第31話 白猫と一緒に迷宮ダンジョン 2

 注意しながら、階段を下りると、そこは厨房だった。

 機械コックがびっしり沸いている。ここも今まで発見されていなかったのかも。


召喚ニャン!」と白猫レオが機械兵を何十体も出し、凄い混戦になっている。


「あのなぁ、半分ぐらい減らしてから、召喚した方が良いんじゃないか?」


 ルシウスに文句を言われたけど、時間が経つと機械兵が機械コックを制圧していった。ナイフや包丁で攻撃し、フライパンや鍋の蓋が盾代わりになっているけど、機械兵の槍の方が有利みたい。


 でも、その奥にはメイド人形が! これまでの機械人形系は、ロボットっぽかったのに、今度は人形っぽくて不気味!


 それに『草原の風』みたいに短剣投げが上手い。かなりの機械兵がやられた。


「そろそろ、参戦しようぜ!」


 機械兵が後ろに逃した機械コック達を、私たちで討伐していたけど、メイド人形にかなり押されているからね。


 メイド人形は、身軽で、銀のトレイで私達の攻撃を防ぎながら、ナイフを投げてくる。ひらひら黒のメイド服のスカートが飜ると、ジャスが

「うひひょひょ!」と喜んでいる。


「馬鹿! しっかり討伐しろ!」とルシウスが叱りつけているけど、まぁ、ちゃんと討伐も頑張っているから、良いんじゃない。


 それにしても、このメイド人形は、あちらの世界のアニメの影響を受けていない? 白猫レオは、私の考えが読めるから、文句をつけておく。


気をつけろニャニャニャン!」

 メイド人形が少なくなったら、後ろには従僕人形が! 

 こちらは力も強いし、指先からレーザー光線も出してくる。


「ははは、男には容赦しないぜ!」

 ジャスは、強気だけど、

レーザー光線を、大剣で避けるのが大変そう。ルシウスみたいに盾を装備していないから。


召喚ニャン!」

 また機械兵なのかな? と思ったけど、レベル2になった白猫レオは、機械騎士を召喚した。


「従僕人形は、機械騎士に任せて、ボスをやるぞ!」


 従僕人形の後ろには、執事人形が数体! スマートな動きで、ナイフを投げてくる。


 その後ろの家令は、魔法も使うみたいだ。


「アレクは、後ろの家令を討伐しろ!」


 機械系は、雷系に弱い。


フルメン!」で家令を一撃にはできなかったけど、嫌がっている。


遮断ディスコンティ!」で討伐して、執事人形の魔法攻撃に手こずっているルシウスとジャスの手助けをする。


 二人は、剣と大剣で力技でぶった斬っているけど、ブリザード攻撃をかなり受けている。

治療クーラーティオ!」掛けておく。氷の礫があちこちに当たっていたからね。


フルメン!」を掛けると、執事人形の魔法攻撃が一旦キャンセルされる。それを見逃すルシウスやジャスじゃない。一気に討伐した。


「これで終わりかな?」

 もしかして、謁見の間の後ろの隠し部屋に神様ガウデアムスがいたように、ラスボス発見か! 

 一瞬、ドキッとしたけど、後ろの暖炉の棚の上に宝箱があるだけだった。


「おい、アレク! 猫が寝ているぞ!」


 白猫レオが私の頭の上で丸くなって眠っている。抱きおろして、カバンに入れておく。


「さっさとドロップ品を拾え!」


 また床いっぱいにドロップ品が散乱している。


 機械コックのドロップ品は、包丁やナイフ、そして魔石と何かの部品! メイド人形は、ナイフや銀のトレイ、魔石、そしてメイド服。これ、需要あるのかな?

 従僕人形は、ナイフ、魔石、それと葉巻! ルシウスが喜んでいるけど、健康に良くないんだよ!

 執事人形は、ナイフ、魔石、そして銀食器と何かの部品だった。

 家令のドロップ品は、片眼鏡と金の懐中時計。


「部品と片眼鏡を鑑定してくれ!」

 ルシウスに頼まれて「鑑定!」する。


「部品は、おおお、冷蔵庫のパーツだ! 片眼鏡は、鑑定ができる魔道具みたい」

 

「おっ、それは凄く金になりそうだ!」


 銀のトレイや銀食器も高価買取りされそうなので、ルシウスは喜んでいる。


「宝箱は何だ?」

 ルシウスとジャスが期待で目をキラキラさせている。


「鑑定!」を掛けてから開ける。


「鍵!?」

 宝石がついたゴージャスな鍵だけど、何処かで使うのかな?


「二階でも隠し部屋があるかもしれない。そこで鍵が必要になるのかもな!」


「宝物庫の鍵かもしれないぞ!」


 荷物持ちの籠が満杯になった。銀食器や銀のトレイ、かなり嵩張るし、メイド服も軽いけどかなりの数があるからね。それに、冷蔵庫の部品、かなり重たそう。


「一旦、外に出て荷物を部屋に置いたら、昼飯だ。今日は二階まで行くぞ!」


 ああ、でも今日は二階まで行けないだろうな。これから重大な告白をしなきゃいけないから。

 騙していたと怒られるかも。それより信じていなかったのかと詰られるのが辛い。

 

 それなのに、呑気に白猫レオは、カバンの中で眠っている。腹が立つからモフッちゃうぞ!


 なんて思いながら、広間まで戻ったのだけど、他の冒険者のパーティが討伐中だった。


「仕方ないなぁ、少し待とう」

 ルシウスは、肩を竦めて待機を荷物持ち達に指示する。


「あいつら、手際が悪すぎる。本当に銅級なのか?」


 ジャスが馬鹿にして笑うけど、ちょっと拙いんじゃない?


 巨大ねずみと巨大猫にかなり手こずっている。手こずると沸いてくるから、かなり大変になるんだ。


「あっ、シャンデリアが攻撃体勢になった!」


 サッと通り過ぎたら、シャンデリアは攻撃してこない事もある。私達はドロップ品が欲しいから、攻撃体勢になるまで粘るけどね。


「ヤバそうだな!」「拙いな!」とジャスとルシウスも言うけど、手を出さない。


「助けなくて良いの?」


 一人は巨大猫にやられて血を流しているし、シャンデリアのクリスタル攻撃をモロに受けている人もいる。


「アイツら、荷物持ちを置いて逃げ出すつもりだ!」


 討伐をモタモタして、巨大ねずみと巨大猫が沸きまくっている。そこに、荷物持ちを放り出して、我先に逃げ出した。


「よし、アイツらはいなくなったから、討伐するぞ!」


 私はシャンデリア、ルシウスとジャスはねずみと猫!


「酷い奴らだなぁ!」

 怪我をした荷物持ちを助け起こす。ついでに「治療クーラーティオ」をゆるく掛けておく。


「これってギルドに訴えられないのか?」

 腹が立つけど、二人は肩を竦めるだけだ。


「まぁ、こんな事をしたら荷物持ちに嫌われるさ。料金を倍払っても、なかなか良い荷物持ちは雇えなくなる」


 むうう、とむくれていたけど、これから私も大変なんだよね。

 

 

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