第241話

ベネディクトは、所属するオーケストラの仲間と組んでいる木管アンサンブルの仕事でナントにいたが、最近連絡がつかなかったイザベラと連絡がつき、ルーアンに居ると言うので、ホテルのカフェまで会いに行った。


「、、その、、連絡つかないし心配したよ。2ヶ月後の同窓会の案内係僕だしさ、、。

まあ返事はまだギリギリ待てるけどね。

、、、演奏会も1ヶ月も休んでさ。父さんの話じゃレイノルズ先生とも連絡取ってないんだよな?


、、マネージャーさんも帰らせて、、1人でほっつき歩いてんの?」


ベネディクトは、少し窶れて元気がない、萎れた向日葵のようなイザベラに尋ねる。


「ううん、、お姉ちゃんが先々週休みを取って来てくれたから、、今はホテルの部屋にいるけどね。それからはマネージャーは帰ったわ。」


「そう。。なら良かったよ。いくらなんでも有名人が一人旅なんて、、女の子なんだし危ないからさ。、、、、顔色は良くないけど病気には見えないし、、、手の感じも腱鞘炎でもないよな?なんで落ち込んでるんだい?

、、ヨハンとデートした!って報告くれたのに、、ヨハンと喧嘩でも?ヨハンて優しいし、、喧嘩しそうなイメージないけど、、。」


ベネディクトは、形は父親のミカエルによく似ているが、瞳の色は母親のコンスタンツェ譲りのエメラルドグリーンの目でこちらを見ながら、頬杖をついて話す。

ベネディクトは瞳の形以外は色素含め母親似だが、すらりとした体格はミカエルと似ている。

一方、ベネディクトの妹で声楽家のエリザベートは顔立ちはミカエルにそっくりだが、色素と華奢な体格はコンスタンツェから受け継いでいる。エリザベートとは直接話したことはないが、ベネディクトも自分もヨハンもギムナジウム時代に出ていたコンサートなどを見に来てくれ、姿を見たことはあった。


「ヨハンが自殺未遂したなんて知らなかったわ。、、それを、、運悪くヨハンとデート後に知っちゃったの。ベンは知ってた??」


「えっ!!、、う、ううん、、。知らなかったね。何だよそれ?変な冗談は、、」

ベネディクトは知らないとしらを切るが、ポーカーフェイスのミカエルとは違い、顔に出やすいのはコンスタンツェに似ており顔が引き攣っている。イザベラはため息をつく。


「知ってたんだね。、、やっぱり私以外のヨハンと仲良かった人は。、、酷い。あたしにだけ黙ってて。」


「でも!!でもさ、、僕だってヨハンから打ち明けられて、しかも卒業前になって知ったんだ、、。だからあんま同窓会行きたくない、、音大に行く僕とも話すの辛いからあんまり会えなくなるかも、って言われて、、それに、、父さんにすら秘密にしてくれって言われてたし、君には絶対に秘密にしてって言われた。

約束は破れないじゃないか。

僕はできるならまたヨハンまた頻繁に話せるようになりたいし、、。友達として約束は守らないとさ。」


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