捜08-03 髑髏百頭・蔥縮

○髑髏百頭


しん永嘉えいか五年、即ち永嘉の乱真っ只中の頃のこと。張栄ちょうえい高平こうへい戍邏じゅうら、言わば自衛のための砦を守る長となっていた。この頃辺りでは曹嶷そうぎょうという群雄が暴れまわっており、人々は砦を築き、こうした者たちから自衛していたのである。

ある日、山中に火が起きた。その煙は二十メートル近くにまで立ち上った。木々が頂点まで炎に焼かれ、渓谷内に轟音が響く。また同時に人馬の甲冑の音が聞こえても来た。高平の人々は曹嶷が襲撃してきたのだと恐れ、みな武装の上迎撃に出た。馬を率い山の下にまでたどり着いてみれば人はおらず、ただ炎が張栄らに迫り、防具や馬のたてがみを焼くばかり。人々は慌てて引き返した。

しかし明くる日になると、山中に燃えた箇所はどこにもなかった。ただしゃれこうべが百ほど、山中に点在するのみであった。



○蔥縮


新野しんや趙貞ちょうていの家庭菜園には種から育てたネギがあった。いまだ一回も抜いてはいなかったのだが、ある日突然縮み、地面に入り込んだ。その後数年して、趙貞の兄弟は相い次いで分散した。




髑髏百頭

晉永嘉五年,張榮為高平戍邏主。時曹嶷賊寇離亂,人民皆塢壘自保固。見山中火起,飛埃絕燄十餘丈,樹顛火焱,響動山谷。又聞人馬鎧甲聲,謂嶷賊上,人皆惶恐,並戒嚴出,將欲擊之。乃引騎到山下,無有人,但見碎火來曬人,袍鎧、馬毛鬣皆燒。於是軍人走還。明日往視,山中無燃火處,惟見髑髏百頭,布散在山中。


蔥縮

新野趙貞家,園中種蔥,未經抽拔。忽一日,盡縮入地。後經歲餘,貞之兄弟,相次分散。


(捜神後記8-3)




何なんだこの章の謎の人死にの出方…いや面白いしいいんですが。

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