それでも生きていくグズグズ

 誰に頼まれたわけでもないのにこうして心に浮かぶよしなしごとを書き散らしては、そちらさまのご厚意につけこんで毎週送信するってなことをずっとやってきたわけなのだけども、最近それが滞っているのはひとえに「なんかそれどころではない」からなのであります。


 今週父が難病であると診断され、担当医から医療助成の申請と介護認定を受けるための手続きをするよう言われた。父は病院からの帰りの車の中で少し泣いた。かける言葉も思いつかず、信号が赤から青に変わるのを待つあいだ、わたしはずっと角の弁当屋の看板を見ていた。今日の日替わり弁当はチキンカツです。生きるっていややわあ。父の隣でハンドルを握りながら、わたしは思った。


 夏の初めに脳梗塞を起こした後、がたがたと調子が悪くなったので、てっきりわたしはその後遺症というか、何らかの関係症状だと思っていたのだが、ドクターに聞いてみるとそれとこれとは全く別だとのことだった。母はもう完全に抑うつ状態で被害妄想的になっており、家業をたたむ算段をしているのに、その世話をしてくれている懇意の会計士さんを疑っている有様である。先方にも母の精神状態のことは十分説明してあるのだが、やはり気分が悪いだろうし、事あるごとに間に立って申し訳ない申し訳ないと詫びを入れながら、生きるっていややわあ、とわたしは思っている。


 それでもわたしには夫があり子があり、どんづまりの八方塞な実家とは別に帰る家があって、パート先の同僚にも恵まれ、毎日一度以上は笑いさんざめくようなことが必ずあり、相変わらず夜中は酒を飲んでラグビーの録画を見て好きな本を読んで、こないだもお義母さんが「臨時収入があったから一緒に美味しいお肉を食べよう!」と電話をくれたので、となりまちにある評判の肉屋さんまで車を走らせて、うちでみんなで焼き肉を食べた。とてもおいしいてっちゃんをつつきながら、やっぱりわたしは、生きるっていややわあ、と思っていた。

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