
近接以外にも魔力を込めれば雷魔法を放てるわ、お値段は2億5000万」
「え!は?え!ん?へ?」
朱里ちゃんが値段を聞いて壊れた。
「こっち防具ね、御剣重工のライバル会社の東方インダストリーが出している斥候用のコンバットスーツね。
魔力を込めると障壁を出せるのと、一時的に移動力と回避力を上げられるのがウリね、お値段1億5千万」
「え、いやいや、こんなの受け取れないですよ!そんな、計4億になるじゃないですか!」
「強くなって、うちらに貢献してね」
「分かりました!私、トレハン王になって、世界中のお宝回収します!」
いや、そこまでは求めてない。
「あ、装備代は報酬から天引きしていくからそのつもりで」
あ、朱里ちゃんの動きが止まった。
「これって…貰えるわけじゃ無いんですか?」
「それは無理、嫌なら返して他の人雇うから」
「嫌じゃ無いです!これはもう私のものです!」
顔の残像残るくらいブンブン横に振ってる。
「そうだ、これからのダンジョンでの稼ぎの分配なんだけど、きっちり4等分にしようと思う。
理由は考えるのがめんどくさいから。
貢献度とかそういうのは無しにしたい。
恵ちゃん、それで処理するようにして」
「ええでー」
自分の取り分が減るのに快く引き受けてくれる恵ちゃんってマジ天使。
「あ、あと、残りの金額で2人分リング買っておいたわよ。
これもコンバットスーツほどじゃ無いけど、障壁作れるから防御面でかなり優秀になったと思う」
「ありがとうございます」
「良いのよ、私もバッグ買ったし」
お世話になってるお礼をこめて好きなブランド品1つ買って良いって言ってあった。
「今日は顔見せなんでこれで解散!来週から頑張りましょう!
あ、恵ちゃんはちょっと残ってね」
さてと、色々な疑問を解消するお時間の始まりだ。
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