第65話 オークションで落札しよう 2
オークションは続き、宝石付のナイフは二百五十
「チェッ、しけてるな!」とジャスは文句を言っていたけど、これまでの分でもサンドウォーム分は十分過ぎるほど元を取っている。
「俺は、大盾を買わなきゃいけないからさぁ、金がいるんだよ」
あっ、それもあったよね。まぁ、そちらよりルミエラちゃんに貢ぐのをやめた方が良いとは思うけど、微妙な問題なので口は出さない。
「オークションの儲けは、クラン設立資金にしたら良いんじゃない? 帳簿を付ける必要があるけど、これからダンジョンに潜って得た利益の半分は、そちらに回すとか。それと、食料品とかエールの台とかの備品もパーティで出すようにした方が良い」
今は、ルシウスが出してくれているけど、ちゃんとしたい。
「帳簿かぁ……付ける必要性は感じているが、クランが出来たら、会計士を雇えば良いと思っていたんだ」
ふぅ、それも良いけど、それまでも大切だよ。
回復薬は、現物支給って事になっているけどさぁ。それで良いの?
「簡単な帳簿なら付けれるよ」
前世で簿記は習ったからね。就職に有利になるんじゃないかと思ったから。
「えっ、アレク! そんなことができるなんて信じられない」
ジャスが驚いている。失礼な男だね。
「アレク、頼めるか? 武器や防具は、個人で賄う。食料などはパーティ持ち。宿の金はパーティ持ち。チップは個人で良いよな」
ルシウスがリーダーとして話を纏める。ジャスは大盾を買わなきゃと顔を顰めたけど、それは文句ないみたい。
「竜の肝だぞ!」
「四百
ルシウスに札を挙げるのは任せる。小心者だから、手が震えそうなんだもの。
初めは三人が札を挙げていたが、二百
「おぃ、中盤の品の割に安かったな!」
ラッキー! でも、上級回復薬を作るのには、上級薬草がいるんだよ。それに、言っては悪いけど、ここの薬師は上級回復薬(劣)しか作れない。竜の肝が勿体無いよ!
「回復薬の事もちゃんと話さなきゃな!」
今回みたいに、私が材料を買った場合は良いけど、依頼やダンジョンで薬草が手に入った場合、現物支給だけで良いのか? 前から疑問だったんだ。
「アレクしか作れないのだから、それで良いのさ! マジックバッグも他の誰も作れないんだぞ!」
ルシウスの言葉に、ジャスも頷いている。
「あっ、でもジャスには手伝って欲しいんだよ。裁縫の技術が必要だからね!」
と言うことで、サンドウォームの皮、二百五十
「売る場合は、三等分! 使う時もあるから、少しは出したいんだ」
二人が変な顔をしている。
「アレクは必要ないじゃん!」ジャスに笑われた。
「お前、ちゃんと帳簿を付けられるのか?」
ルシウスに疑問視されたけど、修道院やお城の丼勘定よりはマシだと思うよ。
遠見鏡は、船乗りに需要があるみたいで、三百
ドキドキの宝石付きの金鎖は、なんと七百
私が出品した黄金の毛皮、凄い盛り上がっている。ああ、食物ダンジョンのトラウマが蘇り、ルシウスが酒を一気飲みしちゃったよ。
「なぁ、ただの熊の毛皮だろう? 色は変わっているとは思うが、なんで皆はあんなに欲しがっているの?」
オークションに参加している人が、ほぼ札を挙げているんだ。まぁ、段々と数は減っているけどね。
「ちゃんと鑑定しろ!」と
あの頃は、ルシウスとジャスとは別行動だったからさぁ。ジルが大騒ぎしていたのだけを覚えている。
「ちょっと遠いけど……鑑定! えっ、金運アップ?」
成程、それで商人達の目の色が変わっているんだ。
「八百
ここから長かった。ケチくさく十
「九百二十
やれやれ、そんなケチな競り落とし方したら金運アップの効果も薄れそう。
今夜のオークションのメインは、竜の牙、皮、肉だ。でも、もう疲れちゃった。熱気に当てられたんだ。
私が修理した電熱ヒーター、五百
ただ、魔導具の値段が高過ぎるよ! 電熱ヒーターだって、冒険者に便利だと思うんだ。作って売っちゃおう!
オークションが終わったら、精算だけど……桟敷席って、こちらへ来てくれるんだ。これって、二十
出品した物の金額から、一割引かれていた。結構、持っていかれるね!
そして、サンドウォームの皮、二枚と竜の肝! 信託金の百
今回は、落札した値段より、出品した品の値段の方が多かったから、かなり儲かったね! ニマニマが止まらない。
熟睡している
帳簿つけは、後にして祝勝会だよ!
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