第36話 正しい攻略 3

「はい、カット!

 いやぁ、今回のは1回の配信にまとめるの勿体無いないぁ!

 いやぁ、本当に君のモンスター凄いよ!

 ちょっと予定変更して戦闘とか、その大きなドン君?だっけの乗り心地と撮影させてくれないか?」

 ウチの子を手放しに褒めてくれるのが、素直に嬉しい。


「あ、いいですよ!

 何から行きます?」


「じゃあ、ドン君の乗り心地から行こうかな!」

 実は相当乗りたかったらしい。


「おお、フワッフワのモッフモフじゃないか!

 しかも移動しても揺れないし、人をダメにするクッションよりダメになりそうだ!

 差し詰め、人をダメにする騎獣ってとこかな!

 これはまずい、本当に降りたくなくなる!」

 ご満悦が過ぎないか?

 テンション爆上がりしてるよ。


「あのーそろそろいいですか?」

 朱里ちゃんが声をかける。


 言ってくれてありがとう!

 俺の言いたくても言えない事でも言ってくれる!

 そこに痺れる憧れる!


「あ、やぁ、すまなかったね、これ程とは思ってなくて」

 そう言いながら、やっとゴブゴブさんが降りてくれた。


 その後1体1体の戦闘風景などを撮り。


 充分な撮影ができたとの事で、一般的なボスの所までやってきた。


「はい!ゴブゴブです。

 いやぁすいませんね、当初の目的忘れてすっかりはしゃいでしまいました。

 で、ここからが本格的な攻略です!

 えーっと、あのボスをウチのゴブ男1人で倒せば良いのかな?」


「はい、多分それでいけると思います。

 おそらく条件はテイムされたモンスター1体のみで倒すと思われるので」


「なるほどねぇ『モンスタースキャン』うん、ウチのゴブ男でも倒せそうだ」


「それは良かったです」


「あ、みんなももう分かってると思うけど、こうして確認したステータスを公開するのは非推奨されてるので、基本的に見せないからね!

 見たい人は協会にちゃんとお金払って確認するか自力で調べてね」

 そうだったんだ!気をつけよう。


「じゃあ、ゴブ男に頑張ってもらおうかな!

 いくぞー!『テイムブースト!』種族はゴブリンリーダー!」


 テイムブーストはテイマーのバフスキルの1つ、モンスターの種族を1つ指定して、その指定した種族のステータスを100+テイマーのレベル%増加させる。

 指定出来る種族の範囲が狭くて、この場合だと通常のゴブリンは効果に含まれない。

 ゴブリンリーダーだけ。


 俺も獲得したけど、あまり使い勝手は良くない。


 多分200レベルとかになったら化けるんだろうなって思ってるスキル。


 今回みたいな条件やゴブゴブさんみたいにテイムモンスターが1体しかいないなら有効なスキルだけど。


 しばらく戦闘が続く。


 こうやって見てると、ゴブリンリーダーも結構強いな。


「ふう、なんとかウチの子も1人で攻略したみたいだ。

 お!本当に光出した!よし!あの光を追えば良いんだね!」


「はい、テイムモンスター1体で倒すが条件でほぼ確定みたいですね」

 そう言いながら、みんなで光を追う。


「おー、アレが言ってたモンスターだね」


「はい、この距離だとまだ攻撃してこないので、ここからモンスタースキャン出来ますよ」


「結構近いづいてるのにまだ攻撃して来ないんだ。

 これは珍しいな。

『モンスタースキャン』あぁ、なるほど、確かに上昇値にボス補正付いて無いね」


「はい、ですからテイム出来るのでは無いかと。

 俺はウサギしかテイム出来ないから」


「なるほどねぇ、確かにこれは俺が条件にピッタリだ!失敗してもリスク無いしね!」


「はい、ここの最初のボスをテイムモンスター単体で倒せるくらい鍛えている人は普通テイム数上限までモンスターをテイムしてるんで」


「うんうん、とりあえず、ダメ元で1回テイミングしてみて、ダメなら弱らせてもう一回してみよう」


「はい、それでお願いします」


「じゃあ、『モンスターテイム』、あ、テイム出来た。

 名前はタツ太で、え!1発でネームド化した!

 おおお!雷と風の魔法Ⅲ持ってる!

 この子ランク6なんだよ!え、うわ、これは事件です!」

 ゴブゴブさんのテンションが、なんかおかしな感じになって来た。


「うーん、光が出てないなぁ、これはやり直しですね」


「君、なんか冷静だね?僕なんて今心臓がどうにかなりそうなくらい衝撃受けてるのに!

 Eランクダンジョンでランク6のモンスターが手に入るんだよ!

 革命だよ!散々エンジョイだのネタだのペッターだの言われてたテイマーがちゃんとガチ勢の一角になれる日が来たんだよ!」


「でも、俺テイム出来ませんし」


「それはそうだけど」


「とりあえず、最初からやり直しですね」


「でも、ウチの子の実力じゃ青龍を単体で倒せないと思うんだよね」


「じゃあ、そこはウチの子でやりましょう、テイムだけお願いします」


「なんか寄生みたいでカッコ悪いなぁ」


「気にしないで下さい、お願いしたのこちらなんで」


「じゃあ、お願いします」

 という事で、攻略を進めていった。


 今回はノバにお願いする事にした。


 俺のテイムリンクと、自身のバフの重ねがけとデバフの重ねがけ。


 文字通り鎧袖一触ってやつだった。


「はー、こうやってボス級と戦うの見ると、本当にノバちゃん強いね」


「いやぁ、それほどでもぉ」

 ウチの子が褒められて頬の緩みが止められない。


「朱雀テイムしました!名前はスザ子、これもネームドになった。能力は炎魔法Ⅲ、巨大化、縮小化、ここは縮小化してもらいましょう」

 小さめの鳩くらいのサイズになってゴブゴブさんの肩に乗る。


「白虎テイムです。名前はトラ吉、やっぱりネームドですね、金属性魔法Ⅲと騎乗、爪強化持ってます」


「玄武テイム!名前はカメ助、安定のネームドで、水魔法Ⅲとかばう、身を守るを持ってます」


 ようやく全部テイム出来た。


 1匹テイムすりたびに最初の一般ボスまで戻ってやり直しだから、かなり手間がかかった。


 恵ちゃんのボスセンサー様々だよ。


「これが、最終ボスの麒麟だね、テイムします!名前はキリ造!もちろんネームド化!おお!状態異常無効、雷魔法Ⅱ、火魔法Ⅱ、風魔法Ⅱ、水魔法Ⅱ、更に騎乗と蹄強化持ってる!」

 あーやっぱり俺の時とスキル違うなぁ。

 ステータス的にウチのピノも物理攻撃も欲しかった。


「レベルとステータスはどうです?」


「あ、そうだった、レベル下がらないでテイム出来てネームド化したから、とんでもない数値になってるよ!

 うわぁ、これは何がなんでもCランク、いや!Bランクに上げて試練のダンジョン行かねば!そして念願のゴブ男の限界突破だぁ!

 皆さん!ここで僕は宣言します!ここからはゴブ男限界突破への挑戦だけを配信します!ネタ動画楽しみにしてた人ごめんなさい、俺はガチ勢になります!」

 おーなんか、凄い宣言したぞ!


「頑張ってください!応援してます!俺も負けられないな!」


「あぁ!一緒に頑張ろう!本当にありがとう、俺はこの日の事を一生忘れない!」

 そう言ってハグしてきた。


 ゴブゴブさんのテンションがちょっと熱すぎて、逆に冷めちゃった。


 あー同じハグなら恵ちゃんと朱里ちゃんにして欲しいなぁ。

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