第16話 雇用
『明日行きます』
『り』
お姉さんに連絡したら、即返信があった。
了解の短縮だってくらいは普段コミュ障の俺でも分かるけど。
実際もらうと、めっちゃ寂しい…。
でも、これ以上連絡しても返信しないって言われたしなぁ。
…寝よ。
ー翌朝ー
ウサギ小屋に着いた。
「おはようございます」
「相変わらず早いわねぇ」
「え、いや、まぁ」
こういう時に気の利いた事が言えないのがコミュ障のコミュ障たる所以なんだろうな。
「とりあえず紹介するわね、
そう言って紹介された女の子は身長は150cmより確実に低く、黒のウサ耳付きベレー帽を被った、ちょっと茶髪のショートヘアの女の子だった。
アイドルって言われれば信じる事が出来るくらい可愛かった。
「えっと、その、神成俊輔です!よろしくお願いしマッシュ」
焦ってかんだ。
「寿比 恵や、お兄さんよろしゅう」
ぴょこっとお辞儀する。
おー関西弁なんだ!
見た目も確かに可愛いんだけど、動きがなんか小動物的でそういう方面でも可愛い。
「知らないだろうから説明するけど、錬金術師は戦闘職じゃないけど一般職の中では探索者適正の高い職業よ、年齢的なものと見た目でポーターとして雇って貰えなくて燻ってたけど将来性はかなり高いわ」
「年齢と見た目?」
「ポーターって荷物運ぶのが1番重要な仕事だから、どうしても力ありそうなマッチョとかが好まれるのよ。
年齢も若いポーターは寄生目的って思われがちでね、敬遠されがちなの」
「そういうものなんですね」
可愛いのがハンデとかあるんだな
「とりあえず彼女の情報ね」
そう言って彼女のステータスを書いた紙をプリントアウトしてくれた。
寿比 恵 レベル1
クラス: アルケミスト
強さ 3 物理的攻撃力
器用 5 命中率
素早さ9 回避率、移動速度
知性 15 魔法的攻撃力
耐久力7 HP基準値
賢さ 25 MP基準値
HP 7
MP 25
スキル アルケミストボックス
レベルアップ上昇値 各1、固定上昇値 知性1 賢さ1、任意上昇値1
「ウサギが好きって理由でこのダンジョン来たんだけど、残念ながら戦闘職じゃないから単独でのダンジョン探索は許可されないの。
能力的にはレベルアップすれば役に立つアイテム作れるスキル覚えるし、アルケミストボックスは錬金用のアイテムを入れておける限定版のアイテムボックスみたいなもんなんだけど、錬金出来ないアイテムってほとんど無いから実質アイテムボックスと変わらないわ」
正直今の説明のどれがメリットで、どれがデメリットか良く分かって無いけど、可愛いしポーターで一緒にダンジョン来てくれるんだったら単純に嬉しい。
「よろしくお願いします!気軽に俊輔って呼んでください!」
そう言って右手を差し出す。
「うん!一緒に探索出来て嬉しいわぁ!恵って呼んでな!」
彼女もそれを握り返してくれた。
「ん?契約成立なの?金銭面の話してないけど、じゃあ日給は1万円ね、それと別に彼女が持ったアイテムの半分は彼女の物とするって事で良いわね」
「あ、はい、それでOKです!」
「ちょちょちょちょっと待ちい!
それってDランクのポーターさんのそれもほぼ最高額の契約やんか!
ウチ駆け出しやのに、そんなんあかんて、そういうとこちゃんとせなあかん!」
「え?良いんじゃない?本人もそれで良いって言ってるし、この子テイマーだからレベル上げるのハンデあるから代わりにお金で貰っちゃいなよ」
「えぇぇ、さすがにそれはあかんやろぉ」
「大丈夫だって、ね、俊くんも大丈夫でしょ?」
「はい!大丈夫です!早速芋掘りダンジョン行きたいです!」
「ほら、本人がこう言ってるんだから、さっさと契約書にサインしてダンジョン行っておいで」
「え、あ、うーん…ほな、そうします!頑張ってお役に立てるするんでなんでも言ってな」
「そうと決まれば、これは私からのプレゼント。
戦闘に参加しないと経験値貰えないからこれ持って行って」
お姉さんはそう言って恵ちゃんにスリングを渡した。
テイマーだからうっかり気にしてなかったけど、そう言えば普通は戦闘に参加しないと経験値って入らなかったんだ。
さすがお姉さん、隙がない。
「じゃあ、ダンジョン行ってきますね!」
俺は彼女を連れてハイテンションで芋掘りダンジョンに向かう。
気分は完全にデートである。
【後書き】
お読み頂き、ありがとうございます。
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よろしくお願いします。
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