2巻 不思議な物品や神秘的な現象

異02-01 洛鐘・吳郡・銅澡・燃石

○洛鐘鳴

魏時,殿前大鐘無故大鳴。【或作不扣自鳴。】人皆異之,以問張華。華曰:「此蜀郡銅山崩,故鐘鳴應之耳。」尋蜀郡上其事,果如華言。


曹魏そうぎ時,殿前の大鐘が突如鳴り出すことがあった。【誰も叩かなかったのに、と書かれる本もある。】人々が不思議がり、張華ちょうかに問う。

すると張華が答える。

「これは蜀郡しょくぐんの銅山が崩れるため、鐘が応じて鳴ったのだ」

間もなくして蜀郡より銅山崩落の報告が上げられた。



○吳郡石鼓

晉武帝時,吳郡臨平岸崩,出一石鼓,打之無聲,以問張華。華云:「可取蜀中桐材,刻作魚形,打之則鳴矣。」於是如言,音聞數十里。


しん武帝ぶていの時代、吳郡ごぐん臨平県りんへいけんの河岸が崩落した。そこから石鼓が掘り出された。ただし、石鼓を打っても音が鳴るわけではなかった。一体これはなんなのかと張華に聞く者があった。張華は言う。

「蜀の桐材を得て、魚の形のばちとすれば鳴らせるだろう」

その言葉に従えば、石鼓の音は数十里に渡り鳴り響いた。



○銅澡盤

晉中朝有人畜銅澡盤,晨夕恆鳴,如人扣。乃問張華,華曰:「此盤與洛鐘宮商相應,宮中朝暮撞鐘,故聲相應耳。可錯令輕則韻乖,鳴自止也。」如其言,後不復鳴。


西晋の時代、銅の洗濯板を持つ者がいた。この洗濯板の朝に夕に鳴り響くこと、ひとが叩いているかのようであった。どういうことかと張華に問えば、張華は言う。

「この盤と洛陽の鐘の音色が唱和している。宮中で朝と暮れとに鐘をついているのに合わせて鳴っているのだろう。少し削って軽くすれば音程もズレるため、鳴らなくなるだろう」

本当に鳴らなくなった。



○燃石

豫章有石,黃白色而理疏,以水灌之,便熱,加鼎於上,炊足以熟,冷則灌之。雷煥以問張華,華曰:「此燃石也。」


豫章よしょうに石があった。黃白でまばらな模様があった。水をかけると熱くなり、上に鼎を置けばそれでお湯が沸かせるほどであった。熱が引いてきたところで再び水をかけると再び熱くなった。雷煥らいかんが張華にこれはなんなのかと問えば、張華は言う。

「燃石である」



(異苑2-1)




で出~! ぼくらの張華さん! 困った時には張華さんに質問さえすればなんだって答えてくれるぜ! ほんとこのひと訳わかんないところでもいろいろ担ぎ出されたんだろうなあ……w

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