第26話 迷宮ダンジョンは楽しみだ
次は、迷宮ダンジョンに決まったけど、まったく想像もつかない。
「どんな魔物が出るんだ?」
相変わらずギルドの精算は、ルシウスに任せっきりで、ジャスと私はエールを飲んでいる。
「迷宮ダンジョンは、少し他のとは違うんだ。罠や仕掛けが多い。魔物も、ちょっと変わっているぞ」
へぇ、からくりがあるのは面白いかもね! 忍者館とか好きだった。お化け屋敷は苦手だったけどね。
「変わった魔物? そうか、建物の中だから、動物系はいないのか!」
ジャスがエールを飲み干して、二杯目を注文してから答える。
「ネズミや猫がでるから、動物系だとも言えるぞ! それと……コウモリや蜘蛛も出る。それより変わっているのは、無機物の攻撃だ」
無機物? なんじゃそれ?
「金になる魔物だ!」
精算を済ませたルシウスが上機嫌で、運ばれてきたジャスの二杯目のエールを横取りして飲む。
「あのダンジョンのドロップ品は、金になるんだ! それと、宝箱はオークションに掛けられる事になった。あの宝石がいっぱいついた金鎖、かなりの値打ち物だ!」
その夜は、オークションの前祝いだとルシウスが騒いで、何軒か梯子して飲んだ。まぁ、それに次の日は休みだからね!
◇
「うううん!」と伸びをして起きる。昨日は飲み歩いたから、起きたらお日様はかなり高くなっていた。
休日なんだから、良いよね! 女将さんに「ゆっくりだねぇ」と朝食を出してもらい食べた。
「お湯を頼む!」
「朝っぱらからお風呂かい?」
少し呆れられたけど、朝風呂をゆっくりと楽しむ。これこそ、休日の正しい過ごし方だよ!
風呂から出て、ベッドでゴロゴロしながら、
読書と思えば、細かい設定も我慢できるかな? と思ったけど、やはり苦手!
「魔力回復アイテムも何かあると思うんだけど……南の大陸は魔力持ちが少ないから、あまり必要とする人がいない。北の大陸は、魔力持ちは多いけど、魔物が弱いから、あまり必要とされていないのかも」
サーシャは、貧しい(修道院長以外は)修道院育ちだったから、もしかしたら知らないだけなのか? いや、
「もしかして、無いの? 困るんだけど……」
魔力量は多いけど、使い方が下手なのか、ボス戦前に少なくなって失敗する事もある。
魔力回復薬が無いなら、もっと魔法の使い方や威力を絞るやり方を考えないといけない。
ホーリーを一階全体に掛けるなんて、駄目だ! でも、あれは驚いて反射的に掛けたから、仕方ないよね。
午前中は、ベッドでごろごろ過ごし、無機物の攻撃について
「へぇ! シャンデリアとか落ちてくるのか! からくり人形? ホムンクルス? それに錬金術のアイテムがドロップするんだ」
錬金術は、北の大陸にもあったんだと思うけど、サーシャは知らない。お城の宝物庫とかを護る為に使われていたのかな?
南の大陸のダンジョンの転移陣とかは、魔法なのか? 錬金術なのか? 違いがわからないよ。
「あああ、魔石を買い取っているのだから、何処かで魔導具を使っているんだよ!」
サーシャは、お城に行くまで蝋燭すら贅沢品だった。うん、お城では蝋燭を使っていたけど……魔導具、魔導具……
「
いや、多分、これも廃れているんじゃないの?
「ルシウスが、無機物の魔物のドロップ品は高価買取りされると言っていたけど……それは、錬金術の材料だからなんだろう。つまり、何処かで錬金術の製品を使っている人がいるんだ」
俄然、興味が出てきた。錬金術でからくり人形を作れたら、見張りとかさせられないかな? ダンジョンに潜ってセーフゾーンで泊まる場合、見張りをさせたら、ぐっすり眠れるんじゃない?
まぁ、高価なからくり人形を盗まれる危険もありそうだけどさ。治安、悪いんだよ!
それと、魔導灯が欲しい! そして娯楽として本も!
冷蔵庫もあると嬉しい! あれっ、ギルドとかにあるのか? 肉を大量に買っているよね? 塩漬けや干し肉だけじゃ無いのは……。それか、マジックバッグがあるのかも?
兎に角、魔石を使う需要があるんだ。私とは関係ない人達は、錬金術で快適な暮らしをしているのかも?
「むぅぅ、エアコンが欲しい! それに、これから雨季になるなら、除湿機も!」
北の大陸の寒さは苦手だったけど、熱帯雨林の暑さ、はんぱじゃない。ダンジョンの中は……快適だよなぁ。
◇
腹時計が昼を告げるので、着替えて外に出る。目当ては、本と錬金術関係の物!
それと、森亭でランチを食べよう! あそこは、馬鹿な冒険者が少ない感じだから、一人飯も大丈夫だと思う。
「今日のランチメニューを頼む!」
夜はアラカルトだったけど、昼はランチメニューだけみたい。野菜が多いと良いな!
おお、これってカフェ飯に近いよね!
勿論、ご飯じゃなくてパンだけど……蒸し野菜と肉のカツレツ、それとスープ! エールを頼んじゃおう!
味が良いのって、嬉しい! 金熊亭は、不味くは無いけど、まぁまぁの味なんだ。量は多いけどね。
ランチを食べたら、魔導具と本を探して、
相変わらず、ぶつかってくる子どもがいる。見た目で損しているなぁ。
「本屋、見つけた!」
いつも活動しているのは、南門からギルドの間。それと、下町の繁華街。
本屋があったのは、もう少し高級な宿や建物が並ぶ通り。
カランコロンとドアベルが鳴ったけど、気むずかしげな爺さんは「いらっしゃいませ」の一言もない。ギロリと睨んでくる。
感じ悪いけど、今日も胸当てを装着して冒険者の格好だからかも? 本当に冒険者に馬鹿が多いから。
「本を手に取って中身を確認して良いか?」
「買うなら良い」
こちらの世界で本は貴重品だ。修道院には、何冊もあったけど、サーシャは読む暇がなかった。それでも、最低限の読み書きと計算は習っていたからマシなのかな?
ルシウスとジャスは、どこで読み書きや計算を習ったのだろう。ジル達は、計算はできるみたいだけど、読み書きはできるの?
ほぼ本は読んだことがないから、どれでも良いのだけど、買うなら自分の好みの本が良い。
歴史書、旅行記、そして小説を買った。金貨を二十枚以上使っちゃった。
でも、その後の魔導具品店でちょっと不愉快な目に遭ったんだよね。まぁ、冒険者の格好だし、仕方ないかもしれないけど、ムッとしちゃった。
だから、気が乗らないけど、ギルドに行く。迷宮ダンジョンの十階までの地図を買ったんだ。
それと、少し買い物をしたよ。明日が楽しみだ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます