第92話 独白
きっかけは暇つぶしの掲示板巡りだった。
「探索者が狩られてる?」
真っ先に思ったのは、俺も経験値欲しいだった。
自分でいうのもなんだが、経験値の魔力に毒されてるわ。
「まさか、健二じゃないよな?」
次に思ったのがこれだ。
経験値が大量に入る。
単純だがこれほどに魅力的なものはない。
モンスターを倒して歩くよりも何倍も早く成長する。
しかも、テイムモンスターはさらにその上昇率が高い。
一抹に不安を覚えた俺は行方不明リストを閲覧した。
「うわ、全員やられてるわ」
俺らに絡んできてた探索者が軒並み居なくなってる。
しかも早い段階でだ。
健二がまず俺たちに害をなした相手を誅殺して、その後、殺しても大丈夫なやつを狩ってると考えると辻褄があう。
「これはマズイんじゃなかろうか…」
俺が暇つぶし程度にネット漁っただけで、ここまで辿りついた。
いや、辿り着けてしまった。
ちょっと本格的に調べられたら、すぐ捕らえられてしまうんじゃなかろうか。
俺は健二を止める事を決意する。
ー20時ー
職員もみんな帰って、電気も消されて雰囲気だけで言うなら深夜みたいになってる。
「コロ」
うちの新戦力コロを装備する。
このまま外に出たはいいけどどうしようって思ってる所で恵ちゃんに遭遇した。
ノープランで抜け出して来たから正直助かった。
でも、俺がしようとしてる事を認めてくれるかな?
ちょっと誤魔化したけど、恵ちゃんは俺の行動をに対して信用してくれてる。
…やっぱり正直に全部話そう。
「なるほどなぁ、それはちょっとヤバいかもしれへんな」
「単純に健二の身がってのもあるけど、本命に変に勘繰られても困るし」
「確かになぁ」
「それで素行不良な奴らをつけてれば、健二に遭遇出来るかな思ったんだけど」
「お兄さん、それなら健二さんの動向調べたら方が手っ取り早いで」
「…確かに!」
ということで、健二発見!
でも、全然やめそうな雰囲気ないな。
「なぁ健二、俺がちょっとネット漁っただけでここまで辿りつけたんだ、もうこれ以上はバレるからやめとけって」
「僕は君も力になりたくて、次期後継者として会社の運営に力を入れようと思ったんだ」
ポツリ、ポツリと健二が話しだす。
「うん、健二にはそっち方面で頑張って欲しい」
「うちの企業にも当然裏はある。
その中にかなり大きな資金を提供している計画があった」
「そういう事もあるよね」
「その計画は失敗して秘密裏に処理されたけど、三人だけ生き残ってる」
「へー、え!あれ、なんだろう…もしかして色々知ってる?」
「うちから、恵比寿って探索者に依頼を出したこともある。
初期の白銀に装備の提供の記録もあった」
思わず恵ちゃんを見つめる。
恵ちゃんと目があった。
「君の目的はどちらかは分からないけど、白銀か恵比寿を倒すんじゃないのかい?
あの二人は…一人と二人は敵対している」
すげーな、断片的な情報をかき集めてほぼ正解まで辿り着いてるよ。
「三人のうち一人は白銀、一人はウサギ小屋のお姉さん、そして恵比寿は恵ちゃん…君じゃないのかい?」
「…せやな、でも、そこまで分かってるってウチに言うって事は、味方になるか死ぬかの二択やで」
「僕が彼の敵に回る事なんてないじゃないか、だから戦力になる為にこうやってレベルを上げているんだ」
「気持ちはわかった、だが、これ以上はマズイ、お前が居なくなると権力方面の伝手が無くなる。
俺たちの目的も達成しづらくなる」
「…」
「それに、大切な友達が居なくなるのは…困る…」
「分かったよ」
健二がニッコリと笑いかけて来た。
俺たちはガッチリと握手する。
「あのう、俺はどうすれば」
…
…
…
あ、たかし…。
「やっべーコイツの存在忘れてた!しょうがない情報漏洩したら困るし、ヤルか」
「待った!ストップ!仲間になるから殺すのは待って!」
どうしよう…。
困って恵ちゃんを見つめる。
「ふっふっふ、ウチの出番やで!アズライールの固有スキル、黒の契約や!」
「なんか怖そうだね」
「この契約を交わしたものは、強力なバフを得られるんやけど、約束破ったら即あの世行きや!
今回は、ウチらの秘密を口外しない、裏切らない、命令を拒否しないって内容で契約する。
制約が3つやから、任意にステータス三箇所三割増しになるで」
「すごいスキルだね、使いようで自分たちの強化にも使えるし、相手を拘束する手段にもなる」
「お互いに同意が必要なのと、その時の制約の内容で強化度変わるから、使い所難しいんやけどね」
こうして新たな戦力『たかし』を得て、健二の暴走も止められた。
めでたしめでたし。
かな?
【後書き】
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