第13話 ネット情報

 この訓練所は非常に優秀だ。

 どんな素早い攻撃でも反応するし、この一撃で終わるというダメージ量も瞬時に判断できる。

 毒などのスリップダメージでもちゃんと対応してくれる。

 しかし、唯一対応出来ないのが即死である。

 これだけは、死のタイミングで割り込めない。


 その為出来たのが、優先権ルールだ。

 アクティブなら即死攻撃をやめる、パッシブならその者を戦闘に参加させない代わりに、戦闘の優先権を与えると言うルールである。


 お互いの人数差かける5秒、反撃をせずにいなければならない。


 このルールを利用したのがテイマー対人術だ。


 テイムモンスターに即死攻撃のモンスターを置く、優先権を使わせる。


 優先権を使わないんじゃないかって話も出たが、実際に戦う時に絶対死なないとわずかでも即死するで即死を選べる人は少ない。

 偶然当たったダメージにもならない攻撃がスキル発動したら死ぬのである。


 仮にそれが0.1%くらいの確率でも、100発当たれば10%になる、1000発当たればほぼ100%になる。


 余程じゃない限り優先権を発動する。

 この時テイムモンスターは人数として数えられない。


 所詮テイマーという認識があるし、個人の能力が低いテイマーを守ろうという意識も働いて、テイマーのモンスターを数えないルールはこのまま正式に認められた。


 と、ネットに書いてあった。


 今回だと、20秒俺は一方的に攻撃できる。


 まさかボーパルバニーの方が戦闘力低いなんて思ってないだろうな。


 俺はキャリーケースからノバとパルを出す。


「ギャハハハハ!なんだあのウサギ!ボーパルバニー以外雑魚じゃねぇか!」

 見た目ならそうなるよな。


 ノバは相変わらずサイズ変わらずだしね。

 手乗りサイズの角無しウサギにしか見えない。


 笑い声を聞きながら、俺はノバに意識を向けていた。


 スキルの効果確認したいな。

 そうだ、ピンポイントって単純に弱点に攻撃してクリティカルしやすくするだけじゃなく、足だけとか部位破壊的な事出来るのかな?


 ノバ出来る?

 思念を送ってみると、出来るって感じの意思が伝わって来た。


 あとはすぐに倒すの面白くないから、腕と足潰してジワジワ攻めよう。

 戦闘力だけ無くして痛い目にあってもらう。


 相手は俺と同じくらいなレベル帯のはず、ならどんなにステータス差が大きくても俺の倍までは無いはず。

 この子が20秒好き勝手に暴れたら、持たないだろうな。


 作戦内容的には、『全力で痛ぶろう!』で。

 まぁ、正直かなりムカついてるし、今後のためにも見せしめになってもらおうと思う。


 戦闘が始まった。


 俺も出来る事しないと!

「テイムリンク!」

 これはテイマーなら誰でも持っているスキル。


 って言うか、このスキルがあるのでテイマーはモンスターの数を自重出来ないまである。


 テイムリンクはバフスキルで、戦闘参加中のテイムモンスターの数×その時のランクの総和%ステータス上昇を行う。


 これを活用する為、戦闘に参加させないのにわざわざボーパルバニーも出して、戦闘参加扱いにしたんだし。

 本当は反則だけど向こうから何も言われて無いからね、1対5なんだし多少のズルは俺的にはセーフだ。


 これで2匹×9で18%のステータス上昇だ!


 行動を遅らせていたノバが一瞬で距離を詰めた。


 1人目の足の骨を砕く。

 折るじゃない砕く。


 その男のうめき声が上がった頃には隣の男が転がされる。

 とんでもない音がして関節のない部分が絶対曲がってはいけない方を向いている。


 3人目、4人目と次々足が折れていく。


「う、うわぁ!」

 まだ優先権の時間内なのに俺に攻撃しようと戦闘体制をとった。

 うん、俺を見てる場合じゃないと思うんだ。


 後ろから、ノバに膝砕かれてそのまま前に倒れ込んだ。


 ノバがよくとんでもないスピードで相手を制圧してしまった。

 あと、9秒もあるのに。


 2秒で両足砕いていった感じかな。


 その後も飛び跳ねて腕もバキバキに追ってる。


 あ、よく見たら全員麻痺してるじゃん。


 ピンポイントにパラライズ乗せれるんだなぁ。


 でも、どうしよう?


 パラライズ中喋れなくなってるから、相手は負けを認められないや。

 向こう全員が明確に負けを認めて俺が勝ちを認めるか、死に至る攻撃を俺がしないと終わらないからなぁ。


 ノバ!パラライズは使わないように!

 思念を送ったら、分かったって意思が帰ってきた。


 とはいえ、手遅れ感が半端ないな。


 あーでも困ったなぁー、これ相手ギブアップするまで暇だな。

 殺す?

 えー殺すかぁ、死なないシステムなのは分かってるけど、なんかやだなぁ


「すいません、これってルール今から変えられないですかね?」

 近くのギャラリーに聞いてみる。


「お互いの合意を得ないと無理だな」


「そっかー」

 戦闘が終われば完治するらしいけど、戦闘中は折れたり取れたりしても直さないらしい。

 出血も、致死量と判断される寸前までは放置状態らしい。


「まいったなーこれどうやって相手の負けを認めさせればいいんだ?」

 殺すのやだなぁ


 とりあえず1回戻って来てもらって…うおおお!手首から先引きちぎった!


「ストップ!もういい!戻ってこい!」

 うわ、手は持ってこなくて良いって!


 戦闘力無くすには手をちぎるのが1番って意思が伝わってきた。


 あー、戦闘力無くせって言った俺が悪いのかぁ。


 てか、この子賢いな!


 あ、ダメだダメだ、思わず褒めようとしたけど、手首持って来てよしよしとか、ギャラリードン引きになっちゃう。


【後書き】

 お読み頂き、ありがとうございます。

 この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と少しでも思ってくださった方はフォローや↓の『☆☆☆』を『★★★』に評価して下さるとありがたいです。

 よろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る