やみものがたり

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「そうか仕事するって事は遊べないって事なのか」

「年に何人ぐらいの天才の子供が、軍に行く事になってるのですか？」

「ん〜年に２〜３人程度かしら？日ノ本軍では早熟児かどうかとか吟味したり、軍で働いて支障は無いかとか色々審査した上で、スカウトする様になっているわ」

「早熟児って子供の内は天才、大人になったら只の人？」

「あら良く知ってるわね」

ナナシお姉さんに教えて貰ったの、と答えるコタロー君にエムエムは偉い偉いと頭を撫でた。

「でも何で天才の子は、軍に連れて行かれちゃうの？」

「んー良い質問ね、１つは日ノ本軍の戦力向上の為、２つは他の戦力予備軍である他の生徒に悪影響を与えない為に隔離すること、３つは馬鹿親から引き離す為よ」

「…えっ？２つと３つはどういう事？」

「天才と呼ばれる子は、その才能のせいで性格が歪んでしまうものなのよ」

「性格が歪む？」

「誰よりも優れているという優越感から相手を見下す様になっちゃうの。しかも親が子供が得た富や名声を自分も肖ろうと、ご機嫌を取って『私の子はそこら辺の出来損ないとは訳が違うわ』とか『あなたは凡人とは格が違う特別な仔なのよ』って煽て過ぎて、歪んだ価値観を植え付けるのが一番の原因ね。だから価値観を正す為にはちょっと酷だけど、そんな親からは引き離さなきゃならないのよ」

「子供にとって親は全てですからね、親が子を誉めれば自信を持ち、逆に貶せば自分は駄目な子なんだと信じ込む様になります」

「そうゆうもんなの？」

「ええ…例え誰よりも優れていても親が否定すれば、自分は駄目何だと思い込んでしまうんですよ」

常にテストは90点以上だった。

病気に負けない健康な肉体だった。

でも父は跡継ぎである病弱な兄ばかり可愛がり、女である私には決して見向きもしなかった。

「…」

「紅菊お姉さん？」

「！っ…何ですか？」

「どうしたの？具合悪いの？」

「いえ、ちょっと考え事をしていただけです」

「ふーん…そういえばＳ組の人は天才の集まりなんだよね？何でＳ組の子は軍に行かないで訓練所に通ってるの？」

「んーちょっと難しい質問ね。Ｓ組の子は天才の集まりって言われてるけど、実際は“同年代の中で優れてる子達”の集まりであって天才という訳じゃない、つまり早熟児と判断されてる子達の寄せ集めといった所かしら…まぁ医療系は別だけどね」

「どう違うの？」

「武術系で例えるなら教師に勝てるか勝てないかね。早熟児はあくまでも成長が早いだけだから、クラス全員何て相手に出来ないし、しかも訓練所の教師は大抵元軍人だから、ただ成長が早いだけの早熟児が、戦闘訓練を積んだ大の大人に勝つ何て不可能に近いわね」