第85話 新しいウサギ 2
「こんにちわー」
「あら、何しに来たの?」
すっごい目で睨まれた。
「え!怒ってます?」
「あっっっったり前でしょ!貴方ねぇ!どこの世界に勇者殺す人が居るのよ!」
「だって、向こうが襲って来たんだし」
「アマゾネス二人が制圧寸前までいってたんでしょ?」
「…はい」
「わざわざ殺したのよね」
「わざわざっていうか、ちゃんとリスクは背負って欲しいっていうか」
「意図的に殺したわよね」
「…はい」
「その行動自体は否定しないわ。
でもね…」
お姉さんが息を思いっきり吸い込んだ。
「後処理どんだけ大変だったとおもうのよ!勇者死んだってことで国まで動こうとするし!貴方の存在関係各所にバレるし!その各所からの圧力かわすのに色々動かないとならないし!今回の事で白銀の重要性上がって今まで以上に行動に制限かかるし!もうもうもうもう、やるならやるで最初から言っておいて!」
「戦乙女の人たちは、特にお咎め無しって…」
「あんな脳筋戦闘バカにこっちの苦労なんて分かるわけ無いでしょう!」
やばい、火に油注いだ。
「突発的な事態だったし、最初から言うとか難しいっていうか…」
「私に直接連絡出来るわよね?」
「…あ!」
「もしかして忘れてたの?」
黙って頷いた。
「はぁ…良い?次からは絶対連絡して!」
めちゃくちゃ深いため息の後に、ノーと言えない圧力で念をおされた。
「あ、それで今回なんですが、多分俺を追ってくる奴いるんじゃないかなって」
「いい?探索者はモンスターじゃなくて人だという事、決して経験値という数値で見ない事、この気持ちだけは忘れないでちょうだい」
「止めないんですか?」
「私が?忘れたの?私もそっち側の人間よ、貴方を引き摺り込んだ自覚はちゃんとあるわ、それに他人の命を奪おうとするものがどうなっても構わないって思ってるのも事実だわ。
色々矛盾してるけどね」
「どんどん殺せって言われるのもなんか嫌なんで、俺的にもありがたいですよ。
俺も色々矛盾してると思いますけど」
「そんなものよ、白だの黒だの単純に色分け出来るなら苦労しないわよ」
「じゃあ、行ってきます!」
「どこに?」
「ほえ?いや、ダンジョンに」
「何しに?まだ貴方を追って来てる探索者来てないわよ」
「え、いやウサギ捕まえに」
「今更ボス以外のウサギをテイムするの?」
「え?ボスいないんですか?」
「ここ最下層が30階でそこにはボス居ないわよ。
モンスターも何故かホーンレスラビットに戻るし」
あれ?なんかデジャブ。
あったなそんな現象。
「スライムダンジョンで似たような現象見ました」
「そうなの?」
「もしかしたら、もしかするんで、行ってきます!」
「そう?じゃあ行ってらっしゃい」
ー30階ー
「よし!攻撃しちゃダメだぞ!」
ドンにはここで俺を守ってもらって、他の子たちはモンスターを引きつけて貰うために周囲に放った。
スライムダンジョンと同じギミックなら、全部集めてくれば何か起きるはず。
しばらく待つと各自がホーンレスラビットを引き連れてきた。
最弱モンスターだけど、これだけいると凄いなぁ。
しかし、スライムと違ってウサギだからなぁ。
なんて考えてたら、集合体恐怖症の人には見せられないくらい密集してきた。
これは?どうなんだ?
ん?他の奴の上に乗るのが出てきたな。
だんだん形がデカいウサギになってきたぞ。
人の身体をまとめて、それで人の顔を描いてる絵を見たことあるけど、それのウサギ版?
ウサギがまとまって大きなウサギを形作るみたいな。
それが光ると完全な大きなウサギになった。
おー、スライムの時と同じ現象だー。
早速テイムしよ。
「コロニーラビットっていうのか、じゃあコロでいいな」
ネームドモンスターになりました。
ステータス、潜在能力、が強化されます。
特殊進化が開放されます。
ドミネーター効果でユニーク化出来ます。
行いますか?
「おおう!」
思わず声出たよ!
なるほど、ランクアップした甲斐あったな!
もちろん『はい』だ!
俺は新しい力にワクワクしながら変化を待った。
【後書き】
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