3巻

捜03-01 程咸・流星墮甕

程咸ていかん


程咸、字は延休えんきゅう。その母が程咸を身ごもった時、夢に老公が藥を彼女に投げよこし、言った。

「これを飲めば、子をなそう」

服はしん武帝ぶていの時、侍中じちゅうにまで上りつめ、その名声を広めた。



○流星墮甕


袁真えんしん豫州よしゅうにあったとき、女妓の紀陵きりょうを派遣、桓温の元に三人に妓女、薛氏せつし郭氏かくし馬氏ばしの妓女を送り込ませた。それからしばらくして、三人が夜半に共に庭に出、月見をしていたときのこと。彼女らの近くには水瓶があった。突如として流星があり、夜空より星が水瓶の中に飛び込んだ。驚き、喜び、共に中を覗いてみれば、6cmほどの火球が水底にありながらもなおも炯然と輝きを放っている。

「吉祥に違いないわ、誰にとってのものなのかしら」

薛氏と郭氏がためしに柄杓にて掬い上げようとしたが、掬えない。馬氏が最後に試みたところ取り上げることが叶った。それを飲んでみれば、なにかが馬氏の中で動く。それから間もなくして桓玄かんげんを孕んだと判明した。

桓玄と言えば簒奪してその身こそ全うはできなかったが、とは言え数年間は栄顕の極みであった。




程咸

程咸,字延休。其母始懷咸,夢老公投藥與之,曰:「服此,當生貴子。」晉武帝時,歷位至侍中,有名於世。


流星墮甕

袁真在豫州,遣女妓紀陵送阿薛、阿郭、阿馬三妓與桓宣武。既至經時,三人半夜共出庭前月下觀望,有銅甕水在其側。忽見一流星,夜從天直墮甕中。驚喜共視,忽如二寸火珠,流於水底,炯然明淨。乃相謂曰:「此吉祥也,當誰應之。」於是薛、郭二人更以瓢杓接取,並不得。阿馬最後取,星正入瓢中,便飲之。既而,若有感焉;俄而懷桓玄。玄雖篡位不終,而數年之中,榮貴極矣。


(捜神後記3-1)




やり手おばさんこと紀陵おばさんが気になる。実は袁真はこの三人にそれぞれ種付けをしていて、そんな子を桓温の元に送り込んだんだよ! なっな


流星墮甕は、まんま晋書に載ってます。https://kakuyomu.jp/works/16817330665599511962/episodes/16818023212221291919

とは言え微妙にテキストにも異同があるんですよね。このへんのブレをどう評価したものか。

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