第95話 引き込み

「恵ちゃん、やっぱり光莉ちゃんと朱里ちゃんも巻き込もうって思う」

「お兄さんの意見は尊重するけど、ええの?」


「うん、俺って自分勝手だからね、死にたく無いから味方増やしたい」

「黒の契約どうする?」


「使う。

 裏切らないならあんなお手軽な強化無いし、それを受け入れられないって事は裏切る気持ちはどこかにあるって事だし」


「せやなぁ」


「よし!この戦闘終わったら二人に言う!」

「うん、分かった!ウチも出来るだけフォローする!」

 …

 …

 …

「よし!次の戦闘終わったら二人と話すよ!」

「うん、フォローするで」

 …

 …

 …

「じゃあ、次の戦闘終わったら二人にお願いする!」

「せやな」

 …

 …

 …

「さてと、次の戦闘…」

「ええ加減にしいやぁ!

 さっきから次の次のっていつまでやんねん!

 男なんだから、シャキッとせんかい!」


「…はい」


「どうしたんですか?」

 朱里ちゃんが恵ちゃんの声を聞いてやって来た。


「えっと、あのね、うーんと、なんて言うか」

「もう!あのな、お願いあんねん!ただ内容聞くと後戻り出来ないし、命の危険もめっちゃあんねん!そんな話なんやけど聞く?」


「俊輔さんは私を必要と思ってくれてるんですか?」

「うん出来れば協力して欲しい」


「じゃあ、聞きます」

「え?そんな簡単に良いの?」


「皆さんが思ってるより、私がトレジャーハンターになりたいって気持ちって凄い強かったんですよ。

 本当に命かけても良いって思うくらい。

 だから、命の危険があるって言われても、その覚悟はしてるつもりです」


「分かった…ありがとう」


「いえ、私こそありがとうですよ。

 本当に叶わない夢だって思ってたんですから」


 後は光莉ちゃんか…。

 どうしようかなぁ…。


「おう、光莉!お前も兄貴と一緒にやるんだろ?」

 ちょ!おい!たかし!

「何を?」


「えーお前聞いてねぇの?さっさと聞いて契約しちまえって。

 じゃねぇと言えないんだわ」

「そうなの?」


「そうだぞ、兄貴ぃちょっとこいつに説明してそっちの恵ちゃんでしたっけ?

 その子の契約しちまって貰って良いっすか?

 じゃねぇと会話しづらくてしょうがないんで」

 たかし…いや、助かったけど、え、なんだろう、なんか釈然としない!


 何はともあれ、説明する舞台は整ったので、恵ちゃんから全部説明して貰って、俺も協力するって事にしたことを話す。


「分かりました!私で出来る事であれば何でもします!」

 朱里ちゃんが燃えてる。

「ドンちゃんの敵は私の敵っす!」

 えーっと、光莉ちゃん間違ってないけど、なんか違う。

「フグッ、エッグゥ、フブワァ、ぞんなぁ、おで、おで、頑張るっずぅ」

 あ、そうか!

 たかしに事情は何にも話してなかったわ!


 しっかし、泣き崩れるたかしって、きったねぇなぁ。

 鼻水とか出まくりじゃねぇか。


「兄ぎぃ、おで、がん…」

「うわぁ!近づくな、汚い!鼻水付く!よだれ付く!」


「フババババババ」

 ピノの雷魔法で動きを止めた。


 一瞬このまま息の根も止めようかと思ったのは内緒だ!


 そんなたかしは置いといて。

 とにかく二人とも味方でいてくれるし、黒の契約にも応じてくれた。


 相手が強大過ぎて安心は出来ないけど、味方は少しでも増やしておきたい。


 問題は合流の後、俺たちが命を狙ってる事を知られないようにしなければならない。

 おそらく気付かれたらそこで終わりだ。


 出来れば毒殺とかで穏便に済ませせたいけど、そんなんでどうにかなるなら、とっくに恵ちゃんが殺してるだろうしなぁ。



 難しいよなぁ。


【後書き】

 お読み頂き、ありがとうございます。

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 よろしくお願いします。

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