第215話
「しみったれた話を悪いね。別に良い年して今更感傷に浸りたいわけじゃなく。
、、俺はさ、病気を理由にそうやって彩華からは逃げたけど、礼からも実は何回か向き合うことを逃げたんだよね。
俺は礼に出会ったときから実を言うと可愛いなと思ってた。心臓がやばくなって入院してたときに、礼もリチャードのレッスンに行く途中で手を骨折して、リチャードが慌てて病院に連れてきたんだ。
ただ、、可愛いし同郷で良くしたいし、あわよくば話したいとは思ったけど、、こんな身体じゃもう女性と付き合っても責任持てないし、付き合ってもパートナーになれなくて寂しいと思うくらいなら付き合わないようにしようと、、当時は諦めていた。だからまあそれ以上は考えてなかった。
でも、、リチャードは俺を励ましたかったみたいで礼をよく連れてきて。そのうち、、自分の気持ちも大きくなって。、、礼のヴァイオリンに真摯でまっすぐなところ、純粋で素直なところ、、演奏家の家で強制的にスパルタで弾かされてきて、ひねくれた俺は持ってないもので、、ますます惹かれてしまった。
、、、それでも病気を理由に遠ざけたり、それでも礼が引かないから、今度は、、酷かったなと思うけど、君には遊び目的、、あわよくば身体目的で利用しようとして近づいただけだ、とか嘘をついて傷つけて遠ざけたりもした。
、、彩華のときは辛かったけど自分から離れられた。だけど、、礼には自分の気持ちが抑えられなくなりそうで、怖かった。また病気が悪化して互いに苦しむ前に別れたかったんだ。
でも、、結果は、、俺は礼と離れると自分が弱くなっていくのがわかったんだ。身体がじゃなく、気持ちが。
礼と出会ってしまった以上、その前の1人でいいやって思ってた気持ちには戻れなくて、、。
礼がいるから頑張って治療もして一日でも長く生きたいと思えるし、、礼も俺を前向きにしようと、、色々してくれたし、ピュアすぎて傷つきやすい子だったのに、素直さは保ちながら世の中の嫌なことや俺の嫌な面も、向き合える強い女性になって。
まあ、、それだけ好きになった礼に、最初のころは、、彩華だとは名前は出さなかったし元彼女だとも言わなかったけど、、昔は一緒に演奏したことや、、よく行った場所について、、自然と話してしまったことはあって傷つけたみたいでね、、女の子は特にそういうの敏感だから礼も気がついて、最初は彩華の服を真似たりもしていたな。、、イザベラもエセキエルに何気なくヨハンを匂わせること話したのかもしれないね。」
明はヨハンが半分以上は食べてしまった、話しているうちに冷めてしまったグリーンカレーを少し食べる。父やミカエルは辛いものが苦手だが明は平気なようだ。
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