捜06-04 承儉
それから十年が経ったある夜、承倹が
「先に沒した、民の承儉と申します。いま、人さらいを発見したため、明府にお救い願えれば、と罷り越しました」
県令はすぐさま府内外の官吏を動員し百人からの捜索隊を編成、馬を馳せさせ、とある塚の上にまで出向かせた。この日は明け方過ぎころからにわかに霧が立ち込め、隣の相手の顔すらまともに見えない有様であった。しかし、塚の中より棺桶をガンガンと叩く音が聞こえてくる。見れば二つの人影が丘の上に立っているらしいことはわかったが、霧の濃さのためそれ以外の人通りはほぼない。
県令が丘の上に到着すると、百人で同時に声を上げたところ、塚の中ほどにいた三人を保護できた。墳上の二人はすでに逃亡していた。激しく音を立てていた棺桶は破損こそしていたが壊れきってはいなかったため、県令は配下に命じ修復させた。
その夜、県令の夢に再び承儉が現れる。
「二人を逃してはしまいましたが、やつらの面相はともに覚えてございます。一人は顔にカッコウの葉の如き青アザがあり、もうひとりはその両前歯が欠けております。明府におかれては明日にでもお探しいただければ、すぐさま見つけられることでしょう」
県令のがその言葉に従い探してみれば、間もなく両名を捕らえることが叶った。
承儉者,東莞人,病亡,葬本縣界。後十年,忽夜與其縣令夢云:「沒故民承儉,人今見劫,明府急見救。」令便勑內外裝束,作百人仗,便令馳馬往塚上。日已向出,天忽大霧,對面不相見,但聞塚中哅哅破棺聲。有二人墳上望,霧暝,不見人往。令既至,百人同聲大叫,收得塚中三人;墳上二人,遂得逃走。棺未壞,令即使人修復之。其夜,令又夢儉云:「二人雖得走,民悉誌之。一人面上有青誌如藿葉,一人斷其前兩齒折。明府但案此尋覓,自得也。」令從其言追捕,並擒獲。
(捜神後記6-4)
承倹さんの墓の場所が県令府に登録されていた、ってことなんでしょうね。しかし十年前の死亡者の墓なんかをすぐ割り当てられるのすごいな。さすがにちょっと地位の高い人だったんでしょう。にしてもこのへん、説明が飛んでてやや分かりづらいけど、まあ全体さえ把握できれば、なんとか。
捜神後記のテキスト、ちょくちょく塚って字が出てくるけど、これ全部、
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