第67話 マジックバッグを作ってみよう
買い物を済ませて、金熊亭に戻る。部屋に入ると
「我を置いて行ったな!」
「寝てたじゃん!」
従魔として私を護らなくてはいけないとか、ぐずぐず文句を言っているが無視しよう。
「お昼を食べたら、マジックバッグを作るから、
「フン! 我の知識を分けてやろう!」
まぁ、機嫌がなおったから良いか。
私は、お買い物で結構歩き回ったから、野菜多めにしてもらった煮込みを完食!
前は、女将さんが大きく切っていたけど、今は女中さんが親切に食べやすく切ってくれている。
本当に、味がまぁまぁなのと、ベッドマットがへたっているのと、掃除がいい加減なのを除けば、とても良い宿なんだよね。
「俺の部屋に集合な!」
こういう時、アイテムボックスは便利だよね。ルシウスの部屋に道具を持って行かなくて済むもの。
「これがサンドウォームの皮かぁ」
落札したうちの一枚を出してみる。
「ああ、こいつって嫌な魔物なんだよなぁ。砂の中から突然攻撃してくるからさぁ」
ジャスが眉を顰めている。
「先ずは、広げようぜ!」
ルシウスは、畳んであるサンドウォームの皮を広げようとするけど、デカい。
「広げられないぜ!」
三人で皮を引っ張るけど、まだ広げきれていない。
「半分ずつ広げて、ハサミで切っていけば良い」
「これって、大きな袋にする方が収納量は増えるのか?」
ルシウスの質問に、
「サンドウォームの皮なら、容量は小だ。だが、作り方によって微妙な差はできるだろ」
つまり、サンドウォームの皮でいくら大きな袋を作ろうと、容量は小のままだけど、やはり差は出るんだね。
「ねぇ、これで二つ作ったら、それでも容量は小なの?」
「少し容量は小さくなりそうだが、マジックバッグ小はできる」
取らぬ狸の皮算用を三人で始める。
「俺たち用のは、一枚丸ごと使って作ろうぜ! 売る奴は、半分で作ったら、二倍の儲けになるんじゃないか?」
「
「三枚作るのって、大変そうだけど、やってみよう!」
ジャスとルシウスに皮を引っ張ってもらいながら切るのだけど、伸縮性があるから真っ直ぐに切りにくい。
それに、やはり床に広げた方が切りやすいよ。
「アレク、家具を収納したら良いんじゃないのか? できない?」
ジャスに言われてハッとした。
「ベッド、机、椅子!」
アイテムボックスの中に収納した。埃も
それでも皮を引っ張ってもらわないと切りにくいけど、床に広げた方が格段にスピードアップしたよ。
長い長方形に皮を切断した。それと、細く細く切った革紐もね!
「ねぇ、この残りの皮でマジックポーチはできない?」
かなり端が多く残っているんだよね。
「マジックポーチかぁ……できるけど、容量は小だぞ」
金に細かいルシウスの目が光る。マジックポーチは、金級や銀級は持っている冒険者もいるが、持っていない方が多い。それに、商人達も貴重品とか入れたいだろう。
「それは、後にして、先ずはマジックバッグだろう!」
このマジックバッグ、縫うの大変だった。目打ちで、皮の端に穴を開けていくんだ。
皮の端に、ペンで線を引く。そこに、一センチ間隔で穴を開けるのだ。
「目打ちを三本買って正解だな!」と思ったけど、ルシウスは途中で失格!
「ちゃんと同じ間隔に穴を開けないと駄目だろう!」
ジャスに叱られて、大男がしょげている。
「ルシウスは、魔石を粉にして!」
魔法陣の時も魔石を粉にして混ぜたけど、マジックバッグの方がより多くの魔石を混ぜる方が良いみたいなんだ。
ポツポツ、ダンダン、皆で真剣に作業しているけど、
目打ちで穴を開けたら、ジャスと縫っていく。
「この革紐で、縫っていくのだけど、サドルステッチが良いと思うんだ。馬具とかに使う縫い方なんだけど……ジャス、知らないよね?」
革紐の両端に針を二つ通して、クロスさせながら縫っていくのだ。
ジャスは、サドルステッチは知らなかったけど、見たら、裁縫の技能があるからできるようになった。
「なぁ、床に座ったままでするのか?」
ルシウスに言われて、ベッドと机と椅子を出す。
ルシウスは、椅子に座って机の上でガンガン乳棒で魔石を潰していく。
私とジャスは、反対側からサドルステッチ縫いをベッドに腰掛けて頑張る。
「ああ、これで縫えたな!」
ジャスが肩が凝ったと腕をグルングルン回している。
「ねぇ、
「魔法陣は、アイテムボックスの中の方が綺麗に描けるだろう。インクに魔石の砕いたのを混ぜ、中に入れろ!」
えっ、それならこれまでの魔法陣もそうしたら良かったのでは?
文句は言いたいけど、不機嫌な
アイテムボックスに縫った袋を入れ、インクに魔石の砕いた粉も混ぜて入れた。
「ほら、アレク! 魔法陣を袋の内側になるべく大きく描くのだ」
そんな簡単に言うけど……でも、いつも
「ええっと、マジックバッグの魔法陣は……それをなるべく大きく描く!」
「少しだけ使えるようになったな」
ううう、まぁ、仕方ないんじゃない?
「できたのか!」
「マジで!」
二人が騒ぐので、マジックバッグを取り出す。
「おお、小さくなっているぞ!」
入れる前は、ベッドぐらいの大きさだったからね。今は、ルシウスが持っているマジックバッグと同じぐらいの大きさだ。肩掛けの、中型のバッグぐらいかな? 肩紐とかつけないといけないな。
「どのくらい入るのだろう?」
ジャスが椅子を入れようとしているけど、鑑定を掛けるよ。
「鑑定! 鑑定! 鑑定! ああ、マジックバッグ小だよ」
三人で抱き合って喜ぶ! このままでは使いにくいから、肩紐をつけよう!
「肩紐は、普通の魔物の皮で良いんじゃないのか?」
ケチケチルシウスの提案で、そうすることにした。肩紐が伸びても使いにくいからね。
三人で「エールを飲もうぜ!」と言っていたら、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます