第66話 呼び出し

 怒れるドワーフを倒した夜に、お姉さんから連絡があった。


 明日、協会の偉い人と会うことになるらしい。


 なんか思ってた以上に大事になってるようだ。


 俺、大丈夫なんだろうか?


 ー翌日ー


 翌日待ち合わせ場所に指定されていたウサギ小屋に顔を出す。


「こんにちわー、きましたー」


「どうも、初めまして」

 40代くらいでなんか格闘技とかやってそうな筋肉質な体格の男性が声かけてきた。


 お姉さんは空気だ。


「あ、はい、初めまして」


「私は、東エリア担当の須賀だ、よろしく頼む」

 いかにもエリートって感じだな。

 正直苦手。


「この人は味方だから安心して会話して大丈夫よ」

 お姉さんの言い方だと、味方じゃなくて安心出来ない存在がいるって事だよね。


「あの、それで、どこまで話せばいいでしょうか?」

 差し出された右手を握手しながら、そう聞いてみた。


「事情はだいたい把握しているので大丈夫、それよりも勇者パーティ“白銀の盾”からSSSランクダンジョン富士の樹海ダンジョンの協力要請があった」


「え、無理です」

 間髪入れずに俺は断った。

 冗談じゃない、絶対死ぬじゃん!


 モンスターはランク10までしかない。


 いや、正確にはそれ以上は判定不能になり、ランクが分からなくなる。


 そして、SSSダンジョンは、そのランキング不能のモンスターしか出ない。


 挑戦可能最低レベル150って言われてる場所だ。


 特に富士の樹海ダンジョンは日本でも最難関って言われており、推奨レベル500とか言われてる場所だ。


 勇者パーティも全員レベル300超えって話聞いた。


 何を言ってるんだろうかこの人は。


「その気持ちは分かるが断るというのは難しいと思うよ。その代わりそれなりに良い条件を出すから話を聞いてもらって良いかな?」


「話を聞くもなにも、俺たちは試練の洞窟でテイムモンスターの限界突破させなきゃってくらいが目標であって、その為にまずBランクを目指してる程度の実力ですよ?

 SSSとか足踏み入れて良いレベルじゃ無いですよ」


「その、試練の洞窟の件なんだが、怒れるドワーフを倒した実績を鑑みて特例として入場許可を出そうと思う。

 それくらいの権限は私の判断でどうにでもなる範囲だからね」

 おっと、興味がわいてきた。


「話を聞きます」


「うん、良い判断だ。

 聞くところによると他のテイマーとは試練の洞窟までという取り決めらしいじゃないか。

 なので、そこはクリアしてもらった後にテイマーとは別れてもらって、君たちパーティと白銀の盾と合流してもらう」


「勇者パーティは何名なんですか?」


「4名だね、なので君たちの経験値制限にはかからないはずだ」

 よく調べてるな。


「いやーでもSSSダンジョンは厳しいと思うんですよね」


「うーん、これはあまり言いたくなかったんだけど、君たちには別の勇者パーティからクレームが来ててね。

 なんでも、そこに入る予定だった新人を無理矢理君たちが加入させたという」

 うわーあいつだろう。


「聖女の事ですか?」


「立場上そうだよとは言えないんだよね。

 一応守秘義務あるから。

 この件でトラブルになった時に協会はあまり介入できないんだ。

 パーティ間でのトラブルは自己責任が基本だからね。

 ただ、白銀は国内最強の勇者だから、そこの影響下に入った者に口出し出来る人はまず居ないだろうね」


 これは、なんか既に外堀埋まってる感。


「えーっと、メリットはアレからの干渉の防波堤になる、試練の洞窟に挑戦できる。

 デメリットは一瞬でポックリいってしまうかもしれない」


「あ、メリットの方にはパワーレベリングも入れといてくれないかね。

 勇者たちとSSSダンジョンに入るために特別にレベルの牽引を予定している」


「はぁ、1回メンバーと相談させてもらって良いですか?」


「ああ、もちろん構わないよ」


「あ、ちなみに向こうのお目当ては聖女ですか?」


「いや、どちらかというと、君の巻き戻しだね」


「あれ、クールタイム1週間ありますよ?」


「それは、むしろ、あの効果が1週間で使えるようになるというプラス要素だと思うな」


「はぁ、そうですか」

 とりあえず、1回みんなと相談したい。


【後書き】

 お読み頂き、ありがとうございます。

 この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と少しでも思ってくださった方はフォローや↓の『☆☆☆』を『★★★』に評価して下さるとありがたいです。

 よろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る