第40話 従魔、召喚獣登録

 三日連続の休日の二日目! 前世で土曜が休みじゃなかった時、日曜だけだと疲れが蓄積していく感じだったんだよ。


 明日も休みだから、一日が終わっても、次の日も休みだぁ! って思える。


 とはいえ、苦手なギルドに行かなきゃいけないのは、憂鬱! これ、しなきゃいけないのは分かっているけど、行きたくないなぁ。


 それに、まだ、白猫レオを従魔にするか、召喚獣にするか悩んでいる。

 機械兵とかは、常に連れ歩きたくないから、召喚獣にした方が便利だと思う。

 白猫レオは、全能神様オムニスに従魔とされたから、それを謀るようで……。


「それなら、我は従魔、他のは召喚獣として登録したら良いだけだろう」


 白猫レオは簡単に言うけど、そうしたら、テイマーであり召喚士になってしまう。目立つじゃん!


女神様クレマンティアの愛し子なのだから、目立つのは当たり前だ」


 うっ、神様ガウデアムスから見て、私は愛し子なのだろうか? そう言えば全能神様オムニスにもそう呼ばれていたような?


女神様クレマンティアの愛し子は、サーシャ! 私は何故か魂が同居していただけ……全く違う世界で生きていたのに……どうしてこんな事に?」


 白猫レオは、尻尾をパタンと打ち付ける。


女神様クレマンティアの考えで、そうされたのだろう。サーシャが愛し子だったにせよ、今は其方が愛し子だ」


 ううう……色々と考えても理解できない事は、諦めるしかない。


 それより、嫌な事はさっさと済ませよう。ジャスは野暮用があると不在だけど、ルシウスが一緒に来てくれるのが心強い。色ボケめ!


「ううん、どちらにしよう……」

 ギルドに向かって歩きながらも、まだ迷っていた。

白猫レオの件か? ずっと一緒にいるのだから、従魔でも良いんじゃないか? 他のは召喚獣にすれば良い」


「ルシウスは簡単に言うけどさぁ、目立つの嫌なんだ」


 失礼なルシウスに爆笑された。


交易都市エンボリウムのギルドで初日から目立ちまくっていただろう。それに、こちらでも目立っているぜ! 今更だ!」


 はぁぁ、馬鹿が絡むから悪いんだ! と八つ当たりしたくなる。


 ギルドに着いたら「ギルドマスターに話がある」とルシウスは、ルーシーに告げる。一番しっかりしているからね。


 すぐにギルドマスターが下りてきた。

「おお、ルシウスとアレクか? ジャスはどうした?」

 むっ、ジャスの不在の理由を思い出して不愉快な気分になった。人の気分を悪くする才能があるんじゃないの? と内心で毒づく。


「今日は、従魔登録と召喚獣登録に来たのだ。ここでしたら騒ぎになるから、上で登録したい」

 ギルドマスターが私を見ている。間違いじゃないけど、ルシウスが話したのに、私だと決めつけるのって、何か嫌だ!


「では、二階に行こう! ルーシー、登録証の準備と、マーチンさんを呼んでくれ」


 二階のギルドマスターの部屋で、白猫レオをカバンから出す。


「この猫を従魔登録したいのです」

 

 ちょっとギルドマスターが呆気に取られている。可愛さに惚れてもやらないぞ!


「ギルドマスター、お呼びでしょうか?」

 ルーシーと一緒に初老のギルド職員が部屋に入ってきた。


「ああ、マーチンさん。この子猫を従魔登録したいと言われたのだが……私には理解できない」

「きゃ、可愛い!」

 見る目のないギルドマスターだな! ルーシーは、白猫レオの可愛さにメロメロなのに!


「こ、ここ、これは……ギルドマスター! 大変です! これは神獣です!」

 ゲッ、マーチンさんって鑑定士なの?


記憶改竄ニャニャニャン!」


 白猫レオ、それは拙いんじゃない? いや、神獣と鑑定された方が拙いのか?


「失礼しました。よく見ると魔物ですね。既に、従魔契約されているようなので、登録したら良いでしょう」


 ルシウスが横で胡散臭そうに白猫レオを見ている。まぁ、神様ガウデアムスだから、胡散臭いよね。


「私には、猫にしか見えないが、神獣ではなく魔物なのだな? 何という種類の魔物なのだ?」


 ええっ、さっさと登録したら良いじゃん!


「それを明かすかどうかは、冒険者の自由だったと思うが……テイムしたのは、アレク。種類は白猫。名前はレオ」


 ルーシーは「良いのでしょうか?」とギルドマスターにお伺いを立て、頷かれたので従魔証を作成する。


「これが従魔証です。町にもこの証があれば連れて入れます。ただ、宿や店は拒否する事もあります。従魔が物を壊したり、人を傷つけた場合、テイマーが責任を取る事になります。従魔を攻撃するのは、違法です。防衛しても構いません」


 いかにも魔物っぽい従魔なら、これがなかったら町には入れられないよね。でも、白猫レオは猫にしか見えない。

 ギルドマスターも、従魔登録の意味があるのか首を傾げている。


「もしかして、凄く大きくなるのか?」

 学習能力がないのか、質問してくる。無視して話を進めよう!


「それと、召喚獣も登録したい」

 今度は、自分で言ったよ。白猫レオの召喚獣だから、テイマーの私が言うべきだと思ったから。ちょっと誤魔化しているから、ルシウスに言わせたくなかったんだ。


「えっ、召喚獣? また猫なのか?」

 失礼なギルドマスターだな! でも、一応は警告しておこう。いきなり攻撃されたら嫌だから。


「召喚獣は、機械兵三体と機械騎士一体だ。ここに召喚するけど、攻撃とかしないように!」


 白猫レオが機械兵三体と機械騎士一体を召喚する。これは、普段の荷物持ちに魔導具の機械兵三体、指揮を取る魔導具の機械騎士一体を使おうと話し合ったからだ。


 警告したのに、ギルドマスターは、本能的に手を剣においた。まぁ、抜かなかったから、許そう!


「これを召喚するのか? 無機物だぞ!」

 そんなの知らないよ! 白猫レオが召喚しているんだから。


「召喚できるから、召喚獣として登録したいのだ」

 

 鑑定士は、確かに機械兵と機械騎士だと鑑定した。


面倒だニャン!」

 私も同意見だ。このギルドマスター苦手だし、何度も来たくない。魔導具の機械馬は二頭組み立ている。だから、召喚獣として、二頭登録しておこう。


 乗ったり、馬車を引かす時は、魔導具の方。戦う時は、召喚獣にしたら良いんじゃない? 魔導具と違って召喚獣はレベルアップするから、違いがわかる人もいるかも知れないからね。


「機械馬も召喚できるのだけど、ここに出して良いかな?」


「機械馬! そんな物まで召喚できるのか?」


「これって出して良いんだよね?」

 ルシウスも面倒臭くなったみたい。


「部屋の隅なら良いんじゃないか」ということで、機械馬二頭も召喚した。


「きゃ!」と驚くルーシー。


「ルーシーさん、大丈夫だからね」と安心させる。


「アレクは、テイマーで召喚士なのか?」

 知ったこったか! さっさと召喚獣の証を作ってくれ。


「あのう、これには何か印が必要だと思うのですが……」

 マーチンさんは、召喚獣だと認めて話を進めてくれている。鑑定したら、召喚獣だからね。今は魔導具の方は出していないんだもん。


「印は考えている!」

 私は、星の海シュテルンメーアの三個の星を考えていたのに、ピカッと指輪が光ったと思ったら、機械兵、機械騎士、機械馬の身体に大きく白猫レオの額にある三つの星のついた王冠が白く浮かび上がった。


「えっ、違う印になっちゃったよ。星の海シュテルンメーアの印じゃないけど、どうしよう」

 私がルシウスに謝ると、肩を竦める。

「まぁ、これで良いんじゃないか? 三つの星は同じだし、ジャスも文句は言わないさ」

 

 星の海シュテルンメーアの印は、前通りでも良いんじゃないかな? でも、リーダーが面倒だから一緒で良いと言うなら問題ないのかな?


「その指輪が光って印が現れたのか?」

 ギルドマスターが騒いでいるけど、黙っていよう。

 それに、私にも分からないから、答えようもないんだよね。女神様クレマンティアの気まぐれかも?


 ルーシーさん、ちゃっちゃと召喚獣の証を作ってくれたのだけど、名前はと質問する。名前って必要?


「機械兵1、機械兵2、機械兵3……えっ、駄目?」


 ルーシーさんは、非難の目で見るけど、機械だもん!


問題ないニャニャニャン!」と白猫レオも言っているし、このまま押し通す。


「機械騎士1、機械馬1、機械馬2」


 それに、何十体も召喚できるのに、名前をいちいち付けていられるか! ってえの。

 召喚獣の証を貰って、さっさと帰ろう!


「おい、これを置いていくな!」

 まぁ、これはギルドマスターの言う方が正しかったね。

 つい、早く帰る事ばかり考えていたからさ。嫌がらせする気はなかったよ。

 白猫レオに消させて、本当に今度は帰ろう!

 

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