第15話 確保

「なんだポーターもしらねぇのか?荷物運び専門の探索者だよ」


「そんな人達いるんですか?」


「ああ、何もダンジョン探索に向いた職業ばかりじゃないからな」


「え?クラスチェンジすれば良いんじゃなくて?」


「かぁぁぁお前は分かってねぇな!クラスチェンジは同じ大グループ内でしか出来ないんだよ!」


「大グループ?」


「お前が思っているのは、戦闘っていうグループの奴らの話だろ?他にも一般と生産のクラスがあるんだよ!

 俺たちはファーマーってクラスだ」


「知らなかった…」


「そんな事も知らないとか、お前は大した調べもしねぇで探索者になったんだろ?

 世の中にはな一般や生産になってもダンジョン探索したいって夢を捨てきれない奴がいるんだよ。

 そういう奴がポーターやってる。

 まぁ、良かったら雇ってやりな」


 知らなかった…夢を諦められないって辛くないのかな?


「おいおいおい、あんまり深刻な顔するんじゃねぇよ!

 あいつらは、あいつらでプライド持ってやってるんだから、下にみたり、憐れんだりするんじゃめぇぞ!」


「はい、分かりました!教えてくれてありがとうございます!」

 俺は深々と頭を下げてダンジョンから戻ることにした。


 1回お姉さんにポーターの事相談しよう。

 今回のオークの武器は諦めよう。


「こんにちはー」

 ウサギ小屋のお姉さんを訪問した。


「あら少年、どうしたの?」


「ちょっと相談したい事あってぇ、ポーター雇いたいんですけどぉ、あ、これついでに換金お願いします」


「えぇぇ、こっちに換金持ってきたの?ここあんまり現金置いてないから振り込みで良い?」


「あ、はい」


「うんと、ポーターだったっけ?誰でも良いの?」


「なんでポーターの事教えてくれなかったんですか?」


「甘えないの!探索者は自分で調べて、自分で生きていくもので、誰かに頼ってばかりいたらいつか死んじゃうからね」


「はーい、わっかりましたー」


「拗ねない、拗ねない、とりあえず誰でも良いならちょうど良い人いるから紹介してあげるわ、SNSの連絡先教えてあげるから、次来る前の日に連絡して」


「え!連絡先交換して良いんですか?」


「あ、業務連絡以外で連絡よこしても無視するから、してこないでね」


「うっ、はい」


「普通は教えないんだから、教えてもらっただけありがたく思いなさいよ」


「はい、あ、ちょっとダンジョン行ってきます」


「ん?テイムしてくるのね」


「はい、戻ってきたらしようと思ってたんで」


「あーじゃあ、10階のボスは小高い丘の神社みたいな所にいるから、そこ行ってね。

 今までみたいに全滅させても出てこないからね」


「はい、ありがとうございます!行ってきます」


「気をつけてね」


「はい!」

 なんだかんだで甘やかされてる気がする。


 10階まで降りて行って、ボスモンスターに会ったんだけどテイム出来ない。

『今はテイム出来ませんって』言われる。


 今は?

 仕方がないからボス倒して、一応下に行けるようにだけしとくかぁ。


 ん?何かドロップしたな。

 なんだこの玉?

 サイズが屋台のスーパーボールすくいで流れてるボールくらいのサイズだ。


 スキルオーブとかこんな感じだったな。

 あれってもの凄い確率低いだけで、どんなモンスターからでも出るんだっけ。

 俺、レア引いちゃった?


 使用するって念じて使ってみよう。


『ステータスオーブ発動ー ***の条件獲得ーのロックを解除します』

 あちゃー、解除されたら、この効果結局なんだかわからないじゃん。

 ま、いっか、この子強いし、悪い効果じゃないだろうし


「帰りますー」

 プレハブにちょっと顔出して声だけかけて帰る事にした。


「はーい、またねー」



 彼は見落として居た。

 ***の条件獲得が、神格化の条件獲得に変わった瞬間を。


【後書き】

 お読み頂き、ありがとうございます。

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 よろしくお願いします。

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