第211話
「君の苗字、ヴァイオリンをやってるらしいのと、お父さんに少し似てる顔から統合してわかってたけど、話してくれた勇気を尊敬するよ。
、、ヨハンの頼みなら目的がはっきりしないマグナスの話をもう少しは聞こうかな。
、、、僕は逃げるやつは嫌いなんだ。
、、お前はあれからずっとクラリネットから逃げてきた。僕からも。
僕が君を避けているって言うけど君は僕を避けていたよな?、、だから簡単に信頼はできない。」
ヘンリーはマグナスにやはり棘がある言い方をして、車椅子の片側に頬杖をついてマグナスを見つめた。
「、、、クラリネットを、、サックスもだけど、ヨハンと、ヨハンたちと一緒にきちんとやりたい。やめたくなんか無いし半端はもう嫌だ。、、でも、やっぱりヘンリーを不愉快にさせてまでやるのは後ろめたいのもそうで、、、、けど、、俺は君を傷つけたけど車で轢いたわけじゃないし轢かれるようにしくんでもいない。、、逆恨みだとも思うよ。
、、そう思う反面、俺のせいじゃ無いなんて言えない。、、はっきり俺のせいじゃない以上償い方もわからない。お前の親御さんには俺のせいじゃ無いなんて言われてしまったし、、
、、多分一生お互いすっきりなんかしないけど、、音楽をやめたくないなら、、今後同じことにならないために俺ができることを考えるしかないのかもな。
、、ヘンリーは工学で、俺はそれをもう一度クラリネットを持ってやるだけで、、。」
マグナスは思考や感情がまとまらないまま、思いついたことをポツポツ話し続けた。
「、、確かにね。何か考えを持って人と行う以上、傷つけることは覚悟して、、工夫しながらやって行きたいね。僕もそれはそう思っている。、、結論が出たならもう用はないだろ?」
ヘンリーは若干口調がきつくなくなり、マグナスの答えに納得した様子で頷いたが、マグナスはヘンリーに詰め寄り、膝をついて車椅子からの目線に視線を合わせた。
「!?、、なんだよ?」
「あとこの際だから言う!!やっぱりヘンリーはクラリネットやるべきだよ!
、、俺のほうが確かに吹けたのかもしれないけど、ヘンリーが隣でしっかり内声やバスクラ吹いてくれたから安心して吹けたし、、俺はヘンリーとまた吹きたいよ。
、、俺とは嫌だって言うなら、、クラは俺のせいで嫌いにならないでほしくて、、勝手なこと言ってるのはわかってるけどさ。」
「、、クラはたまには吹いてる。最近はね。、、ただ君とまた吹くかは別だ。そもそも、対話からも演奏をきちんとやることからも逃げてる奴は嫌だと言っただろ?」
冷めた印象だったヘンリーは、マグナスの熱意を帯びた態度にたじろぎ、身振りをつけて反論する。
「、、じゃあ、逃げてるか見定めたくなったら来てくれよ。ヨハンのヴァイオリンも凄いぜ。、、俺との嫌な記憶よりもきっと聞いたら楽しさが上回るからさ。、、これも勝手にここに置いていくから。俺の名前出してくれたら無料で入れるようにするよ。」
マグナスはヘンリーがたじろぐのを見ていたらずらっぽく微笑みながら、ヘンリーの机にライブのチラシを置いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます