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エムエムは子供の体を診察し始めた、先ほどまで過激発言を繰り返していたとは思えない、決して厭らしい手つきではなく医師としての触診だった。
「本当に医者だったんですね」
「…お前は治療受けた事ないからな」
「するとしても自分で処理出来る程度ですからね。本で指切ったりなど…ところでコルヴォ様、誰が子供を撃ったのです?」
闇の者であるコルヴォ様には、自分または他者の心の闇である憎悪を力と化する能力がある
かき集めた憎しみを力にしその力を自在に操り、先ほどエムエムにした「黒羽の弾丸」の様に固めた憎しみで攻撃する事が可能なのだ。
そんな彼が銃を所持する必要はない…なら誰が子供を撃ったか?第三者がいたと考えれば自然でしょう、ならばどんな状況下にあり、どの様な経緯で子供をこの組織に連れてきたのか?あなたとこの子供の関係はなんなのか?
「聞きたい事が山ほどあるのですが…っ」
ゾクリとくる肌寒さを感じコルヴォ様を見る、彼の体から憎しみの闇が放出されていた。
あなたは今誰を“憎んでいる“のですか?
「…」
「…」
「…凛々しいわぁ」
不快な声が聞こえそちらを見れば、エムエムがうっとりした表情でコルヴォ様を眺めていた。
「オイ診察はどうした?」
「目の前でそんな素敵な表情されたらとても集中出来ませんわ」
「もう一発食らいたいか?」
「ああん是非お願い♡」
「コルヴォ様、喜ばせるだけですから煙草でも吸って落ち着いて下さい」
気持ちは凄くわかりますが、エムエムに脅しは無駄(むしろ喜ぶ)なのでコルヴォ様に彼愛用の煙草を差し出す。この煙草には精神を落ち着かせるメンソール配合で、彼は今みたいに心乱された時に良く服用している。
「…いや、今はいい」
「え?(珍しい、あのヘビースモーカーが…)」
「心配しなくてもちゃんと終わりましたわん♡肩の傷の他に打撲数カ所に、骨は骨折はしてないけどヒビが入ってるわねぇ、あとは調合するだけ何ですけどぉ…この子の年齢わかります?」
「歳?」
「調合する量が的確なら、副作用も最小限ですむんですけど」
「歳って言われても…(今日初めて会った子の歳何て、わかる訳ないじゃないですか)」
「今年で13だ」
「え?13歳?体の大きさから15歳くらいの気がするけど…オッケー大体13ね♡」
エムエムはポーチから数本の試験管を取り出し、スポイトで吸い上げ調合を始めた、細胞研究の天才であるエムエムが独自に作り出した治療薬は、極限まで治癒力を高めどんな怪我でも1〜3日で完治する。
ただし副作用として完治するまでの間、激痛が走る事となる。(エムエム曰わく1ヶ月分の痛みを、1日に凝縮した感じらしい)なので体力が衰弱し過ぎていたり、痛みに耐性が無い者は堪えきれずショック死したり、痛みから逃れ様と自殺する者もいるそうだ。
「(…すぐ完治するとは言え大丈夫なんですかね?)」
「これで出来上がりっと!はいチクッとしますからね〜」
そう言ってエムエムは調合した薬を注射器に移し、一番酷い傷のある右肩に注射した。
「コルヴォ様、これで一安心ですわ♡痛みを誤魔化すため強制的に丸1〜2日眠らせておくけど、目が覚めた後一週間は絶対安静にしてください」
「一週間?1日で治るのではないのか?」
「んー相手は成人してない成長途中の子供ですからね。余り強い薬だと痛みに堪えられないかもしれないし、もしかしたら今後の成長に影響が出ちゃうかも知れませんので、取り敢えず肩の傷と骨のヒビを治す必要最低限の量だけを打つ事にしました」
「…そうか」
「後は傷にばい菌が入らない様に、定期的に包帯とガーゼを取り替えて清潔にして下さい。はい紅菊ちゃんこれガーゼと消毒液」
「どうも」
エムエムにガーゼと消毒液を渡された後。エムエムは注射器をポーチの中に片づけてさて、と電卓を取り出した。
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