6巻
捜06-01 陳阿登 他二編
○陳阿登
その夜、男と少女はともに
「クズのツタはフジに絡まり、どこぞを引けばすべてが従うもの。私の名を知りたいと仰せか、ならば答えましょう、姓を
やがて夜が明け、男は句章の東郭の外にまでたどり着いた。そこには食べ物を売る店があった。男が店に入り、そこの女将に昨晩体験したことを話す。するとおかみが驚き、言う。
「あたしの娘の名だよ、最近死んだんで、郭外に葬ったってのに」
○張姑子
漢の時代、
山の中で沢にたどり着いたとき、いよいよ日も暮れようとした。すると身なりの甚だ整った少女が立っているのを見た。少女は言う。
「わらわは隣人もなく、ばあやとのわびしきふたり暮らしの身。ここから十歩あまりのところに住んでおるのじゃが、寄っていかんかえ?」
吳詳は大いに喜び、一も二もなく付き従った。実際の行程は一里あまりほどではあったが、ともあれ女の家にたどり着いた。その家はとても貧しかったが、それでも吳詳のために食事を提供した。
夜の七時か八時ころとなり、家の奥から老婆の声が聞こえる。
「張の嬢ちゃんや」
「ええ、おりますえ」
吳詳が何者か、と問えば、女は答える。
「先に語ったばあやよ」
やがて夜も更け、ふたりはセックスした。流れるようにセックスした。朝となり、鶏が鳴くと、吳詳も立ち去らんとした。しかし恋慕はいかにも断ち難く、女は紫の手巾を呉詳に贈り、吳詳もまた布の手巾を渡すことで応えた。やがて昨晩差し掛かった場所まで戻り、沢を越えた。
この夜、大雨があり、沢が氾濫、渡ることができなくなった。呉詳は回り道をして女の家に向かった。しかし、昨晩の愛を重ねた小屋はなく、そこには墓石が建てられているのみだった。
○箏笛浦官船
ある日、漁師がこの船の近くにて野宿しようと考え、船を係留させたところ、どこからともなく箏、笛、弦、節の音色が流れ、なんとも怪しい香気が漂ってきた。またやや朦朧とした漁師の意識に何者かが現れ、語りかける。
「あの船に近づいてはならぬ」
漁師は驚いて目覚め、すぐさま係留をほどき、船のそばを去った。
言い伝えによれば、
陳阿登
漢時,會稽句章人,至東野還。暮,不及至家,見路旁小屋燃火,因投宿。止有一少女,不欲與丈人共宿,呼鄰人家女自伴;夜共彈箜篌。問其姓名,女不答,彈弦而歌曰:「連綿葛上藤,一綬復一緪。欲知我姓名,姓陳名阿登。」明,至東郭外,有賣食母在肆中。此人寄坐,因說昨所見。母聞阿登,驚曰:「此是我女,近亡,葬於郭外。」
張姑子
漢時,諸暨縣吏吳詳者,憚役委頓,將投竄深山。行至一溪,日欲暮,見年少女子,采衣,甚端正。女曰:「我一身獨居,又無鄰里,唯有一孤嫗。相去十餘步爾。」詳聞甚悅,便即隨去。行一里餘,即至女家。家甚貧陋,為詳設食。至一更竟,忽聞一嫗喚云:「張姑子。」女應曰:「諾。」詳問:「是誰?」答云:「向所道孤獨嫗也。」二人共寢息。至曉,雞鳴,詳去,二情相戀,女以紫手巾贈詳,詳以布手巾報之。行至昨所應處,過溪。其夜,大水暴溢,深不可涉。乃回向女家,都不見昨處,但有一塚爾。
箏笛浦官船
廬江箏笛浦,浦有大舶覆在水中,云是曹公舶船。嘗有漁人夜宿其旁,以船繫之,但聞箏笛弦節之聲,及香氣氤氳。漁人又夢人驅遣云:「勿近官船。」此人驚覺,即移船去。相傳云,曹公載數妓,船覆於此。今猶存焉。
(捜神後記6-1)
冷静なぼく「いや曹操廬江出られたことね〜だろ」
この3話はどれも面白いですね。ちょっと長くて大変でしたが、まぁ次話はこの3つを合わせたよりもさらに長いので! まぁ面白いので良しです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます