捜03-10 董壽之・魂車木馬
○董壽之
「あなた、どうしてこんな夜中に帰ってきたの?」
董寿之は答えず、門から出て行ってしまう。門のあたりには鶏が紐に括られ、篭に入れられていたのだが、突然その鶏が慌てふためくように騒ぎ始めた。なにがあったのかと彼女が火を持って外に出てみれば、數升ほどの血がまき散らされており、董寿之の姿は見えなくなっていた。この話を董寿之の母に告げたところ、彼女は嗚咽を止めどなくした。ここで妻は何か良からぬことが起こったのだと察した。
そして明け方となり、董寿之の誅殺が知らされたのである。
○魂車木馬
「このぼくはただの魂です、もう生きてはおりません」
いったいどうしたのかと父母が問えば、答える。
「今月頭に病を得、本日の先ほどに死んでしまったのです。いま、ぼくの亡骸は
「琅邪までは千里ほど、どう急いでもお前の埋葬には間に合わんではないか」
「外に車を用意しました、お乗りいただければ千里を飛躍できます」
父母がその言葉に従い、外にあった車に乗ると、たちまち眠気に襲われた。
鶏の鳴き声を聞き目を覚ませば、本当に琅邪に到着していた。車から降りてみると、柴車と木馬であった。
任子成に会った両親はその家で息子の亡骸を確認し、嘆き悲しんだ。病状の進行を聞いてみれば、まさしく子の魂が告げたとおりであったという。
董壽之
董壽之被誅,其家尚未知。妻夜坐,忽見壽之居其側,歎息不已。妻問:「夜間何得而歸?」壽之都不應答。有頃,出門,繞雞籠而行,籠中雞驚叫。妻疑有異,持火出戶視之,見血數升,而壽之失所在。遂以告姑,因與大小號哭,知有變。及晨,果得凶問。
魂車木馬
宋時,有諸生遠學。其父母燃火夜作,兒忽至前,歎息曰:「今我但魂爾,非復生人。」父母問之,兒曰:「此月初病,以今日某時亡。今在瑯邪任子成家,明日當殮。來迎父母。」父母曰:「去此千里,雖復顛倒,那得及汝?」兒曰:「外有車乘,但乘之,自得至矣。」父母從之。上車,忽若睡;比雞鳴,已至所在。視其駕乘,但柴車木馬。遂與主人相見,臨兒悲哀。問其疾消息,如言。
(捜神後記3-10)
死者の霊魂系の話は恐いと言うよりも悲劇が多いですね。「虫の知らせ」というやつがこう言う形で結実するんだろうな、という気がします。
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