第254話
「ダメだヨハン!!絶対に渡すな!物資を守るんだろ!!こいつらの正体が何だろうと困ってる市民にきちんと行き渡らせる、それが僕たちの、、」
ルノーは叫んだが、今度は強盗に頭を思い切り殴られて血を流して倒れ込んだ。
「話す許可は出してない!、、長生きしたかったら黙れよ。」
強盗は、ルノーが話したのをきっかけにして、ルノーの身体のあらゆる部位を殴りつける。ヨハンがルノーには渡すなと言われ、しかし強盗には渡さないとルノーを殺すと言われてどうしたら良いのか迷っている間にも、ルノーは消耗して行く。
「あ、、あ、、ああ、、」
ヨハンはどうしたら良いか分からず、ただ震えてルノーが殴られるのを見るしかない。エイドリアンも、動けばルノーが殺されるため、悔しそうな表情でヨハンの前でヨハンを護りながら、強盗へ引き金は引かずに銃を向け、止まっている。
「ほら。早く渡さないと撃つまでもなく殴られてくたばるぞ?」
「、、わ、渡します、これを、、」
ヨハンはルノーが苦しむのがこれ以上見ていられず、鍵を投げる。
「ようし。良い子だな。物分かりが良くてたすか、」
「ふざけんな!!渡すか!!」
強盗が微笑み油断した隙に、後ろからルノーは這いながら渾身の力で強盗を蹴飛ばす。
「!!お前!!」
強盗は激昂し、立ち上がり後ろを向いてルノーを撃つ。同時にエイドリアンが発砲し、強盗の額を射抜いて強盗は倒れた。
鍵は虚しく床に転がっていて、ルノーはか弱い息でぐったりしている。今にも息絶えそうな消耗ぶりで、顔色は青白いが白に近い。ヨハンの鍵に気がつきルノーを捕獲した強盗は他とはレベル違いの戦闘力だったが、ヨハンが見ている限りでもまったく容赦なく、まるでゴミに対して行うかのように、ルノーを思い切り蹴ったり殴ったりを繰り返した。
挙句、最後の最後で物資を渡すまいと行動に出て守り切ったルノーを、強盗は激昂の末、額のみならず胸まで撃っていた。ルノーは弱り切っていて、痛みや苦しみに悶える力も無いようだ。
「!!ルノーさん!!ルノーさん!!ごめんなさい、僕がヘマしたから、、ううう、、」
ヨハンは号泣しながらルノーの縄を解き、抱き上げる。
エイドリアンは犯人たちが死んでいるのを確認し、執務フロアへ駆けていく。
「、、君、、人懐こいね、、僕のこと、、嫌ってたのにこんな、、短時間で、、ファーストネームで、、ゴホッゴボッ、、」
ルノーは怪我のせいか、うっすら空色の瞳を割れたメガネの中から見せたが話すと血を吐いてしまう。
「、、ルノーさん、頑張ってください。エイドリアンさんが今誰か呼んできますから!
、、ごめんなさい、、僕、、わがまま言ってきたくせに守れなかっ、、」
「守ったよ。、、君は僕が危なくなると最初反対したけど鍵のカモフラージュはしてくれた、、ありがとう、、。君ともっと話し、、」
ルノーは、息がより一層弱くなり、微笑んだままヨハンの腕の中で目を閉じた。
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