第14話 和解
流石にやり過ぎたと思う。
とりあえず全員キャリーに戻して、この闘牛場みたいな訓練所の出入り口付近まで移動して、座って待つことにした。
もう少ししたらパラライズも切れるでしょ。
こういう時間は長く感じる、多分数分だと思うんだけど。
…
…
…
やっと切れたよ。
「まだやる?やるなら全部手足ちぎるけど」
「ヒィィ!助けてくれ!」
「いや助けてじゃなくて、負け認めてよ」
「認める!認める!」
「もう絡まない?他の人にも絡んでこないように言ってね」
「分かった!分かったから早く訓練解除してくれ!」
「じゃあ相手も負けを認めたので俺も自分の勝利を認めます!」
訓練所の結界のようなものが外れた感じがした。
その瞬間相手が全員一瞬で元に戻る。
もうどこも痛くないはずだけど、今までの痛みの記憶が残っているせいか、全員ピクリとも動かない。
やっとダンジョン潜れるな。
途中で目的忘れる所だったよ。
訓練所を出て、ダンジョンに降りていく。
ここも下に行くタイプのダンジョンだ。
2階に降りると、そこは田舎の畑って感じの芋畑がズラーっと並んでた。
視界の範囲が全部芋って感じだ。
その畑の中にちらほらと人が見える。
で、人のいる辺りには必ず護衛?見張り?みたいな人が立ってる。
とりあえず、近づいて話聞いてみようかな。
「すいませ〜ん」
「ん?なんだ?芋掘りならこの辺は縄張り決まってるから勝手にしちゃダメだぞ」
「あー大丈夫です。モンスターと戦いたくて、どの辺にいるかなぁって思って」
「それなら2階は定期的に駆除されてるから難しいぞ。
3階の方がまだいるだろうから、そっち行ったほうが効率いいぞ」
「そうなんですね、ありがとうございます」
広大な芋畑のあぜ道みたいな所を歩き下の階への入り口までやって来た。
本当にここまで1匹もモンスターに会わなかった。
もう、完全に農村だねここ。
芋自体は1個15円くらいらしいけど、何も手間をかけないのに次の週にはほぼ元に戻っているらしく、食糧の安定供給に相当貢献しているらしい。
質より量なんだろうね。
1日1000個回収すれば日給としては充分稼げるか。
そう考えるとあんまり人増えても困るんだろうな、こういう縄張り見たいの出来るのもしょうがないのかな。
3階に降りてもやっぱり、芋畑の続く土地に奥に山、もう田舎って検索したら最初に出てきそうな風景だ。
所々に芋掘りしてる人と見張りの人。
一瞬俺降りたよねって確認のために振り返って階段確認しちゃったよ。
とりあえず、さっきと同じように近くの見張りみたいな人に声かけよっと。
「すいませ〜ん、モンスターと戦いたいんですかどうすればいいですか〜」
「おお!ちょうど良かった、向こうの山の麓にオークの集落が出来てるらしから間引きしてくれやー」
「全滅させなくて良いんですか?」
「結構な数いるから減らしてくれるだけで良いぞー」
「ワイルドボアとも戦ってみたいんですけど」
「オークの集落が出来ると大体反対側にそれに対抗しようと猪どもも群れるから、向こうの山行けばいるんじゃないか?」
「へぇそういうもんなんだ。
ありがとうございます。
ちょっと行ってきます」
「モンスターならいくらでも狩っていいからなーその代わり芋は勝手に取るなよー」
「はーい」
見張りの人に教えてもらった場所までノバ達と歩いていく。
思ったより距離あった。
道中でモンスターには全然会わなかった。
その代わり、芋掘りと見張りの人には何回かあって、毎回モンスター目的なのと芋掘りしない説明をしなければいけなかった。
芋掘りの縄張り意識が相当強いなぁ
ノバたちが先に行きたがるんで、周囲の偵察に向かわせた。
俺はここで待機する。
この状態でいきなりオークとかに会ったら絶対死んじゃうからな。
じっと物陰に隠れておこう。
少しすると何か反応が返って来た
居るの?って思念送ったら。
肯定の意思が帰ってきた。
慎重にその方向に移動してみる。
森が開けた結構なサイズの土地にビックリするくらいオークがいた。
え?100匹くらい居ないこれ?
ここにいる人達が呑気に言ってたから10匹くらいかと思ったら全然違った。
危機感なさすぎじゃない?
こういうもんなのかな?
ま、いっか、俺は俺の出来ることをしよう。
テイマーのいい所は誰が倒しても同じだけ経験値が入る所だから、最初はノバに行ってもらって、幾つかレベルが上がったらパルにも参戦してもらおう。
経験値が入ってからランクやレベルの補正かかるから、パルがレベル上がってもノバは上がらないのが残念だけどしょうがない。
「よし、じゃあ、パルはレベル上がるまで待機ね、ノバ!好きに暴れて良いよ!ゴー!」
自分への確認も含めて声に出して命令してみた。
あ!テイムリンク忘れてた!かけなきゃ!
「テイムリンク!」
あっぶな、ギリギリ間に合った。
あんまり距離離れると効果範囲から外れてしまうから。
待つこと数分。
ノバ無双が続いている。
小さすぎて相手が全然捉えられないし、ピンポイントで足ばっか狙うから。
相手の動きがどんどん鈍くなる。
余裕ができるとトドメ刺すって感じだな。
やっとパルのレベルも上がったから参戦してきて。
魔石とかドロップ品回収したいけど、人手が足りない。
10分後。
ほぼ戦闘は見えてきたなぁ。
あとは掃討戦だなぁ、逃げ出すやついないように殲滅してね。
あーでもモンスターって逃げ出すって行動しないのかな?
逃げ出す気配ないなぁ。
予想はしてたけど、うちの子たちの敵じゃないな。
魔石を持ってきているリュックに入れて、うーん、斧と棍棒は重いなぁ…あ!肉まで出てるじゃん!激レアって聞いたけど、これは持って帰りたいな。
魔石と肉は持って帰るとして、この武器さっきの人達引き取ってくんねぇかな。
聞いてみようかな。
とりあえず、人の居るところまで早速移動してきた。
「すいませ〜ん、オークの武器とか買って貰えないですかぁ?」
「ん?なんだオーク狩りしてたのか?珍しいな」
「あ、やっぱりこの辺の人ってオーク放置なんですか?」
「芋掘れば良い金になるしな!わざわざ危ない真似する事もないだろう」
それってダンジョンとしてどうよ?
「で、武器とか買って貰えないですか?」
「あー買ってやりたいが、協会に見つかると面倒だしな。
ポーター雇えば良いじゃねぇか」
ポーター?
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