捜02-04 仏図澄 他三編

佛圖澄ぶっとちょう


天竺てんじく人の佛圖澄ぶっとちょう永嘉えいか四年に洛陽らくように訪れた。神咒すなわち仏教経典の暗誦を得意とし、鬼神を使役した。腹の脇には穴が空いていたが、ふだんは絮でもって塞いでいた。每夜の讀書の際に絮を抜けば、穴より光が漏れ、室内を照らしあげた。また、とある潔斎の折、夜明け頃にせせらぎのほとりに出、例の穴から五臓六腑を取り出して洗い、また穴から戻したという。



胡道人咒術こどうじんじゅじゅつ


石虎せきこの時代、ぎょうにひとりの呪術を得意とする西方僧がいた。ロバに乗って商いをしながら、各地を漫遊していた。深い山の中に分け入ったとき、底の見えない渓谷に行き当たった。渓谷の奥からいきなり悪鬼が現れ、僧のロバを盗み、谷間奥深くに逃れた。僧がその痕跡を検めながら呪言を唱えると、何人もの鬼王が現れた。それから間もなくして僧のもとにロバも、ロバの背負う物資も取り戻された。



曇游どんゆう


曇游道人どんゆうどうじんは清貧を貫く僧である。剡縣えんけんにて蠱の呪いが蔓延し、ひとたび食事をした誰もが吐血し死ぬという有様だった。曇游が剡縣に赴いた際、寄宿先の主人もまた蠱の呪いに当たってしまったのだが、曇游が常日頃頼る呪言を唱えたところ、30cm近くにも及ぶ一対のムカデが食盆に躍り出、逃げようとした。曇游がそのムカデたちをぺろりと平らげてしまうと、以降蠱の呪いは発生しなくなった。



幸靈こうれい


高悝こうりの家に何事かを喚き散らし、室内のものを外にぽんぽん放り投げる怪異が住み着いた。とはいえその姿を確認することは叶わない。あるときなど家具がひとりでに歩きだしては発火する始末である。まじない師がこの怪異を収めようとしたが、無駄だった。そんなあるとき、高悝の家に幸靈がやってきた。すぐさま歓迎する高悝。すると幸靈は門の近くにこれでもかと貼り付けられまくった呪符を見咎め、言う。

「邪の教えで邪をどうにかできるはずもありませぬ。しっかりと、正しき導きに基づき邪を調伏なされよ」

そう言うと、幸靈は呪符をのきなみ剥がし、焼き捨てた。その後、軒先にしばらく佇まってから、立ち去った。

以降、怪異が起こることもなかったという。




佛圖澄

天竺人佛圖澄,永嘉四年來洛陽,善誦神咒,能役使鬼神。腹傍有孔,常以絮塞之。每夜讀書,則拔絮,孔中出光,照於一室。又嘗齋時,平旦,至流水側,從孔中引出五臟六腑,洗之,訖,還內腹中。


胡道人咒術

石虎鄴中有一胡道人,知咒術。乘驢作估,客於外國。深山中行,下有絕澗,窈然無底。忽有惡鬼,偷牽此道人驢,下入絕澗。道人尋跡咒誓,呼諸鬼王。須臾,即驢、物如故。


曇游

曇游道人,清苦沙門也。剡縣有一家事蠱,人啖其食飲,無不吐血死。游嘗詣之,主人下食,游依常咒願。一雙蜈蚣,長尺餘,便於盤中跳走。游便飽食而歸,安然無他。


幸靈

高悝家有鬼怪,言詞呵叱,投擲內外,不見人形。或器物自行,再三發火。巫祝厭劾而不能絕。適值幸靈,乃要之。至門,見符索甚多,謂悝曰:「當以正止邪;而以邪救邪,惡得已乎?」並取焚之。惟據軒小坐而去。其夕,鬼怪即絕。


(捜神後記2-3)




ブドチンガニキこれ女体化して桓温かんおんのもとに出向いただろ(確信

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