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私はベッドに腰掛け考える………もしや隠し子?それならコルヴォ様への人質として、誘拐しようとしたのかも。
「(…いや待てよ?確かコルヴォ様は今年で28になるって言ってましたね)」
この子は確か13歳、コルヴォ様が15の時の子供になる訳だから少々若すぎますね。
能力者なのか隠し子なのか、エムエムの言うとおり愛人としてなのか…いくら考えても答えを知っているのは、コルヴォ様と睡眠薬で深い眠りにつく子供。明後日の昼には判明する事だから1人ごちゃごちゃと考えても仕方がないので、部屋に戻りましょう。
寝室を出ると仕事場の机に灰皿の上で山盛りになった吸い殻が目に留まる。さっきは吸わなかったのに…コルヴォ様の死因は肺ガンですね、そう考えながら私は吸い殻をゴミ箱に放り投げた。
×××
テネブラファミリー中庭
「ん?…おい、誰だこんな所にぬいぐるみを捨てたのは?」
1人の男が熊のぬいぐるみが落ちていたのを見つける。本来なら見かけても目に付かない物だが、落ちている場所は犯罪組織であるマフィアのアジト、中庭とはいえ余りに不釣り合いな物に男は疑問に思う。
「どうしたの?」
「あ?そこにぬいぐるみが落ちてんだよ」
「あれ本当だ、それがどうかしたの?」
「誰が捨てたんだ?こんな所にわざわざ一般人が捨てにくる訳ないよな?」
「え?あーそうか、そういえばそうだね」
「…もしかすると敵組織のカモフラージュ爆弾か?」
「え?!爆弾!!」
もう1人の男が拾おうと手を伸ばすが、男の“爆弾”の言葉によりばっと勢い良く手を引く。
「確か明日はあのしつこい事で有名なナイヤファミリーとの抗争日だ。充分考えられる」
「ああ、あの負けても負けても挑んで来て更に卑怯な手を使う…汚い手使う可能性も充分あるな」
「ああ…お前新人だから一応言うが、こういうもんには間違っても銃ぶっ放すなよ?」
「わかってますよ、ドッカーンでしょ?」
「おい何してんだ?」
ぬいぐるみを前に会話をする部下達に、彼らの上司が話かける。
「お前らちゃんと警備してんのか?あのしつこくって卑怯な…なんだっけ?あのファミリーの奴らは弱い分姑息な手を使う。前なんか戦争持ちかけたファミリーに、爆弾送り込んだ事あったからな…明後日までボスは留守なんだ。紅菊様が残っているとはいえ気ぃ抜くんじゃねぇぞ?」
「わかってるよ、現に不審物見つけた所だ」
「不審物?」
「ああ、ここに…あれ?」
男が指差す先には、ある筈のぬいぐるみがなかった。
「あ?どうした?」
「いや…ここに熊のぬいぐるみがあった筈なんだけど…」
「ぬいぐるみ?どこにあるんだそんなもん」
「どこ行った?」
「?…まぁ良い、俺はもう持ち場に戻るから不審物見つけたら爆弾処理班に連絡しろよ?」
「ああわかった」
「なぁ、紅菊様って誰の事だ?」
男は上司が去った後、消えたぬいぐるみを探そうとするが新人の質問により中断された。
「あ?ああ…いつもボスの隣にいる着物着た女性だよ。あの方はボスの側近だから敬意を払えよ」
「え?あの美人だけど性格きつそうな姉ちゃんが?何で女なのに側近何だ?」
「…ボスが不在の時、敵対ファミリーに攻め込まれた時があったんだ」
相手の数は50、当然武器を持ちマシンガンを所持する奴もいた…それを紅菊様がたった1つの鉄扇で相手をしたんだ。
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