第33話 マジックバッグを探す筈が
長い昼休みになったけど、
「元々、二階まで行く予定だったんだ!」
ルシウスは、マジックバッグを探そうと、張り切っている。
相変わらず
とはいえ、大広間のシャンデリアが攻撃体勢になるまでは、巨大ねずみや巨大猫を討伐するけどね。
「やっと攻撃してきた! やったね!」
矢で討伐して、二階への攻略ルートを進む。小部屋はスルーして、廊下の蝋燭だけを討伐する。
「ここがセーフゾーンなのか……」
多分、大食堂だった広い場所に、二組の冒険者パーティがそれぞれ固まって休憩しているけど、私たちは脚を止めないで二階へと急ぐ。
こんな時、私だけだったら絡まれたりするかもしれないが、大男二人に絡む馬鹿はいない。
「
「二階は、ここだけみたい」
一箇所、ギルドの地図に載っていない箇所があった。
「ほぼ三階に近いな! どんどん進もうぜ!」
ジャスとルシウスは十階まで踏破しているのだ。できたら、今日中に五階まで行けたら良いな。
「アレク、ドロップ品をいっぱい集めたいから、ゆっくりと進んだ方が良いのさ!」
ルシウスは、魔導灯や冷蔵庫や機械兵や機械騎士が高価買取されそうだから、そう言ってくれているのかも?
「ははは、マジックバッグがあるかもな!」
ジャス! そんなに簡単に見つかるとは思えないけど……まぁ、
二階も巨大ねずみ、巨大猫、蜘蛛、シャンデリア、蝋燭は同じだけど、蝙蝠が加わった。
二階は、一階よりも大きな部屋が多い。つまり、シャンデリアが各部屋にあるから多いんだ。
「魔導灯、かなり作れそうだな!」
ルシウスは、嬉しそうだけど、私は蝙蝠が少し苦手だ。
バタバタ飛んでこられると、反射的に魔法で「バリア!」と一掃しちゃう。
「
二階の隠し部屋への扉も壁クルリンだった。ただ、通路の先には空中庭園があったんだ。
「ゲッ! びっしりの機械花!」
食物ダンジョンにいたお化け花の機械バージョン!
「
「おっ、ドロップ品は宝石じゃないか!」
色とりどりの宝石がドロップして、ルシウスは喜んでいるけど、
機械花の後ろのガゼボから、機械ハチドリが集団で飛んできて、氷の魔法で攻撃してきた。
「
機械兵が何十体も召喚され、青い機械ハチドリを槍で突いていく。
「前より強くなっていないか?」
ジャス、鋭い! 鑑定したら、機械兵もレベル3になっていた。機械ハチドリは、綺麗な青い部品、そして魔石をドロップする。何になるのかな?
「
空中庭園の機械庭師は、大きなハサミを投げてくる。
基本的に、機械系は「
「ハサミは分かるけど、薬草は何故なんだ?」
ジャスは首を傾げているけど、私は嬉しい!
「これ、上級薬草も混じっている!」
荷物持ちは、戦闘の前線にはいないので、アイテムボックスに薬草は入れちゃおう!
でも、その奥から機械トレントがドシン、ドシンと隊列を組んでやってくる。
「気をつけろ!」とルシウスが警告する。枝を振って、木の実を投げてくる。
金属の木の実は、ほぼ手投弾と同じだ。当たると爆発する。
「バリア!」で防ぐけど、爆発が激しくて、全く前進できないし、攻撃し難い。
「
「これならいける!」ジャスとルシウスが、機械トレントを討伐していく。
この時、私は空中庭園に飛来する魔物の影に気づき、上を見上げて呆れた。
「これってパクリだろう!」
巨大な機械の蛾! バタバタと羽ばたく度に、炎の鱗粉をばら撒いている。
「
偉そうに指図されるのは、腹が立つけど、確かにその通りだ!
「
巨大機械蛾は真っ二つに割れて、消えた。
ドスン! と大きな白い箱が落ちてきた。
「何だ? これは?」
「当たったら、怪我をしそうだ!」
これってもしかして! 鑑定すると、温風冷風機だった。
「やったね!」と喜んでスイッチを入れたら熱風が!
「ちょっと! 南の大陸で暖房はないだろう!」
期待を裏切られて、ブチギレしそうになった。
「
「「「おお、涼しい!」」」
ルシウス、ジャス、私が顔を見合わせる。
「「「俺が貰う!」」」
三人ともこのところの暑さに寝苦しさを感じていたのだ。
「何回もアタックしようぜ!」
ジャスが吠える。
「売れば……クランを作る家の資金になるかも……でも、欲しい!」
ルシウスは、理性と欲望の間で葛藤している。
「
「
思わず嬉しくなって、
でも、白いもふもふの手で指された機械トレントのドロップ品を鑑定したら、冷風機の部品だったんだ。
「
ああ、本来の目的を忘れていた。反省!
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