異02-03 銅爐・一船・樟竹・山陰

○銅爐自行

晉義熙中,龐猗為宜都太守。御人牧馬於野,見一銅爐上焰帶鎖而行,持歸以呈猗。遂檻盛,逸下荊州無都北,乃【一作鬼。】忽風雨,有叫聲。火光燭天,徑來趨船,失爐所在。


しん義熙ぎき年間、龐猗ほうい宜都ぎとの太守であった。人が馬を野で飼っていると、一つの銅炉が炎を帯びて、鎖を引きながら動いているのを見つけ、持ち帰って龐猗に示した。そこで檻に盛って運んだが、荊州けいしゅう無都ぶとの北に逃げた。突然風雨が起こり、叫び声がした。火光が天を照らし、直接船に来て、炉の所在がわからなくなった。



○一船金

義熙中,新野黃舒耕田得一船金。卜者云:「三年勿用,長守富也。」舒不能從,遂成土壤。


義熙年間、新野しんや黄舒こうじょが田を耕していると一船の金を発見した。占い師が言った。「三年間使わなければ、永遠に富を保てるだろう。」しかし黄舒はそれに従えず、その結果、土壌に戻ってしまった。



○樟竹桁大船

晉時,錢塘浙江有樟竹桁大船。每有乘者,輒漂蕩搖揚而不可禁。常鳴鼓錢塘江頭,凌浪如故。惟船吏章粵能相制伏。及粵死,遂廢去。


晋の時代、錢塘せんとう浙江せっこうには樟竹桁しょうちくげたの大船があった。乗るたびに漂い揺れて止まらなかった。常に錢塘の川端で鼓を鳴らし、波を乗り越えていた。ただ船吏の章粵しょうおうだけがそれを制することができた。章粵が死ぬと、船は廃止された。



○山陰縣錢船

海西太和中,會稽山陰縣起倉。鑿得兩大船,船中有錢皆輪文。時日向暮,鑿者馳以告官。官夜遣防守甚嚴。至明旦,失錢所在,惟有船存。視其狀,悉有錢處。


廃帝はいてい海西公かいせいこうの時代、会稽かいけい山陰さんいん県で倉庫を建てる際に、二つの大きな船を掘り当てた。その船の中にはすべて車輪の模様のある金貨があった。時刻は日暮れに近づき、掘っていた者が急いで官に報告した。官は夜になって厳重に防守させたが、翌朝になると金の所在がわからなくなっており、ただ船だけが残っていた。その状態を見ると、金があった場所がすべてわかった。



(異苑2-3)

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