第25話 裏面1
ヨハンは、父がストラティヴァリを退けて空けたソファに座る。
「イザベラがさ、父さんにヴァイオリンを教わりたいみたいなんだ。」
「、、イザベラさんが?
、、気持ちは嬉しいが、、私へのレッスン依頼は知ってるだろうけど沢山あるよ。生徒を募集してないのにホームページに来るくらいには。
演奏活動もある。、、だから、基本的に大きなコンクールの入賞者とかにマスタークラスをするくらいだ。昔は、、マリアが亡くなったあと、お前が小さかったのがあって、レッスンの比重を多くして演奏活動をセーブした時期もあったが、それも音楽大学から選抜された学生にレッスンしだけだ。、、お前が知ってる人だと、礼がそうだったけど。
今はちょっと無理かな。
あの子、コンクールで入賞するほど上手いのか?下手じゃなさそうだったが、、お前よりは全然弾けなそうに見えたな。弓使いを見る感じだと。第一,あんなはっきりした言動の子なのにお前経由で頼んでくるのはすこし印象が悪くなったぞ。」
ヨハンの予想通り、父は取りつく島もなく断る。さすが、すこし演奏を遠くから見ただけでもイザベラの腕は見抜いたようだ。
「、、確かに、、コンクールでガンガン入賞してるとかじゃないし、学校でも特待生じゃないけど,弾ける方だよ。それに、結構面白い解釈をするんだよ。オケだと分かりづらかったと思うけど。
、、このコンクール。来月、予選だろ。僕も出るやつ。彼女も出てみるって。それ、聞いてみてもらえないかな?仕事ある?」
「、、いや、、大事なコンクールだし、コンクールがやる時間だけは空けといたが。、、ま、ファイナルまではきてくれないと、申し訳ないが話にならないな。お前のついでに聞く分には良いかな。
、、お前はもっと解釈を磨かなきゃいけないが、技術がないことには話にならない。わかるだろう?
、、いくらお前のガールフレンドだからって贔屓はできないからな。そう言う仕事のやり方は私は嫌いだ。」
「ありがとう、僕のついででも良いよ。忙しいだろうけどさ、ファイナルまで進んだら考えてあげてよ。」
「進むだけじゃなあ。。入賞しないと。」
ヨハンはいつになく強引に頼むが、父はため息をつきやれやれと身振りする。
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