第68話 話し合い 2
翌日、探索前にみんなにウサギ小屋に集まって貰った。
復讐の話はとりあえず今回はしない事にして、3人だけの秘密にした。
みんなが集まったところで、前日の支部長との話し合いの内容を全て話しどうするか相談する。
「と、いうわけなんだけど、この話受けた方が良いのかな?」
ゴブゴブさんが真っ先に返答してくれる。
良い具合に俺の話を補完してくれるのでありがたい。
「悪い話では無いですね、試練の洞窟に挑むにはBランクにならないといけない訳ですが、条件が厳しいのは勿論ですが、条件をクリアーしても協会の審査を通るとは限らないですし、通っても認可されるのに数年待たされる時もありますから」
「そんなに待たされるの!」
「ええ、協会貢献度という審査基準がありまして、これが具体的な基準内容は明かされていないのです。
言い方悪いですが、協会の上の人間が気に入らなければB以上にはなれないと言われています。
もちろん、協会も風評を気にするので、今のこのパーティーであれば、聖女がいるとか、テイマーの発展に貢献したとかあるので、問題は無いと思いますが…」
「思いますが?」
「この話を断ったことを理由に申請が通らない可能性は無いとは言えない感じですね」
うわぁ、ザ大人の世界って感じだな。
「あのぉ、その話を受けた時に、僕は一緒について行って良いですか?」
健二が弱気な声で質問んしてきた。
「うん、健二さえ大丈夫なら一緒に来てよ」
「うん!」
健二が嬉しそうに頷く。
「この話受けた時のメリットデメリットってどんな感じですか?」
朱里ちゃんが端的に質問してきた。
「んーっと…」
具体的に言われると、メリットはなんとなく分かるけどデメリットってなんだろ?
思わず、お姉さんの方を見つめてしまう。
それに気づいたお姉さんが
「ゴブゴブさんは探索歴長いって言っても配信メインだったし、他の子も最近始めた子ばっかりだから、あんまりピンと来ないと思うけど、ノバの巻き戻しって最前線の探索者にとっては、どうしても手に入れたい唯一無二のスキルなのよ。
この世界のダンジョンが出来てから、未だに死者を蘇生できるスキルは発見されてないって話は恵ちゃんから聞いてるでしょ?
無いって言われてたはずの蘇生、それを可能としているスキルなのよ。
今はあのスキルはテイムされたモンスターにしか効かないって情報操作しているけど、違うんでしょ?」
「あ、はい、凄いですねどこで気づいたんですか?」
「支部長が巻き戻しに勇者が興味あるって言った時に、1週間クールタイムあるって言ったわよね、モンスターにしか効かないなら勇者相手じゃ使えないですよって言うはずよね?」
「あー確かに!」
なるほどなー、そんなところで分かっちゃうんだ。
「あれで確信したんだけど、それは人間相手とかそういう事より、主にあなたがこのスキルを隠そうとしてないって事と重要性を分かって無いって方なんだけどね」
「えーっとマズいですか?」
「あなた方に力があれば問題無いけどね、誰だって生き返るって保険は欲しいでしょ?
それを持ってる人間が仲間になれば良いけど、ならないなら力ずくでって人は絶対出てくるわ」
「あ、それ恵ちゃんにもちょっと言われました」
「今の実力考えれば、遅かれ早かれどこかの傘下に入って庇護を受けないと冗談抜きで命の危険があるわよ。
そして協会としては、話が比較的通じる実力者のもとに行って貰いたいのよ。
既に、問題児の方の勇者があなた方に目を付けてる可能性もあるし」
「もしかして、この騒動って全部俺のせい?」
「それは皆んなのせいね、撮影も途中で止める事できただろうし、ゴブリンが倒されるのも注意していれば避けられただろうし、色々焦って操作ミスしなければ表に出ないし、動画撮影任せて戦闘に参加しなくても充分戦えただろうし、そのどれかが無ければこんな事にならなかったわね」
「…」
「…」
「…」
「…」
みんな俯いてしまった。
「起きてしまった事は仕方がないわ、今はこの状態でどうなるかの話しね、それでメリットは庇護下に入れば安心って所ね、デメリットは白銀の勇者に恩義が生まれるって事ね。」
「恩義ですか?」
「そう、探索者はね恩義を大事にするの、恩義を蔑ろにするって噂が流れるとね周りが誰も助けてくれなくなるの。
具体的には、そうね、あの金色の勇者、あそこはあなた方に恩義が生まれたわ。
あれは要するに勇者の不始末を貴方たちが尻拭いしたって事でしょ?
だからこれ以上あなた方を不利益にするような事したら、ダンジョンで困っても誰も助けてくれない。
そしてね、そういう人たちになら何をしても良いって思う奴らもいるのよ。
ダンジョン内でモンスターじゃなくて人間の集団に襲い掛かられるかもね」
こっわ!人間こっわ!
「でも、その恩義って俺たちが白銀の勇者達を裏切らなければ大丈夫なんですよね?」
「そうね、他から勧誘あってもホイホイ付いていくようなマネをしなければ大丈夫よ」
「じゃあ、問題ないですね、ホイホイ付いていくつもりないんで」
「あと、白銀達が全滅していなくなれば恩義も消えるわね」
こっわ!お姉さんこっわ!
「なんか、このままだと怖い人集まって来そうだから、話受ける方向でお願いします」
そう決めた俺たちは少しでも実力を上げておくべく、トロッコダンジョンを攻略してしまう事にした。
【後書き】
お読み頂き、ありがとうございます。
この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と少しでも思ってくださった方はフォローや↓の『☆☆☆』を『★★★』に評価して下さるとありがたいです。
よろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます