捜11-05 吳猛擲符 他二編

○吳猛擲符


吳猛ごもうは字を世雲せいうんといい、道術を操った。あるとき暴風が渦巻いた。呉猛が符を空に投げ上げると、一羽の空飛ぶ鳥が符をくわえ飛び去った。それから間もなくして風がやんだ。いったい何をしたのかと人より問われれば、呉猛は答える。

「南の湖にやはりこの風にぶち当たる者がおったのだ。二艘の舟に乗った者たちはともに道士で、天に救いを求めておったため、符にて風を止めたのだ」



○羽扇畫水


吳猛は道術を好んだ。かつて長江を渡る時には白い羽扇にて水に何かを描くと、長江の流れの上を舟も櫂も用いずにスタスタと進んだ。



○徐泰懇鬼


嘉興かこう徐泰じょたいは幼い頃に父母を喪い、叔父の徐隗じょかいに養われており、その寵愛は彼の息子たち以上のものであった。徐隗が病を得ると、その側にて恭しく介添えした。ある真夜中、夢に二人の男が舟に乗り、現れた。彼らは持を徐泰の枕元に置いた。そこから帳簿を取り出し、言う。

「お前の叔父は間もなく死ぬ」

徐泰はその夢の中で彼らに向かい土下座し、何度も額を地面に打ち付けた。どうにか救ってほしい、という意思表示である。すると彼らは言う。

「お前の同郷に姓名の同じものはおるかね?」

徐泰は考えることしばし、鬼に言う。

張隗ちょうかいがおるくらいです。徐姓ではありませんが」

「ふむ、ゴリ押しすればなんとかなろう。お前の叔父への献身ぶりを踏まえ、お前のためにもその願い、受け入れてやることとする」

そして鬼は姿を消した。




吳猛擲符

吳猛,字世雲,有道術。狂風暴起,猛擲符上,便有一飛鳥接符去。須臾,風靜。人問之,答云:「南湖有遭此風者,兩舫人是道士,呼天求救,故以符止風。」


羽扇畫水

吳猛好道術。嘗渡江,以白羽扇畫水,橫流直過,不用舟楫。


徐泰懇鬼

嘉興徐泰,幼喪父母,叔父隗養之,甚於所生。隗病,侍甚謹。三更中,夢二人乘舡,持箱上泰床頭,發箱出簿書,示曰:「汝叔應死。」泰即於夢中下地叩頭。良久,曰:「汝縣有同姓名人不?」泰思得,語鬼云:「有張隗,不姓徐。」此人云:「亦可強逼。念汝能事叔父,當為汝受之。」遂不復見。


(捜神後記11-5)




今日も深刻なオチ不足。まぁ最終巻ですしね、断章的なやつがどうしても多くなるんでしょう。しかし張家もいい迷惑だなこれ。

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デイリー捜神後記 ヘツポツ斎 @s8ooo

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