第32話 まだ見ぬ未来

「あいつ、、学校にきちんと行く気だったのか。。」

レイノルズが呟くのを聞き、ミカエルはレイノルズに視線を向け、ここまで黙っていたが口を開く。


「私があなたを深夜に緊急外来に運んでから、しばらく私とヨハンは、あなたについていました。あなたを私が運んだのが1時半、ヨハンは45分ごろに来て。ヨハンはマリアさんが亡くなったときのことも思い出したのか泣いていましたが、、2時すぎには帰ると言ってきちんと2時すぎには泣き止んで病院を出て、一晩私たちの家に泊まってから朝荷物を取りに帰り、そのあと今は7時30分ですがあなたの様子を見にきました。


、、あなたが目覚めなくても、8時には病院は出ると言っていました。理由は、学校を休めばあなたが余計に自分を心配するからと。」


「はは、、私よりずっとしっかりしてるな。頭が良い子とは思っていたけど、自分の息子ながらさすがだ。」


レイノルズは苦笑いしてから少し咳をする。


「、、ヨハンから、あなたとどうして口喧嘩になったのかも聞きました。

イザベラと言う子の演奏を私は聞いたことがないし、話したこともないので仮説ではありますが。

あなたが思うように、もしかしたらヨハンとイザベラが、あなたとジャニスさんのときのように悲しい結末を迎えるかもしれない。でも、あなたの時とは違い、ヨハンは勢いや感情任せで判断してはいない。それがヨハンの強さでしょう?だから、、もしそうなってもヨハン自身に悔いはないはず。、、それに、もしそうなったら、あなたが彼を支えれば良い。


、、ヨハンだって、あなたを信頼していたからこそ頼んだのだと思います。、、それをあなたは、自分も他人も信用できずに無碍にした。ヨハンが傷つくのは当然です。


、、あなたのこれまでの生い立ちを考えれば、長く一人で生きてきたのだから、自分の腕とヴァイオリン以外は信じられないのも自然ですが、ハンスの一件もそうでしたがもっと他人を信頼すべきですよ。


第一、あなたがそうやって全てを一人でやろうとして崩れたら、ヨハンはどう思いますか。ただでさえ母親を亡くしているヨハンが。」


ミカエルは持ち前の性格もあり、言葉は選んではいたが思うところをレイノルズに容赦なく指摘して行く。

レイノルズは、それでもう一度、ヨハンとイザベラへの接し方について考える気が起きてきた。

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