第81話 第二の試練 2

 今日から物理無効ゾーンからスタートだ。


 ノーネーム レベル1

 キカザル ランク8

 強さ 8 物理的攻撃力

 器用 8 命中率

 素早さ8 回避率、移動速度

 知性 8 魔法的攻撃力

 耐久力8 HP基準値

 賢さ 8 MP基準値

 HP 8

 MP 8

 スキル 物理無効

    

 レベルアップ上昇値 各1、固定上昇値 強さ8 器用8 素早さ8 知性8 耐久力8 賢さ8


 通常のランク8よりは上昇値が少ない。

 少ないけどさ、それでも80レベルで余裕でステータス700超えてくるんだけど。


 大丈夫なのかな、流石にウチの子達でも厳しくない?




 と、思っていた時期が俺にもありました。

 こいつら、状態異常無効に出来ないじゃん。


 つまり最強の状態異常『即死』を防げない。

 こうなるとパル無双が始まる。

 身を潜ませるで気配を消して近づき、射程距離圏内まで近づいたら金遁で確殺。


 金遁は物理特性も魔法特性も備えてるから、どちらか無効にされても攻撃は通る。

 攻撃さえ通ってしまえば、即死判定が入るから余程運が悪くない限り倒せる。

 選んだのはその場の勢いだったけど、金遁ってパルにとって最適解だったんじゃなかろうか。


 まかり間違って生き残ったとして、ノバとピノの攻撃とドンの守りで時間稼ぎされて、クールタイムが終わった第二波の金遁が飛んでくる。


「えげつないわぁ」

 ニコ鬼が思わず声を漏らす。


 ニコ鬼の関西弁初めて聞いたんじゃないだろうか?


 順調に階層を重ねて、最後のモンスター『セザル』の階層までやって来た。


 ノーネーム レベル1

 セザル ランク9

 強さ 9 物理的攻撃力

 器用 9 命中率

 素早さ9 回避率、移動速度

 知性 9 魔法的攻撃力

 耐久力9 HP基準値

 賢さ 9 MP基準値

 HP 9

 MP 9

 スキル 状態異常無効

    

 レベルアップ上昇値 各1、固定上昇値 強さ13 器用13 素早さ13 知性13 耐久力13 賢さ13


 一応少しだけランク9としては上昇値弱いけど、充分過ぎるほど強いな。

 レベル上がっていったら、余裕で1000超えるんだけど。


 しかも状態異常無効持ってるから即死効かないし。


「ここからはウチらの出番やな」

 鬼参戦!


 この2人、両方とも槍使うんだけど、どう見ても金棒の方が似合ってるよな。

 見た目の雰囲気と洗練された槍捌きがどうにも入ってこない。

 違和感しかない。


 それでも、流石の高ランクだな、どちらかが牽制してどちらかが攻撃する。

 その辺のコンビネーションがお互いに合図なしでどんどん入れ替わる。


 息のあった攻撃ってこういうのなんだな。


 うちの子達には2人の邪魔しないように攻撃するように指示を出した。

 ドンとかほぼ何もする事ないな。


 セザルを全て倒すと、その中心にポツンと見覚えのあるオーブが置かれてる。


 ランクアップオーブだ。


「よっしゃ!これや!これが欲しかったんや!」

 俺鬼がめちゃくちゃ喜んでいる。


「俺、いまいちまだここのシステム分かってないんだけど、あれ売っちゃったらどうなるの?」


「この時点でダンジョンに、今ここにいるメンバーが記憶されたの、この状態でオーブを使用しないままで居るとダンジョンに私たちだけじゃなく誰も入れなくなるわ。

 このダンジョンから確保出来るオーブは1つ。

 それが無くならない限り次のオーブは出ないの。

 オーブが出るようになるまでここのダンジョンは閉鎖されちゃうのね。

 そして、このパーティの誰かが上位職になって離脱しない限り、ここに居る者たちは誰も入れなくなるの。

 ダンジョンに記憶されてしまって居るから」


「取った人間以外が上級職になるには、永久に上級職になれないってリスクを他の探索者に押し付けないとならないんだね」


「世界レベルで見れば、ここ以外にもオーブが出るダンジョンはあるから、海外で取るって選択肢もあるわよ。

 だから永久じゃないけど、普通はそこまでリスク背負いたくないわね。

 だから高いのよ」


「ウチらは物理無効で完全にお荷物になんねん。

 それなのにランクアップオーブくれいうてもくれる奴はおらん。

 使ったら次からここに来れへんからな。

 魔法使う奴らにしたら何の報酬も無いのと変わらん。

 実力のある奴は自分が上級職になりたいしな」


「割と手詰まりだったのよ、だから無茶したわ、ごめなさい」


「でも、どうしてそんなにランクアップしたいんですか?」


「私達は戦乙女よ、アマゾネスでもバーサーカーでも、鬼でも無いの」

 ん、ちょっと今視線がキツくなった感じがする。


 鬼って思ってるのばれてーら。


「槍術を修めたバーバリアンの女性って限定条件でな、上級職に出るねんヴァルキュリアが」

「戦乙女になる事は私達の悲願でもあるの」


 そういう考え方の人もいるんだ。


「それで、これはウチらが使ってええんか?」


 これでダメって言ったらここで乱闘が起きそう。

「それは良いし、もう1個取るのも協力するけど、ひとつだけ約束して欲しい」


「なんや?」


「たとえ何があっても決して俺たちの敵側に回らないで欲しい」


「味方になって欲しいんや無いんや」


「そこまでは求めない、敵じゃ無いならそれで良い」


「…そういうって事は何か大それた事考えとるんやろな…まぁええわ、お前が何してもうちらは敵には回らん。

 うちらはお前に恩義を受け取った」


 恩義、ある意味探索者同士としては1番信頼出来る言葉かも。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る