第104話 合体

 俺は楽しみは最後にとっておきたい派なんだよね。


 昔の古いアニメのロボットが出てくるSRPGってジャンルのゲームが大好きだった。

 それこそ、何周も繰り返してやり込むくらいに。


 それだけやり込むと、その古いロボットのアニメが気になってネットで探して見るようになった。

 もちろんどっぷりハマって一時期ずっとロボットアニメばかり見ていた。


 そんな俺に合体なんてフレーズ楽しみしかない。

 いや、そんな俺だからこそ合体というスキルが顕現したのじゃなかろうか。


 どっちでも良いけどね、とにかく合体だよ!


 ドミネーターの効果でユニーク化したモンスターのみが合体の対象だ!


 ノバ、パル、ドンがコロと合体出来る。


 もう、俺の脳内ではフィリピンで大ヒットして、その主題歌が国家とまで言われた歌が流れてきた。


「地球の夜明けはもう近い!」

「え?まだ夕方ですよ?」

「え、あ、うん」

 そうだよね、朱里ちゃんにこのネタは通用しないよね。


「てか、さっきからなんか合体させたろ分離させたり、あれはなにしとるん?」


「あれは、ノバがバニー1で総合力と空戦力が高くて、パルはバニー2で移動力と回避力が高くて陸戦向きで、ドンがバニー3で単体の一撃が強くて海戦も得意」


「へぇ、そんな特性あったんや」


「え、無いよ」

「……え?」


「あったら良いなぁって思いながら合体させてるだけ」

「ごめんやで、マジでなにしてるん?」


「合体して妄想」

「あ、はい」


「四身合体かぁ、五か六欲しかったなぁ」

「なんで?」


「ラビッターファイブとか六身合体ゴッドバニーズとかしたいじゃん!」

「なんで?」


「え!なんでって、かっこいいじゃん!」

「わからん」


「そっかぁ、戻ったらオススメのサイトがあるんだ!格安で昭和ロボットアニメいっぱい見れるんだけど、暗いエンディングのもあるけど、すごいよ!話も深いし、面白いし、熱いんだよ!」

「待った!お兄さん!ちょっと待った!見るから!帰ったら見るから落ち着いて!今まで一番お兄さんの事、怖いって思うたわ!」


「あ、あぁ、ごめん合体が嬉しすぎてテンション上がりすぎた」

「せやね」


「あ、それでコロが小槌変化した武器、コロディオンハンマーって名付けようと思うんだけど、どうかな?」

「ええんちゃう?」


「やっぱり!良いよね!」

「うん、ええっていうか、どうでもええ」


「やっぱり、技名とかつけた方がいいかなぁ」

「お兄さん!マジで!どうぉぉぉぉでもいい!」


「そっかぁ……」

「あ、いや、お兄さん楽しそうなのはええことやで!ウチも見てて楽しくなるし、全然かまへんのやけど、理解は出来へんねん。

 ごめんやで」


「うん、大丈夫」


「あ、あの!自分は結構イケるくちっす」

 光莉ちゃん!


「そうなんだ!オススメのサイトがあってね……」

「あ、大丈夫っす多分同じサイトに登録してるっす!」


「あ!あ、ウチにもそのサイト教えてくれるんやんな!?」

「えっと、私も教えて欲しいかなぁって思うんですけどぉ、良いです?」

 朱里ちゃんが横から話しかけてきた。


「もちろん!みんなでロボット談議しような!」

「「「うん!」」」


「兄貴、俺はぁ、そこに参加しても?」

「もちろん!たかしなんて同じ男なんだから絶対ハマるって思うんだ!」

 テンション上がって、思わずたかしの肩をバンバン叩く。


「い、痛っ、兄貴も充分高レベルなんだから、結構力あるっすよ」

「そうか?全然だと思うよ、それより早速帰ってアニメ見ようぜー」


 俺は意気揚々とダンジョンから帰路についた。

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