秋はへなへなが普通。
ワールドカップが終わってマスコミはラグビーロスがどうのなどと言っている。泉州のアンチ筋肉・はー太郎も、祭が終わって泣いてるやろ、とわざわざ心配してメールをくれた。
始まる前こそ、わたしも、閉幕後の虚脱が恐ろしいと思っていたし、その不安をここに書いたりもしたのだが、実際のところは全然大丈夫なのだった。よく考えてみると例年十月頃といったらチャンピオンシップ、南半球四カ国対抗戦が終わる時期で(今年はW杯があったので、七月に始まって八月にはもう終了の短縮版)、体の方が「虚脱慣れ」というか、いつものこととして受け止めたのだと思う。秋はへなへな。それが普通。むしろ、わたしのフランソワがフランソワがと脳内が煮えたぎるチゲ鍋のようになっていた去年のチャンピオンシップ終了時の方が、人として使い物にならなかったように思われる。(注1)
それに、正味のはなし毎日ラグビーに振り回されて、エネルギーと時間とを費やし、いい加減しんどかったので、終わってほっとしていると言っても過言ではない。楽しかったけど疲れた。子育てか。でも、ラグビー見るために一家全員五時に風呂入って五時半に手抜き飯食って子どももろとも完全湯冷めのゴールデン風邪直通コースとか、日常生活が著しく侵害されていたのは確かである。前にも書いた通り、試合を見る、録画を見る、違う局の録画の解説聞き比べもやるで、とにかく時間がなく、図書館から借りてきた本も軒並み読めないまま期限が来て返却とか、子どものカーディガンが穴空いてんなと気付いても放ったらかしでさらに穴拡張とか、朝晩冷えるようになってきたからファンヒーター出してフィルター掃除していつでも使えるようにしとかなあかんわ、と思ってはいるもののそこまで全然手が回らなくて朝すげえ寒い中気合いだけで発熱して着替えとか、いろんなことが無茶苦茶だった。
それにもう、HDDの録画可能容量がどんだけあるかとか、どの試合を残し、どの試合を消去するかにも悩まなくてもいい。実況の矢野さんが、優勝が決まってグラウンドに我が子を抱いて下りてきたチェスリン・コルビを見てした、「お父さんもちっちゃいけど娘さんはもっとちっちゃいですね」というコメントに、そらっそやろ一歳ちょいの娘が親父よりもデカかったらなんぼアフリカ人でもびっくりするわえ、とか突っ込まなくていい。それにしてもイングランド代表はメダル授与式のときも行儀悪かったなー。とくにシンクラー。イトジェなんか拒否ってたもんなー。もらった銀メダルを最後までちゃんと首から下げていたのはトム・カリーだけだ。猫カフェには行けたのだろうか。弟がわざわざ自分のリーグ戦を休んでイングランドから決勝を観に来たと言っていたから、チームメイトはのってくれなくても、弟なら一緒に行ってくれるだろう。家庭環境が同じならきっと弟も猫派なんじゃないのか。なんて気を揉まなくてもいい。
あー終わった終わった。こんなやれやれ感を抱くとは思っていなかった。いや、ほんまにおもろかったのよ? 楽しかったのよ? 旅行行って、帰ってきて、やっぱりおうちが一番ね! みたいなことを言う輩のことを、他出が嫌いなわたしは、アホちゃうけほたら最初から行かんかったらええねん。とか思ってたんですけどもね、あれはひょっとしてこういうことなのかしらと、子どものカーディガンの穴をようやっと繕いながら考えるに至りました。ラグビーは、実にいろんなことを教えてくれる。
余談ながら、わたしはこの決勝戦、6-10でイングランド勝利と予想し、夫と家庭内賭博を開催しようとしていたが、夫の方もイングランド優勢と見ていたため、賭けが成立しなかったのである。夫婦揃って厄病神かもしれない。
(注1)「その名もフランソワ」https://kakuyomu.jp/works/1177354054888078667/episodes/1177354054888147271参照。←ここ数日、この話だけPVがものすごく伸びている。まあ、「ものすごく」といっても普段の零細ぶりから比べての話だからタカが知れてるが、それでも一番読まれる話になってしまったのは、たぶんどっかから「フランソワ・デクラーク」で検索して漂着した人たちがいるんだろうなあ、と思っている。気の毒なことである。
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