第93話 庇護

「なんで、こうなった」

 無遠慮に俺に部屋でくつろぐたかしを見つめる。


 急遽俺たちのパーティに参加することになったのは良いけど、そんな予定無かったから、たかしを泊める場所がない。


 いや、部屋はあるけど、この施設そんな簡単にホイホイ泊められる場所じゃ無かった。


「ここはホテルじゃない」

 ってキッパリ言われてしまった。


 とはいえ野放しにすら訳にもいかず、すったもんだで最終的に俺の部屋に同居で落ち着いた。


 いや!落ち着いてねぇし!


 こいつ冷蔵庫のもの勝手に飲むし、食うし、俺より先にシャワー浴びて風呂場ビッシャビシャだし、テレビ見てソファーに横になってくつろぐし

 やっぱり処した方が良いんじゃないか、こいつ


 タカシケイケンチ…おっとヤバいヤバい、ちょっと経験値の塊に見えてしまった。


 せっかく黒の契約で強化したし、盾くらいにはなるだろうし、頑張って貰わないと。

 …

 …

 …

 しかし、腹立つな!



 ー翌日ー

「ようやく白銀とも調整が取れた。

 明後日から合流してもらう」


 ついにこの日が来た。


 襲撃する予定の相手に、他からの襲撃を守ってもらう。

 酷く歪な関係が出来上がる。


 出来るだけ酷い奴だと良いな。

 殺すに躊躇しなくて済む。


「白銀の性格上、会ったらまずは訓練所だろうからパーティ戦の調整しておくように」


 え?いきなり戦うの?

 んーでも今の実力差知るのには丁度良いのかな?


 どっちにしろ俺は後ろで見てるだけだしなぁ。

 他のみんなが頑張ってくれるだろ、特にたかしには頑張って貰わないとな!


 少しでも経験値稼いでおきたいから、近くのダンジョンに潜る事にした。

 B級のダンジョンで恐竜が出るダンジョンがある。


 通称『ジャラシックダンジョン』


 うん、まんまだな。


 って事で、現地集合!


 ージュエラシックダンジョンー


「兄いちゃん!何でここに居るんだよ!」

「光莉!お前ここに居たのか!探したんだぞ!」


 あれ?


「兄いちゃんが、私のクラス利用して勇者に媚び売ろうしたからでしょうが!」


「お前が元凶か!」


「え、いや、違うんです!脅されたんですよ俺も!」

 たかしが必死に言い訳しだした。


「脅されたからって、妹売る兄とか最低」

 朱里ちゃんの精神攻撃がクリティカルヒットしてるな。


「いや…違うんだ…」

「お兄さんがこんな人じゃなくて良かったわぁ」

 おおっと!恵ちゃんも容赦ないな!


「兄いちゃん、ごめんなさいは?」

「ほべんなざい」

 あーあ、たかし泣いちゃった。


 みんなに経験値を渡さないと意味ないから、パルの即死で全滅作戦は今回はしない。


「うーん、たかしの装備しょぼいなぁ」

 今、三階まで降りて、トリケラトプスを飼っている。

 たかしの動きは悪くないんだけど、本職の戦闘職なのに朱里ちゃんに見劣りする。


 明らかに装備が通用してない。


「朱里ちゃんのが良すぎるだけやで、大概あんなもんやん」


 仕方ない、またお姉さんに装備調達して貰わないと。

 たかし…やっぱり処した方が良いんじゃなかろうか。


「うわ!急にウサギから殺意が!何で俺にぃぃ!」

 しまった!俺の想いが通じすぎた!


「ごめんごめん、イッツジョーク!テイマージョークだよー」

 うん、これで誤魔化せた。


「お兄さん、それで誤魔化すのは無理があるで」

 あっれー?


 しかし、たかし相変わらず『パウダースパーク』使ってるのな。

 まぁ、経験値稼ぐなら効率最強だけど、普通レベル上がったら遠慮して使わなくなるもんだけどなぁ。


 連携の練習的には割と順調っぽいし、俺も新しい力を披露しちゃおうかな。


【後書き】

 お読み頂き、ありがとうございます。

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 よろしくお願いします。

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