第4話 お城を家探し
私に与えられた部屋は、王族が住んでいるエリアから離れているみたいだ。
ここって、もしかしてあの
廊下が真っ暗だったら困ると思っていたけど、かなり数は減らしてあるけど、灯が所々についている。
なんとなく、壁沿いを忍び足で歩く。
ふぅ、王族エリアには護衛が立っているみたいだから、近づかないよ。
私の目当ては、先ずはメイド服! それって半地下にありそう。
恐る恐る、半地下への階段を降りる。孤児院でもリネン室とかは、鍵が掛かっていたけど、どうかな? 半地下には灯りはなかった。目が暗闇に慣れるのを待つ。
「多分、ここがリネン室だと思うけど、やっぱり鍵が掛かっているわね」
手に入れたナイフでこじ開けても良いけど、泥棒が入ったと警戒されたら、明日から遣り難い。
「洗濯場に行ってみよう!」
濡れた身体を乾かせたのだ。干してある洗濯物を乾かして、貰ったら良いのだ。
「おお、大量に干してある。これって私を湖から助ける為に濡れたからかな? すいません!」
多分、私のドレスっぽいのも干してあるけど、それは要らないよ。アイロンを掛けて、戻ってくるのを待てば良いからね。
「兵士の服、男装するなら必要かも? メイドの服と一緒に貰っておこう」
なるべく小さめの兵士の服、それと大きめのメイド服を乾かして、アイテムボックスに入れる。
後は、半地下のメイド部屋から裁縫道具も一つ貰って行こう。小さめとはいえ、やはり男物は大きいから、縫い縮めないとね。
サーシャは、王族の血が流れているからか、あの修道院の貧しい食事でも背は高い。庶民よりは頭半分ぐらい抜き出ている。
それに、残念ながら胸はほぼ平らだから、男装しても変だとは思われないだろう。
この世界、本当に女の子には危険すぎる。半分血のつながった
この夜は、メイドの服と兵士の服と裁縫道具だけ手に入れた。
小心者の前世の私が、見つからないうちに部屋に帰りましょう! と煩いからだ。
つまり、初盗みにビビッたとも言えるね。
部屋に戻り、あの寝巻きを着て、他のはアイテムボックスに入れて寝た。
「お金は何処にあるのだろう?」
寝る前に考え、起きた時も考えていた。
「お城だから、何処かにお金はあると思う。ただ、鍵が掛かっていそう」
ううむ、腕を組んで考える。船賃がどれくらいか分からないのが困る。
「でも、庶民でも船に乗ると思う。一等とかじゃなく、三等でも良いのだけど……」
金貨を盗むと、大騒ぎになりそう。孤児院でも、院長が管理していた。
「でも、日々の食料品とかは? こんなに大きな城なら、いちいち上役に取りに行くのも大変だよね。きっと台所にあると思うんだ」
孤児院でも、小銭は丼勘定だった。サーシャに買い物を頼む時、修道女が箱から出して渡していた。
もちろん、
庶民が使うのは、
ただ、この世界は物価は安い。いや、前の世界より高いと思う物もあるよ。服とか布とか!
芋とか小麦とかは、安いんじゃないかな? オレンジは、とてつもなく高いけどね。
なんて事を考えながら、夜まで身体を休ませる。
「昨日の疲れが出ました」とか言って、ベッドに横になる。
何故か、治療師が呼ばれて瀉血しようとするから「もう元気になりましたわ」と飛び起きたけどね。
だって、瀉血の道具、前の人の血が綺麗に拭き取ってないレベルなんだよ。冗談じゃないよ! 血液から感染する病気が脳内をグルグル回っている。
「でも、お顔の色が悪いです。何か処方しましょう」
うっ、感染症を考えて顔色が悪くなったみたい。
「それなら、上級回復薬が飲みたいですわ」
生活していくなら冒険者だと思っている。その時に、上級回復薬があれば、怪我をしても助かる。
「上級回復薬を使う程ではないでしょう。下級回復薬をお出しします」
ケッ! ケチくさいね。一応、王女だし、
ああ、段々と気分が荒んでくるよ。前世の私が嘆いている。
とりあえず、下級回復薬はアイテムボックスに入れておくけどさ。
「あのう、瓶を治療師に返さないといけません」なんてメイドが言うから「別の人に渡しましたわ!」とシラを切る。
たっぷり、お昼寝したから、今夜は本格的に家探しする。
台所を中心に探す。保存食もゲットしておきたい。ふぅ、オレンジ、干し肉、パンはアイテムボックスに入れたけど、お金が見つからない。
「そうか! 寝る時は、部屋に持って行っているのかも?」
ふぅ、盗みのレベルを上げなきゃいけない。
これまでは、コソ泥だったけど、強盗に格上げだ。
「いや、親の家のお金だから、コソッとこれまでのお小遣いを貰うだけだよね」
自分を誤魔化しながら、半地下の部屋を探る。前世の道徳観を引きずっていては、サーシャみたいに魂が砕け散ってしまうよ。
「ここかな? あれってコック服だよね?」
使用人達、タコ部屋に寝ているけど、ここは個室だ。それに、壁にあまり清潔とは言えない白い上っ張りが掛けてある。
忍足で部屋に入る。こんな時、『スリープ』とか使えると良いのにな。
あらら、いびきが凄く大きくなった。良かった! 逃げ出す時に侍女を殴って気絶させなくても、スリープで眠らせる。
とは言え、いつ起きるかわからないから、素早く部屋の中を探す。
まぁ、探すまでもなく机の上に木の箱があり、ジャラジャラと硬貨が無分別に入っていた。やはり丼勘定だ! これなら、お金が無くなるまで気づかないだろう。
遠慮なく
小袋にいっぱいお金を入れて、そっと部屋を出る。
行きがけの駄賃に、台所で小さなフライパン、お玉、小さい鍋、大きい鍋、ついでに木の器、皿、木のフォーク、スプーンなども盗んでいく。いや、貰っていく。
「銀食器は、多分、鍵の掛かる部屋にあるのだわ」
ここにあるのは、使用人用だけだ。一応、私には陶器の皿に銀のフォークとナイフとスプーンで提供されている。内容は使用人用だけどね。本当にケチくさいよ!
台所の外にあるバケツと縄もついでに貰っておこう。特に、縄! 逃げ出す時に必要かもしれないから、多めに貰おう!
愛情を持っていない
私が逃げたのが発覚して、
ただ、修道院の子ども達だけは気に掛かる。
「一応は、教会の保護下だから、
少しズキン! と胸が痛いのは、サーシャで過ごした時間が長いからかも。だからと言って
それに、
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