第44話 機械兵に荷物持ちをさせるぞ
あれから、中級回復薬(秀)を三十本作った。中庭で作るのって、中腰になるから少ししんどい。マジックテントの中なら台が使えるからラクなのかな? 今度、試してみよう!
私は、気が小さいから、中級回復薬(秀)の十五本をルシウスにカインズ商会に持って行って貰う。
リーダーをお使いに出すようだけど、私だったら三十本あるのがバレそうなんだもの。
「これは、上級回復薬(劣)よりは上なのだな?」
ルシウスは鑑定の能力がないから質問する。
「そう、ダンジョンの隠し部屋でドロップした上級回復薬(並)よりは下だけど、薬師が作っている上級回復薬(劣)よりは上なんだ」
だから、残りの十五本はアイテムボックスに入れておくよ。魔力回復薬と兼用だとわかったから、準備しておかなきゃいけないんだ。
魔力回復薬があると思っていた頃は、怪我をしても
まぁ、魔力切れだと困るから、少し持っていようって感じだった。
ルシウスは、中級回復薬(秀)一本を金貨十枚で売ってきた。
「えええ、高くない?」と驚くけど「当たり前さ」と笑う。もしかして、もっと高く売るのかもね!
「それと、魔導灯の件を話し合ったんだ。金貨九十枚で買ってくれるそうだ。まぁ、これはギルドよりちょっと良い値段だな」
そのうち、魔導灯の組み立て方を教えてあげよう! 行く前から、
まぁ、カインズ商会なら教えなくても、部品を組み立てるだけだから、錬金術師でなくてもできると分かったから、作るかもね!
「明日は、十階の隠し部屋を攻略して、十一階のセーフゾーンでバリアの魔法陣を試そう!」
ルシウスの計画に異論は無いけど、
「どうせなら、転移の魔法陣も試したら良いのだ。ダンジョン内から、宿に転移できたら攻略も楽になるだろう」
それは、そうだけど……バレそうだよ。ルシウスも同意見!
「セーフゾーンから転移して、宿に出たら不思議がられるぞ。宿から、設置している隠し部屋なら誤魔化せると思うが」
「そんな悠長な事で、オークダンジョンを殲滅できるのか!」
尻尾をパタン、パタンと打ち付けて怒るけど、これ以上目立つのは拙い。まぁ、機械兵に荷物持ちさせている時点で、凄く悪目立ちしそうだけどさ。
◇
次の日は、馬車で迷宮ダンジョンに行く前に荷物持ちを雇わなかった。
馬丁は、怪訝な顔をしていたが、迷宮ダンジョン前にも何人か荷物持ちがいるので、それを雇うのだろうと考えて馬車を走らせる。
「帰りは、少し騒動になるかもな!」
機械兵に背負い籠を持たせたままは、馬車に乗れない予感!
「まぁ、なんとかなるさ!」
ジャスは楽天的だね。
「そうだな! いざとなったら、自分たちで背負い籠を担げば良いだけさ」
アイテムボックスとマジックポーチを活用するつもりだけど、何も荷物を持たないままダンジョンから出るのは、拙いと話し合っている。
「それに、どのくらいの重さを担げるかも試さないと!」
今日は日帰りの予定だけど、いずれはお泊まりになる。その時、荷物持ちに水の樽やテントなどを持たせているように偽装しなくちゃいけないんだ。
「先ずは、宿を借りるぞ!」
十階の隠し部屋のドロップ品がショボかったら、別の隠し部屋に設置するけどさ。
「まぁ、十階の隠し部屋は転移陣から近いから、別の所の方が良いと思うが、実験してみないとな!」
確かにね! ルシウスは、やはり子供部屋の魔導書、そして機織り部屋の快適反物の追加が欲しいみたい。
ダンジョンの前を護っている兵士達に、これから召喚獣を出すと告げる。
「これがギルド発行の召喚獣の証だ!」
ルシウスが、番所から出てきた隊長に見せる。
「召喚士なのか!」と驚かれたけど、話を進めよう。
召喚は、
「ここに出すけど、攻撃しないように! 攻撃したら、反撃させるぞ」
電撃のアレクなんて呼ばれたくないから、機械兵達が反撃すると言う。
三体の籠を背負い、旗印をつけた機械兵、そして旗印をつけた機械騎士を出す。
「機械兵と機械騎士!」と警告しているのに、兵士は手が剣を掴む。
「止めろ! これは、召喚獣なのだ」
隊長が止めてくれたから、兵士達も剣から手を離した。
「
それは、
隊長が「行っていい!」と許可してくれたので、転移陣で十階に飛ぶ。
「十階の隠し部屋は、何かな?」
ルシウスは金目の物。ジャスは、ルミエラちゃんにプレゼントできるような物を期待して、十階を探索していく。
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