第16話 武器を買おう!
冒険者ギルドから、少し歩いた場所にルシウスのお勧めの武器屋があった。
「ここの親父は、自分で鍛治をするからメンテナンスもしてくれるのさ」
それは、良いかもね! ただ、私の武器を何にするかが決まっていないのが問題だ。
サーシャは、修道女見習いで、薪割りでは斧と手斧、森に行く時はナタが多かった。
ナタでビッグベアを倒したのだけど、それしか持っていなかったからかも?
あの時点では、サーシャの空間魔法は発動していなかったし、神聖魔法も少し使える程度だったから、身体強化だけで戦ったのだ。
「おや、お二人さん! 新人を連れて来たのかい?」
何となく、武器屋って寡黙で無愛想なイメージだったけど、商売をするんだから、普通に話している。
「武器を買う前に、これを買い取って欲しい」
私が背負い籠から、五人分の武器とナイフを出す。ナイフって全員が持っている物なんだよね。
「ナイフで一番マシなのは、貰っておくよ」
今のナイフも一緒に出そう。髪を切ってから、ボロくなって切れ味が悪いんだ。
「どれも手入れがなっていないな! その割に綺麗だが?」
親父さんが首を捻っている。ナイフも全部見て、私が出したナイフを選んだ。
「えっ、それは切れ味が悪くなったんだけど?」
睨まれたよ!
「このナイフは銀製の高級品だ。手入れしてやるよ!」
ああ、まぁお城で王女様が使っていたナイフだからね。
「それとは別に薬草採取のナイフが欲しいんだ」
持っていたナイフは、手入れして貰った後は食事用にしよう。
冒険者ギルドや
実はお城でも、サーシャは一応王女様だったから、ナイフとフォークは出たけど、使用人達は木のスプーンとフォークだった。ナイフは自前のを使う感じ!
因みに、修道院は普段は木のスプーン、オンリー! ポリッジとか、スープとか、シチューとかだったからね。祭日は、フォークとナイフが出たけど、数を数えて足りなかったら大騒ぎしていたな。修道院長は、自分だけ常に銀のカトラリーだったけどね。
この点は、南の大陸の方が進んでる気がするよ。
なんてサーシャの思い出に耽っている間に、持ち込んだ武器の精算が終わりました。
「まぁ、綺麗になっているし、手入れしたら売れるだろう。ナイフ五本、剣四本、短槍一本で五十
えっ、それって城から持ち出したお金のほぼ半分だよ! 盗むから、貰う、持ち出すと誤魔化し方もグレードアップしているんだ。精神安定的にね!
「親父さん、そりゃ無いよ!」
ジャスが怒る! ルシウスも渋い顔だ。
「もっと出してやってくれ! 武器を買わなきゃいけないんだ」
親父は、武器をうちで買うならと「六十
あっ、この世界では吹っかけたり、値切るのが普通みたい。サーシャは、そんなのしてなかったから、知らなかったよ。
「このナイフの手入れもしてやるよ!」
それは、親父のオマケみたいだ。
「アレク、どうする? こんなもんだと俺は思うぞ」
ジャス、私の考えを聞いてくれるのは、嬉しい。相場は分からないけどさ。
「親父さん、それで良いです。その値段で、俺に武器を売って下さい」
店の商品を鑑定しまくる。レベルアップしたいし、価格を覚えたいからね。
「アレクはナタや手斧しか使った事が無いのだが……それで、
親父も驚いている。
「そのなりで前衛なのか? 身体強化が使えるとしても、彼方の魔物は手強いぞ!」
そうなのか? 確かにサーシャが倒したビッグベア、こちらのビッグボア程度の大きさだった。
彼方のビッグボア、倒した事は無いけど、冒険者が討伐して運んでいたのは、もっと小さかったような?
やはり、北の大陸はクソと呼ばれているけど聖皇国やクズだけど聖王国があるから、
「おぃおぃ、それで
私が考え込んでいるので、不安になっているのだと親父は思ったみたい。
「いや、
追っ手から逃げる為だけど、これも本音だ。金を得たら、薬師になっても良い。治療は、神聖魔法でできるし、回復薬の作り方は
基本、私は小心者だから、魔物討伐なんて荒事は向いていないと思う。金を稼いで、小さな家を買い、薬を作って暮らしたい。
「おお、一緒に金を稼ごうぜ! それで、可愛いお姉ちゃんと遊ぶんだ!」
ジャス、それは遠慮しておくよ。
「お前の色ボケは置いとけ! 親父さん、アレクは魔法使いなんだ。だから、
親父が驚いている。やはり、南の大陸には魔法使いも少ないみたいだね。そうか、北の大陸でも庶民は魔法はほぼ使えない。
修道院は、私みたいに貴族の要らない子が捨てられる場所だから、魔法が使える人がいたんだよね。
南の大陸は、前世で言うなら新大陸だ。元から住んでいる人もいるけど、北の大陸から逃げた人々が開発したのだ。
その逃げた人々の中に貴族階級が少ないのは、当たり前だよね。
「魔法使いなら、杖だろうが、俺は作れない。後衛なら、弓だな!」
やはり武器屋の親父も弓推しだ。
「でも、弓は矢がないと戦えない」
ケチだと思われると嫌だから、戦えないと言った。
「ふうむ、マジックバッグを持っていたら、矢切れの心配は無いのだが……」
ルシウスとジャスが、ガハハハと笑う。
「聖皇と聖王が、何個か持っていたと言う伝説があるぞ。北の大陸のダンジョンを全部制覇して、マジックバッグを集めたそうだ」
えっ、あの
でも、きっと売り飛ばしているんじゃないかな? 一個ぐらいは残しているかもね?
「いや、
ジャスの情報は、多分、花街のお姉さんからだね。
「実際、マジックバッグがオークションに何回か出された事があるのは事実だ。
「へぇ、親父さんも情報通だな!」
ジャスが失礼な事を言っている。
「当たり前だ! これでも
「おお、幾らになるんだろう!
「誰が手に入れるかが重要だぞ! できれば冒険者が落札してくれたら良いのにな!」
三人が盛り上がっている所、悪いけど言っておこう。
「あのう、弓を使った事が無いのだが……」
これ、重要だからね! 私の弓の矢が無くなったら困るって所から、マジックバッグの話に脱線したんだ。
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