捜神後記

1巻

捜01-01 丁令威

丁令威ていれいい遼東りょうとう出身のひとである。靈虛山れいきょざんにて道術を修めた。後に鶴に化け遼水りょうすいのほとり、遼のまちに帰還し、城門の門柱の所に到着し、着地した。


このとき遼には少年がいた。かれは弓矢にて丁令威を打ち落とそうと考えた。


丁令威はすぐさま飛び立つと、空中から少年に向けて言う。

「この鶴、この鶴は丁令威だ。家を去ること千年、ようやっと帰還したのだ。どうして城郭はいにしえのままなのに人はそうではないのだ、どうしてそなたらは仙術を秘境にて学びたいと思わんのだ」


そうして、ついに空高くに飛び去ってしまった。


遼東の役人たちは、確かに昔仙人となった者がいたとは聞いていた。ただしその姓名については記録されていなかったのである。




丁令威,本遼東人,學道於靈虛山。後化鶴歸遼,集城門華表柱。時有少年,舉弓欲射之。鶴乃飛,徘徊空中而言曰:「有鳥有鳥丁令威,去家千年今始歸。城郭如故人民非,何不學仙離塚壘?」遂高上沖天。今遼東諸丁,云其先世有升仙者,但不知名字耳。


(捜神後記1-1)




あらやだ面白い。しかしこのおっさん無茶言うな。

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