第34話 アイテムボックスの使い方
空中公園のドロップ品、機械花の宝石は嵩低い。機械ハチドリの青色の部品は、ちょっと複雑で細かい。
「それは、こちらの袋に入れろ!」
アイテムボックスに入れたら、同じだけど、細かいから籠の網目から落ちそうだもんね。
鑑定! を掛けたら、機械ハチドリの部品だ!
「機械ハチドリって何の役に立つのかな? 氷魔法で攻撃してきて、鬱陶しかったけど、そんなに強くはないよね」
「へぇ、なるほどね!」と私が納得しているとジャスが慌てている。
「人前で話して良いのか!」
コソッと
「大丈夫! どうせ記憶を改竄するから」
怖い事を平然と告げる
「ちょっと……そんなのできるの?」
小声で聞いたら、簡単な改竄だけだと言う。殆どの能力を
「お前達、何も考えていないのか? 秘密の隠し部屋の出来事は、我と相性が良いから記憶の改竄ができるのだ。大体、ルシウスが口止めしても、拡散されると思わないのは愚か過ぎる」
ケチなルシウスとしては、口止め料を出していたんだけど、確かに隠し部屋はバレるかもね。
「同じメンバーを雇って、秘密にするようにとは言ったが、確かに目をつけられるかもな。魔導灯は、シャンデリアと蝋燭のドロップ品だから、まだ問題は少ないけど、機械兵、機械騎士は駄目かもしれない」
金になるけど諦めようと、ルシウスがガックリと肩を落とす。
「愚か者! 機械兵と機械騎士が広まらないと、護衛として召喚し難いではないか! オークダンジョンを制覇するのは、一日ではできないのだぞ。ダンジョン内で野営する時、機械兵に見張らせたら良いのだ」
「レベルが低いから、睡眠が必要なのだ! それに食事も!」
えっ、食べなくても死なないって言っていたよね? ミルクはあげているけど……足りないの? これからは、ちゃんと食事をあげよう!
ちゃんとできているの? って頭で考えたら「
それにしても危険な能力だよね。悪用されないか不安! 私の記憶も改竄されたりして……。
「
えっ、できないんだ! 少しホッとしたよ。
「
「他の人もしちゃ駄目だよ!」と言ったけど、荷物持ちの記憶は改竄しちゃっているんだよね。
ルシウスが荷物持ちに日当を払い、さりげなく今日の迷宮ダンジョンで変わった事がなかったか訊ねている。
「三階に行けなかったですね。行けると思っていたのですが、明日も雇ってくれるのですか?」
「ああ、よろしく頼む! 馬車代は渡すから先に帰ってくれ」
明日も雇うので、背負い籠ごと預かる。借りている部屋で、あれこれ作業するからね。
◇
部屋に入るなり、
生意気! 腹が立つけど、可愛い見た目に絆されちゃう。
「機械兵、機械騎士は、上の階で遭遇する。だから、パーツがドロップするし、
そうか、荷物持ちの記憶を改竄できるなら、秘密の部屋のドロップ品はアイテムボックスに入れたら良いんだ。
「それで良いのか?」とジャスは心配しているけど、ルシウスはマジックバッグを早く見つけたいから、効率的にダンジョンを攻略するのに賛成みたい。
「今日のを収納するね!」
籠の中のドロップ品を収納して、
「魔導灯は四個できる。機械ハチドリはええっと三羽。冷風機は四台!」
それと、メイド服とか要らない物を出していく。
「おっ、綺麗にたたんであるじゃん!」
メイド服は、十枚あった。
「メイド服、銀食器、銀のトレイ、ナイフ、ハサミ、蝋燭、葉巻、魔石……これらは、籠に入れて持って帰って売ろう」
問題は、半端な部品! かなりインデックスに溜まっている。
「部品も買い取ってくれるけど、できたら製品にしてからオークションに掛けたい。魔導灯は、オークションに掛ける必要はなさそうだけどな」
王座の細い金の冠、家礼の金の懐中時計はオークションに掛ける。機械花の宝石は、小さいし、ギルドの買取りかな?
「温熱冷風機は? 冷風機が四台作れるけど、どうするの? それと片眼鏡は?」
温熱冷風機と片眼鏡は、高価買取が期待できるけど、売るか皆も悩む。
「アレクがいるから、片眼鏡はオークションに掛けても良いが、不審がられそうだ。温熱冷風機も、もう少し上の階を攻略してからの方が良いだろう」
つまり、今はアイテムボックスの中で保管しておく事になった。
「機械ハチドリが見たい」
ジャスに言われて、アイテムボックスの中から機械ハチドリの部品を組み立てる。
青い機械のハチドリが三羽! ドロップした魔石も入れてあるので、パタパタ飛んでいる。
「敵だった時は、可愛いとは思わなかったが……」
ジャスが手を差し出して、指に止まらせている。大男の指に可愛い機械ハチドリ……何だか笑いそうだけど、我慢する。
「これで斥候させる練習をしてみたいが、ダンジョン内だと他の冒険者に攻撃されるかもな」
ルシウスが心配するのも分かるよ。私も、機械ハチドリが飛んできたら
「それなら、何か自分達の印を身に付けさせたら良いだけだ」
「三つ星で良いだろう」
「ジャス、単純だね! 人数が増えたらどうするんだ?」
「印なんだから、それで良いだろう!」
リーダーがそう言うなら、別に良いけどさ。地図の裏に三つの星を描く。
「冷風機も組み立てよう!」
四台の冷風機を組み立て出す。
「一台ずつ使おう!」と三人とも賛成する。
「魔石をどのくらい消費するのか、チェックしようぜ」
ルシウスは節約しそう。部屋を冷やしたら、寝る前に消すタイプかも。あれって途中で暑くて起きちゃうんだよね。
「一台は売るのか?」
ジャスは思案顔……きっとルミエラちゃんにプレゼントしたいのだろう。
「まぁ、今は売らないけどな」
ルシウスは、ジャスの思惑に気づいていないのか、気づいても無視しているのかわからない。
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