第63話
「あら、レイノルズさん。いらっしゃってたんですか。」
リチャードは、三ヶ月に数回程度だが診てもらっているPTSD治療専門の精神科医、カザリン•シュヴァルツに声をかけられ、振り返る。
「シュヴァルツ先生。
、、私が具合が悪いんじゃないんですが。付き添いでして。だからご心配なく。」
「、、付き添いですか。
、、確かに体調は元気そうですが、気持ちは元気そうにはお見受けしません。、、それに、クマが。」
カザリンはリチャードを見上げ、朗らかだが優しい印象の整った顔の表情を曇らせる。
「あはは、、まあ、、そうですね。息子が体調が、、いえ、精神が参っているようでして。心配であまり眠れませんでした。」
リチャードは、あまりヨハンの個人情報を、自分が名が知られてるのもありひけらかしたくはなかったが、自分の主治医のカザリンが信用できることや、たまたま周りに人がいないのを見て少し打ち明ける。
「、、レイノルズさん。もし良ければお話し伺いますよ。、、息子さんは多分カウンセリングや検査ですよね?お待ちの間、私の診察を受けませんか。来月の予約の前倒しで。ちょうど今は空いています。」
「、、、よろしいのですか。
それは私としては有り難いですが。
、、先生もご存知ですが、、お世辞にも精神的に強くない私が息子の力になれるのか、、不安ですがなんとか力にならないと。だから専門家から知恵をお借りするのは心強いです。」
「、、私はレイノルズさんが弱いなんて思いませんよ。、、でも、大事な方が苦しまれていて不安にならないわけはないですから。
、、行きましょうか。」
カザリンは、リチャードを力付けるように微笑んで話してから、診察室へ踵を返した。
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